「『明るい選挙』確実な廃止を」
との見出しがあった。
「明るい選挙」?
どこかで聞いた言葉だと思ったら、
僕はかつてこの「明るい選挙」に
衝撃を受けたことがあったのだ。
あまりの衝撃に、事の顛末を
mixi日記に書いたことをいま思い出した。
その「明るい選挙」が、いま
「確実な廃止」を求められている。
僕には正直よくわからないが、
みなさまの判断の参考のためにも、
そのときの日記を転載しておく。
(2006年04月24日の日記より)
「ノーベル賞受賞者」展を見に、
上板橋というところまで行ってきた。
上板橋駅。生まれてはじめて降りる駅。
駅を降りた瞬間、田舎な雰囲気が漂う。
「ノーベル賞受賞者」展の会場は、板橋区立教育科学館。
そこの入口に、地域の広報紙などが並べて置かれていた。
なんだか嫌な予感がした僕は、それらをじっくり見てみた。
嫌な予感は的中した。
「明るい選挙」と書かれた冊子 を
手に取った僕は、一瞬目を疑った。
「明るい選挙」の「明」の上に
「めい」とふりがながうたれている。
これでは「めいるいせんきょ」ではないか。

だがよく見ると、
「選」の上にはちゃんと「せん」とある。
もしかすると、ふりがなの部分だけ読ませて、
「明るい選挙」を「明選(めいせん)」という略称で
定着させようとしているのかもしれない。
あまりにも気になったので、
総合案内コーナーにいたおじさんに聞こうとしたが、
もしただの「誤植」だったときのことを考えると、
怖くて聞くに聞けなかった。
こうなったら自分で確認するしかない。
そこで冊子の中身を読んでみた。
だが「明るい選挙」という言葉は出てくるものの、
「明選(めいせん)」については一切触れられていない。
やはり誤植なのか。
さらに読み進めてみると、
【地区だより】というコーナーがあった。
その地区の人達が、選挙についての
意見や感想を述べるコーナーらしい。
そこに『サンバと選挙』という
タイトルの文章が掲載されていた。
気になった部分を要約するとこんな感じだ。
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『サンバと選挙』
…今回の衆議院議員選挙の期日前投票日の
9月4日(日)が偶然にもサンバの日でした。
…当日はセンター二階がサンバダンサーの
控え室になっていたため、センター入口に
急遽プレハブの投票所が建てられました。…
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これだけ熱心に選挙を訴えておきながら、
選挙会場をサンバダンサーたち(写真)
に奪われている彼らに、僕はひどく感銘をうけた。

そうか、これが「明るい選挙」なのだ。
選挙は確かに大事だ。
だがそれは、あくまで市民の
幸せな暮らしのために行われるもの。
選挙のために、板橋区民の娯楽である
サンバカーニバルを妨害してしまうなど、
本末転倒な話なのである。
投票率も、7月の都議会議員選挙の時を
はるかに上回ったと、この冊子には書いてある。
「明るい選挙」のふりがなごときを
ウダウダ詮索している僕は、なんて小さな人間なんだろう。
しかも知らぬ間に、選挙の冊子を
まるまる一冊読破させられているではないか。
世の中には、まだまだすごい場所、
すごい奴らがたくさんいる。
ノーベル賞受賞者たちは、
きっとその氷山の一角なのだ。
彼らとの距離を、思わぬかたちで
実感させられた一日だった。