【イベント】「若者の自殺対策を考える」シンポジウム | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」
9月10日に東京都庁都民ホールで、
「若者の自殺対策を考える」シンポジウムが開催された。

トークセッションのパネリストは、
上田紀行さん (東京工業大学教授、「生きる意味」著者)
星野智幸さん (小説家)
橘ジュンさん (NPO 法人 BONDプロジェクト代表)
清水康之さん (NPO 法人自殺対策支援センター ライフリンク代表)
ユースリンクで活動している学生さん。

以下そのときのメモです。

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・若者の自己肯定感が極めて低い。

・大人を信頼していない。

・ここ10~15年で、人を支える力が急激に弱くなった。

・言いたいことを言ってはいけない空気。
 言わないのが当たり前という意識。

・18歳女子「もう18歳までで死にたい。
 これからもっと助けてって言えなくなるんでしょ?」

・「助けを求めたら怒られるんじゃないか。
  それなら死んだ方がマシなんじゃないか」

・インタビューに立て板に水で答える小学生に感じる違和感。
 スキを見せられない社会。子どもの思いを知らない親。

・家用キャラ、学校用キャラの演じ分け。
 自分自身を生きている感じがしない。
 他人の人生を生きさせられている気がする(オウム信者)

・この人たちと支え合いながら生きていくんだ、
 というイメージで生きられるか。その逆か。

・僕たちはいつのまにかドツボにはまっていたのに、
 経済的に上り坂のときには気づかなかった。

・透明な人間=交換可能な人間

・野田首相が「精神論だけではやっていけない」
 と言って原発を最稼働させたが、
 何が精神論だというのかさっぱりわからない。
 彼らにとっては右肩上がりの経済だけが現実。
 人と人がふれあって喜びや悲しみを感じるのは
 精神論ではなく、それこそが僕たちの生きる現実。
 逆転してしまっている。

・トルコは日本の1/6の自殺率。
 みんな「何が起きてもなんとかなる」と思ってる。
 ひとつは宗教。もうひとつは、親族が絶対に放っておかない。
 そういう世界観の中で生きている。

・子どもが風邪をひいたとき、日本のお父さんは会社を休まない。
 その合理的な選択の結果、失業したとき全てを失う。

・とにかく30まではみっともなく生きることが大事。
 いつのまにか交換不可能な人間になっている。
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上田紀之さんの言う「交換不可能な人間」というのは、
なんらかの精神的な共同体の中にいるということだろう。

「交換不可能」というのはつまり
「かけがえがない」ということであって、
そういう他者との関係性にほかならない。

そこにあるのは表面的な関係ではなく、
人間まるごとでの関係である。

だから、みんなに合わせるために
タテマエだけで生きていても、
こうした精神的な共同体を築くことはできない。

「30歳まではとにかくみっともなく生きることが大事」
というのは、そういう意味も含まれているのだろう。

僕はこの言葉に励まされたが、
よく考えたら30歳を過ぎていることに気づき、
がっかりして帰ってきた。