モダンスイマーズ 「ビューティフルワールド」 | 気のむくままに

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「消えていくなら朝」で蓬莱竜太さんの家族の物語を観たのだが、人の痛みの気持ちにとても敏感なのは、彼の感受性も勿論だが彼の生い立ちも関係しているのだろうか?と思った。
「嗚呼、いまだから愛 」を観た時に、隣の男性と笑いどころが違ったのが新鮮だったのだが、今回は隣の男性と笑うタイミングが少し私の方が早いの。多分、衣子目線で観ていた私と、夏彦目線で観ていた彼との違いじゃないかと、後から勝手に思ってるんだけど。

なぜ、男性なのに、女性の気持ちがこんなにわかるんだろうか?

色んな所が刺さってしまうわけで。
ハイバイの岩井秀人さんの作品も、凄い心の痛みに引っかかるのだけど、ちょっと壮絶すぎる人生な感じなの。そして女性を男性が演じたり、誇張する演出がそれを緩和して見せてると思うのですが、岩井秀人さんの作品は、自分には‥身近なのかな。
言葉にすると難しいのだけど
自分なりに分析してみたけど、実はよくわからない。


この話は、長年の連れ添った夫から言葉によるDVを受け、子供からも馬鹿にされていた妻(衣子)と、40歳を越え、仕事も友人も恋人もいないゲームおたくの男性(夏彦)が少しずつ寄り添い、衣子の家の離れで、やがて2人で住み暮らしていく話。「小さなセカイの片隅での純愛」‥  って書いてあったが?‥


長年夫婦やってると色々な時期があると思うんですよね。人には言えない。まあうちにもそれなりにあるわけで。
勿論後で笑いとばせる程度の事しかない家庭も沢山あるだろうし、それにこしたことないし。

相手が何をやっても、何を言っても、聞こうという気持ちにならない、イラっとする時期もあるし、力関係が変わる時期もあるし。そんな事に妙に納得。

作品の中では、夫の淳二が、妻衣子に言葉と力による暴力を振るい、動画を投稿するという脅しから力関係がかわり、彼が大人しくなったのだが。
力関係が、ふとした瞬間に崩れ、強者と弱者が変わる時の驚きと滑稽さ。
それが衣子の家族、職場で多々おきていて、2部はその崩れ方に、人間の愚かさと可笑しさに、大笑いのシーンが多々。不器用ですから、という高倉健太に随分と笑いを持ってかれた。

何かに逃げこむ時期もある。
淳二に怒鳴られた時にヒッキーの音楽を頭の中に流し逃げ込む衣子。あーこれもわかるわ。
引きこもる事で逃げ込んだ夏彦。そんな2人が、お互いを寄り添い合う相手として必要とした関係。その2人が一線を越えたのは、淳二のあからさまDVだったのだと思う。
1幕最後は苦しかった。
その後の休憩、そして2幕への流れが見事。


結局、夏彦との関係も歪み始め、衣子が、周りの人間がいつのまにか強者として振る舞うようになるのは結局自分のせい‥いう絶望感と憤怒。
なんか、やっぱりと思ってしまった。
夏彦が見ていた世界が、あまりになんだったんだ!自分は何を見てたんだって事に気がついて、そこから、その世界を飛び出していく夏彦。その力は、衣子とのひと時の関係にもらったものだったのだろうと思いたい。


最後、弟が兄の夏彦に、嫁さんが妊娠した事を告げ、同時に不安の言葉を言う。
兄が弟に希望となる言葉 この作品のタイトルに繋がる言葉を言うのが、、すごく良かった。
と同時に、とても意外な終わり方だった。

奥が深い。

ただ、意地悪な様だが、弟の妻の立場で言えば。(約20年働く事も出来ず、実家にいる50代の義理の弟をもつ立場としては)あんたに言われたくはない!と思う気持ちもある。
生まれてくる子どもの未来は信じてる。
彼が前へ進もうとしていることを応援する気持ちもあるのよ。
人の気持ちって複雑すぎる。

この問題は、実はその彼に対する、義理の両親や夫の対応へ対しての不満も大きいのだけどね。
この作品でも、最初夏彦を、夏彦の父の兄?に預けるってどうよ?とは思ったなあ。

これはキリがないわ。

そんな色んな気持ちがあぶり出されてくる。
恐ろしい作品でもある。


凄い良かったです。
劇団公演ならではの間とか雰囲気とかしっくり感。
20周年おめでとうございます。
見続けていきたいと思える作品をありがとうございました。