西岡常一さんの現場は美しい。
それは、建築物の見た目の奇麗さや、
現場の整った様子などではなく、
「いのちを扱っている」という、
その仕事のあり方の美しさである。
ここでの「いのち」とは、
もちろん建築物の材料となる木のことである。
西岡さんは木を「神様でんな」とさえ言う。
単に設計図に従うのではなく、
木のクセに合わせて建物を造ってゆく
西岡さんの建築手法も、
木が神様であると感じられれば、
なるほど当然のことなのだろう。
「合理的やなしに、
時間をかけてもいいから、
ごまかしのない、ほんまの仕事を
して欲しいと思っとります」
映画の最後に語られた彼の言葉は、
僕たちの仕事についてだけでなく、
僕たちの日々の生活においても、
同じように大切なメッセージに思えた。