月組全ツ「琥珀色の雨にぬれて」 | 気のむくままに

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月組全ツ 「琥珀色の雨に濡れて」@市川文化会館 で見てきました。

舞台は第一次世界大戦後、爛熟期のパリ。戦火を潜り抜けても純粋さを失わない貴族の青年クロードと、時世を表すような色濃い女シャロンとの恋を中心に、クロードを慕う純真な娘フランソワーズと、背徳の世界に身を置くジゴロのルイを交えた4人の男女が織り成す恋愛心理劇。

1984年初演。当時の役者さんへの当て書きの作品で絶賛を博し、その後何度と再演を繰り返し、私が実際に観たのは、2017年の雪組。
この時の感想はストーリーや音楽、作品の素敵さ、フランソワーズの台詞が素敵なこと。望海風斗さんという男役さんの魅力を知ったことでした。

今回の琥珀は、叙情的で美しくて、あの時代の香りがする。そしてパリに普通にいそうな人として繊細な心の動きが沁みてくる。優しい琥珀という印象でした。
そして娘役が大切な作品なんだなあとあらためて感じました。

鳳月杏さんのクロード。シャロンと話す時の高揚が可愛いらしく、純粋なまま大人になった青年が、自分の気持ちと周りの人を傷つけてしまう事の苦悩や葛藤に揺れているのがとても感じとれました。クロードって不器用なのに、え!と思う女性がどきっとする言葉を言うんですよね。優しいクロードでした。

シャロンの天紫さんのシャロン。どの衣装も上品に着こなし美しい佇まい、そこにまず説得力がある。自由に生きているようで、ちやほやしてくる男性達に装飾品のように扱われていることに虚しさや一人で生きる不安も感じているシャロンと感じました。だから真っ直ぐ見つめ思ってくれるクロードに惹かれてしまうのがわかる。
大人の魅力と少女のような純粋さ、イメージとしては蝶々みたいなものを感じました。

白河りりさんのフランソワーズ。歌も芝居も上手いなあ。育ちの良さ、クロードへの思い、芯の強さも感じ、彼女の歌と切ない台詞にどきっと。

前回これいい台詞なのにと思ったのをそのまま感じとることができたなあ。
シャロンとフランソワーズの対比がこの作品の肝なのですね。
クロードとルイも対象的。ラストの2人もそうだったなあ。