『LaMère母』 『LeFils息子』 | 気のむくままに

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『LaMère母』 @シアターイースト

【脚本】フロリアン・ゼレール

【演出】ラディスラス・ショラー

【出演】若村麻由美、岡本圭人、伊勢佳世、岡本健一


『LeFils息子』@シアターウエスト 

【出演】岡本圭人、若村麻由美、伊勢佳世、浜田信也、木山廉彬、岡本健一


家族三部作のうち、2作が東京芸術劇場にて上演され、マチソワで続けて見ました。

『LaMère母』は日本初演だそうです。

『LeFils息子』は2018年に同じキャストでプレイハウスで上演したのを観ました。


息子は一度見ているので、ぎりぎりまで少し観るのを迷っていましたが、結局は観て良かったなあーと思っています。
このくらいの大きさの劇場の方がいいです。

『LaMère母』 は子どもが自立した母に訪れる空の巣症候群。母親ならどこか身に覚えのある感覚であると思いますが、このアンヌの場合はかなり無茶な事を言っていて滑稽にさえ見えてきました。家族は大変だよなあ。

同じ場面が少し違う形で繰り返しされ、あーこれはアンヌの妄想なのだなあとわかってきます。ただ最後は現実? 妄想か現実かの境目はアンヌにもわかっていないので、見ているこちらも分からなくなってきます。

最後は薬を飲み過ぎて病院へ。目が覚めた時付き添っていたのが夫であるラストは、彼女は私達は、子どもが自立した後、孤独であることを受け止めて1人の女性として、夫婦としてどう生きていくのか?という事を投げかけている気がします。

母アンヌを演じた若村麻由美さんの狂気ぶりが凄かったです。




『LeFils息子』

初演は息子を演じた岡本圭人さんの、初舞台ならではの一途さ?と役の危うさが良い意味でリンクしている感じもあり、それも貴重でした。
今回は彼の役者としての成長をかなり感じ、作品のバランスが上がってると思います。だから個々の感情がより迫ってくるし、父ピエールの物語でもある印象が強い。ピエールは息子でもあり父でもある。ピエールの父との関係もピエールの言葉から垣間見れました。


岡本健一さんの演じたピエールの苦悩、後悔が凄くて。演じ終えた時の健一さんの表情は、役からすぐ戻れないのがわかります。何回かカーテンコールがありやっと笑顔が見られました。

LeFils息子を実の息子の圭人さんと演じるのは今回で最後もう二度とありません。辛くて哀しくて幸せな事とおっしゃっています。

大切な人を守るには、家族とはを考えます。

どうして、ただただニコラの側で、何も意見せず寄り添ってあげる大人がいなかったのか。専門家のことばを聞こうとしなかったのか‥と思わずにいられませんでした。

ラスト、ピエールを映し出す、影絵の様な美しさは、美しいことを悲しく感じました。


LaMère母と、LeFils息子は違う家族の話ではあるのだけど、名前は一緒だし、似た台詞もあるし、続けてみると繋がっているところがあることをより、そしてどちらも、全ての父、息子、母の思いが込められているとだなあ感じました。

同じ役者で同時上演した相乗効果もあるし、LaMère母を観た後だから、さらに苦しさが半端なかったという所もあると思います。


新国立劇場だったり、風姿花伝の主催公演でも岡本健一さん出演の作品を観たりしますが、又違った雰囲気の客席でした。