気のむくままに

気のむくままに

観劇日記の様になってますが、気になりましたら、読んで頂けますと嬉しいです。

マイペースに更新しております。

1930 年代の京城(現在のソウル)を舞台に、“ファンレター”をきっかけに文人たちの世界に入ることになった、孤独な文学青年セフンの成長物語。
セフンと、セフンに寄り添う“もう1人の人物”ヒカル、セフンが憧れる小説家へジンの3人を巡る秘密が描かれていく。

初回を観る前に、日本が朝鮮半島を植民地にしていた時の事については調べましたが、感覚的には作品が進んで行くうちにその事を感じていきました。最後の方に、事柄や歌のフレーズ言葉で気がついたこともあって。
彼らの情熱を踏みにじろうとしているのは日本なんだと、この作品は最初から知識としての事実だけでなく、感覚がある上で観る作品なのかな。自分に十分な感覚があるとも言えないかもですが少なくとも観る前から1回目よりはあったので、セフンが日本の拘置所にイ・ユンを尋ねてきた時のイ・ユンの手、セフンが日本まで尋ねてくることの危険さ、サイレンの音の響き、序盤から感じることが増えました。
そしてセフンの成長物語、抑圧された時代に必死に生き自国の言葉を文学をを残そうとした文人達の思い、ヘジンとユンのセフンの才能を残そうとした思い。その3点が響きました。

イ・ユンのセフンの才能を見抜き彼を文人として生かそうとした思い、イ・ユンとヘジンという才能のある偉大な文人同士の友情をより感じたら、セフンの成長物語も強く感じられ、文人達の逆境に立ち向かう強さもより感じられました。

前回、浦井君のヘジンが出て来て涙が溢れそうになった所。彼の滲み出ている雰囲気なのかな?と思いましたが、それもあったのでしょうが、セフン、ヒカル、ヘジン、3者の魂が共鳴しあったことに心が動いたんだなあと分かりました。(後ろの席でオペラを使いすぎたなあ)
セフンのヘジンへの憧から、ヘジンがいかに偉大な作家なのかということも、ヒカルが、セフン、ヘジン両者によって育てられた存在だということも感じられました。

手紙の君愛してる。
ヘジンはヒカルが誰であろうと愛していた。それはセフンがどんな存在であろうと、ありのままのセフンを受け入れてもらえた事であり、彼はヘジンによって救われたんだ。文学により救われた。
この先より厳しい時代になるが。

この作品の主役はセフン。海宝さんの繊細な演技と歌で作品を引っ張り、木下さんのヒカルが自由に存在感を増しながら演劇的にも彩りを加える。浦井くんのヘジンがずっしりと重みを持って支えている。
浦井くんこんな役も出来る俳優になったんたなあ。

文学への情念(若手作家のセフンと、死を間際にしたヘジンの情念の違い)
海宝君のセフンは狂気を増していて、浦井君のヘジンは初回より若く感じたかな。憧れの存在、ユンとの友情、まだ死にたくない命を燃やして書く執念が強く、作品のバランスが見応えありました。

3人の事しか触れてないけど、ユンの思いや、全てのキャストがスタッフが一つの作品の重要なのは役割をたはしている作品。
前楽の日の観客の集中力も凄かったです。