「フォワードが語り合う公開フォーラム」~自殺のない社会に向けて何ができるか~ | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」
3月23日(金)、日本財団ビルにおいて、
「フォワードが語り合う公開フォーラム」
が開催され、約50人の人が集まった。

「フォワード」とは、自らもしくは
身近に自殺問題を体験した人たちのこと。
「前に向かって進み出す」
という思いが込められている。

彼らの語りを通じて、参加者全員で
自分たちにできることを考えていこう、
という趣旨のフォーラムである。

自殺問題に関わるイベントはいろいろあるが、
その「当事者」の語りを聞く機会は意外に少ない。

今回は、自殺を身近なものとして体験した4人が、
その後の人生において、どのようなきっかけで
前に進み出していけるようになったのかを、
進行役との対話の中で語ってくれた。

莫大な借金を背負わされ死を考えたが、
家族や従業員の支えにより、
前向きに人生を歩み出した経営者。

自分の役割、具体的な目標を見つけることで、
生きていく力を取り戻した元経営者。

夫を自死で亡くし「朝がこなければいい」
と思った日々もあったが、思いを語り、
子供に支えられることで
希望をたぐりよせてきた母親。

教師に自分の存在を全否定されながらも、
映画や演劇を通して人とのつながりを得た男性。

それぞれ状況や思いは違えど、
「自殺の問題は、誰にでも起こりうること」
だということに気づかせられる。
そして、支え合える他者の存在が、
いかに大切なものであるかということも。

彼らの語りを聞いた後、
参加者みんなでグループごとに話し合い、
それぞれの気づきを発表した。

「人の弱さを背負うことで、
 自分の苦しみは軽くなる」

という進行役の言葉に象徴されるように、
会場は互いを受け入れ合う、
あたたかい空気につつまれていた。

このつながりを今後に生かしていくため、
「フォワードカフェ」という集まりが
定期的に開催されることが決まっている。

おわりに、今回のフォーラムの実行委員長である
福山なおみさんのコメントを紹介しておこう。

「『支える人』も『支えられる人』も
 同じようにこの社会で暮らしています。
 いつ、どこでこうした気持ちになるかわかりません。
 人は誰もが、
 『ゲートキーパー』(自殺を防止する人たち)であり、
 『フォワード』(自殺の当事者たち)でもあり、
 『シェルター』(自殺を思いとどまった人を支援する人たち)
 でもあり得るのです。そのように考えると、
 死にたいほど辛い気持ちを語れる場、
 社会環境を創っていくのはわたしたち自身なのです。
 こうしたことをこころから実感し、
 考えたフォーラムでした。」

主催:自殺のない社会づくりネットワーク・ささえあい