浮気人類進化論―きびしい社会といいかげんな社会 | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」
浮気人類進化論―きびしい社会といいかげんな社会 (文春文庫)/文藝春秋

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人間は浮気によって
言語能力と思考力を進化させてきたという、
実に面白い説を唱える本書。

さまざまな動物の生態から、この説を裏付けていく。

著者は本の後半にこう洩らす。

「私は野生動物の世界を知るようになってから、
 泥棒やひったくり、あるいはウソやごまかし、
 浮気といったことが世間で言われているほど
 悪いことには思えなくなってきた」

動物たちは、そうやってただひたすらに生きている。

そこに勝手にモラルを持ち込んで
善だ悪だとやっているのは人間だけである。

そもそも、人間のモラルがなにほどのものであろう。

著者は言う。

「戦争をなくすことは本当にできるのだろうか。
 私は、少なくとも現在の人間界の
 モラルの範囲内で考えても無駄だと思う」

それは、現在の社会が、
「戦争をする上で有利なモラル」
を持った者たちが作り上げた社会だからだ。

だからこそ、
私たちは既成概念を捨てなければならない、
と著者は訴えるのである。

「社会を平和にするための秘訣の一つは、
 どうやらメスが力をもち、
 オスと対等かそれ以上になることのよう」

だというのは、僕も賛同するところである。

恐妻家は案外みんな幸せそうなものだ(笑)。

男は永久に大人になどなれないのだ
ということをしっかり認識するべきだろう。
後で直せないものを壊すのは、
子どものすることである。