「この森で、天使はバスを降りた」② | 気のむくままに

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観劇日記の様になってますが、気になりましたら、読んで頂けますと嬉しいです。

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初演はしらないが、ダイジェストゆえに、パーシー(坂本真綾)、シェルビー(土井裕子)、ハンナ(剣幸)の3人の女性を中心により絞って描いているのか? 彼女達3人の心の機微に、苦しくなったり、共感したり、嬉しくなった。自分が女であるという事もあるのだろうが。

初めて観た時に1番共感したのが、シェルビーだった。夫のケイレブに抑圧され、自信なく言いたい事を言えなかった彼女が、ケイレブに、パーシーに言う一言が徐々に変わり、表情が明るく自信を取り戻していくに嬉しくなった。
パーシーに「私の事を知らないから」と言われた時「大事な友達だっていう事は分かってるわよ」と言った言葉
ケイレブが自分の傷から立ち直るのを信じ、エフィの心配の言葉に「でも大丈夫よ彼は、私たち夫婦も」と言った言葉は
彼女がそこまで言える強さを持った事、優しい女性だった事が嬉しかった。
土井さんが、パーシーの過去の告白を聞いた後に天使の様な声で歌われた「ワイルドバード」は、言葉で表現出来ない、心に残る彼女ならではの歌だし、彼女にしか出来ないシェルビーだった。

パーシーの坂本さんとの相性もとても良いと思った。
坂本さんの素朴さと表情の変化も自然で魅力的だった。彼女が「Shine」を歌う時、彼女は償えない消せない傷を抱えながらも生き、生きる光や自分は1人でないと信じられる心を初めて持った。そんな様に感じたし表情は生き生きしていた。
側にいるイーライと森に溶け込んでいた。
あの場面の照明は綺麗で、とても神秘的。

舞台を上下に分け、スピットファイヤー食堂を中心にその上方にギリアドの森が配置されている。左右の少し高い所が裏庭やハンナの寝室になったりもする。シンプルなセットは想像もしやすく、ギリアドの森は照明により、緑からオレンジや金色に輝き神秘的なイメージを作り上げている。
霧がかかっている様な森の空気が見えたり、ギリアドの森の再生するエネルギーを感じた。
全体的に照明がとても綺麗な舞台だった。
「ワイルドバード」の時のパーシーとシェルビーも照明に溶け込んでいた。
ハンナが歌う「日が暮れたよ」は暗い中、ハンナの照らす灯が灯り、ハンナの心情を際立たせていた。

そのスピットファイヤー食堂の女主人であるハンナ。
中心にドンと構え、そこに訪れる人に向ける表情だけで、相手がどんな状態にあり、彼女がどんな風に見守っているかが感じられるようだった。
最初の方で6人がスピットファイヤーに揃う場面があるのだが、短い時間で、誰がどんな人で何を思っているかが大体わかる、最初にぐっと引き込まれる場面だ。そして、その先ずっとなのだが、誰かと誰かの声が重なる時のバランスと相性が良い。
皆傷や、迷いを抱えているのが、お互いの心が触れ合ううちに、一つ一つ癒されたり解けていくのに、あたたかい気持ちになった。

ハンナの「日が暮れたよ」
ハンナの本音がやっと聴けたようで、頑固なアメリカ女性も同じなんだと、母として共感した。子どもの小さな消えない灯火になりたい。
日が暮れたよ、もう苦しまないで帰っておいで、といういくつになってもイーライの母である持ちもだが、私はもう歳をとった帰ってきて早く!という気持ちがずしっと響いた。

剣さんの細かい細かい芝居は健在。階段を降りる時に顰める顔、パーシーへの目の合わせ方の変化‥‥もろもろ
年寄りが生きがいを持つと若返って見えるのも表現されている。

他のキャストの方々 坂元健児さん、Spi、田中利花さを、平方元基さん、皆で7人の歌声と芝居が重なりあい、そして素敵な作品になっている。



ラストの歌声と幸せそうな笑顔にじわ〜とくるあたたかな最後でした。

全編を観たい。再演されるといいなあ。