236 癌とお金の話
闘病ブログではよくみかけるタイトルで、たいていは「癌保険には入っておいたほうがいいよ」という結論で締めくくられているのだが、もちろん僕もそれには異論はない。若い頃は保険のおばちゃんに言われるがまま高い保険に入っていたのだが、ある雑誌に、「若い時は保険にお金をかけるよりも、自分に投資せよ」って一文に感銘を受け、最低限の保険に変えてしまったのだ。確かに月々の掛け金は下がったけど、自分に投資するつもりのお金はいつのまにか自分の小遣いに変わり、結果、40代前半でまさかの癌になってしまった。あの時の癌保険があれば、今頃一時金が手に入ってきていたのに…と、残念で仕方がない。それでも、入院費と治療費は返ってきたので、それだけでも随分助かった。さて、黒に近いグレーと言われている再発疑惑だが、もしケモ再開と言うことになれば薬価の高いハーセプチンになりそうなので、久々に「けんぽ」を訪れて限度額適用認定証の申請を行うことにした。けんぽは勤務先からは歩いて5分の距離にあるので、ついでに僕の現在の収入がどの区分に当てはまり、その自己限度額と多数該当を調べておこうとも思って訪問することにした。ウチの年収は決して多いほうではないけれど、今年はご存知の通り、僕は単身赴任をして単身赴任手当なるものを月々支給されてしまい、概算でも前年比で年収が軽く100万円ほどアップしてしまった。けんぽでは身分証明書を提示すれば、すぐに自分の収入がどの区分に当てはまるのかを教えてくれる。平成27年1月から自己限度額の改正が行われたが、調べてもらうとなんと僕は区分イに昇格になっていて、自己限度額は167,400円、多数該当でも93,000円と、以前の倍以上になることが分かり、その場で絶句してしまった。ウチは子供がいない家庭だけど、それでも家計に大きな負担をかけてしまうことには間違いない。僕はまだ疑惑段階だけど、どうせ治らない病気(末期でも元気に長生きされている方がたくさんいらっしゃるのは存じています)でそんなに高額な治療費がかかるなら痛みだけを取ってもらい、積極的な治療は拒否してもいいかな…なんて考えてしまった。もちろんQOLも大事だしね。初発ならまだしも再発だし…。家に帰って妻にそんな話をすると大喧嘩になってしまった。すなわちお金の問題じゃなく、生きていれば治るチャンスがあるじゃない…というのが妻の言い分である。が、生きていても僕は人の役に立つような人間ではないし、それよりかは元気なうちに旅行や妻との思い出作りにお金を使ったほうがよっぽど有意義だという考えが頭から離れない。妻がそう言ってくれるのはありがたいのだけどね。ステージⅣのがん患者って、やっぱり生きることに執着がありますか?子供や仕事のために…って言うのなら分かるけど、僕には妻しかいない(両親は健在だけど)し、仕事はもうこれまでに未練がないほどに頑張ってきたからね。話の結論は出ていないし、それに今結論を出さなくてもいい話だけど、とりあえず限度額適用認定証の申請は今回は妻と相談して見送ることにした。理由はクレジットカードのポイント稼ぎだ。後で申請すればお金は2〜3ヶ月後に戻ってくるので、カードのポイントはしっかり稼がせてもらおう。前回もそうすればよかったな…という反省から。転んでもタダでは起きません(笑)