『それってさ、私期待していいの?』
赤くなった目を私に向け戸惑っている理佐に質問の答え合わせをする。
『私は理佐のことが好き。』
言ってしまった。もう後戻りは出来ない
「...」
何も言葉が返ってこない
やばい。これはやったな。どこで間違えた
私ただの勘違い女じゃん
『ごめん。今のは忘れて』
そう言い放って急いで帰り支度をする
荷物をまとめ扉に手をかける。
「まって、行かないで」
私の腕を掴んで引き止めてきた
ドタドタドタ
やばいメンバーが来る
『移動しよ』
理佐の手を引いて近くの空き部屋に入り鍵をかける
「.........」
引き止めてきたくせに黙ったまんま
『哀れんでくれてるなら別に必要ないよ』
「ちがっ!」
『じゃあなに?』
りさの頬を伝う一滴のしずく
自分の好意が受け入れられず冷たく当たってしまった私は哀れむどころか救いようもない
大切な人の優しさを踏みにじってしまった
『ごめん理佐。自分勝手だった』
目と鼻を赤くして必死に首を横に振るりさ
「ほんとに...グス...違くて...」
詰まりながらも、どうにか気持ちを伝えようとしてくれている。
「こばは...色んな人に好かれてるから...」
私なんかすぐ飽きられちゃいそうで、と容姿端麗、温厚篤実な目の前の子犬はいらない心配を口にする
『あのさ、私こう見えて初期の頃からずっと理佐のこと想ってたんだけど』
「そんなそぶり見せてくれなかった...」
『それはお互い様でしょ?』
きっとお互い変に心が大人になってしまったが故に、素直に気持ちを伝えることができなくなってしまったのだろう。
手を伸ばしとめどなく溢れてくる雫を親指で拭い、愛おしさが伝わるよう優しく微笑む
「私もこばのことが好き」
それに応えるように言葉にして私の心を潤す
込み上げてきた愛情を今度は私が行動にして返す
手の位置は先程の場所のままで、
理佐の目線が私の口元に下がる
短いリップ音が静かな部屋でやたらと耳に響く
すれ違っていた想いが長い時を重ねやっと交わることが出来た。
理佐の体温がじわじわと上がって来るのを感じる。
『かわいい』
「私の方が年上なのに」
ムスッとした顔を見せたあと瞬時に立場が逆転し
先程よりも長い口付けを交わす。
さっきまでとは打って変わって満足気な表情。
それすらをも愛おしく思える。
これからは同じ気持ちで
離れてしまわぬように気持ちを手繰り寄せて一緒に時を重ねていこう。