ドラマ「新信長公記~クラスメイトは戦国武将~」を観た | まぶたはともだち

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・新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~ #1~10

  

 家康「どうしたもう終わりかぁ?」
    信玄「戦はここからがおもしれえんだよ」

 

    (武田信玄、家康にローキック連発)

    家康「蚊よりも効かぬわ、ゴミが。燃やして灰にしてくれるわ」
    理事長「あの武田がこんな泥臭い戦いをするとはなんとつまらん!見せてみんか…甲斐の虎と呼ばれ恐れられていた武将の血を!」

    信玄「『人は城、人は石垣、人は堀』……」
    家康「なんだそれは?」
    みやび「あれは武田信玄の有名な言葉……」
    理事長「そうだそうだ……血を、武将の血をみせよぉーっ!」
    信玄「人は城、人は石垣、人は堀……!」
    家康「だからなんだそれはぁ!?」

    信玄「意味わかんねぇだろうな、人をゴミ扱いするお前には」
    家康「あぁん?」
    信玄「家康……お前を見ているとむかしの俺を見ているようで、同情するわ。なんてかわいそうな人間だってな」
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    家康「俺が……かわいそうな人間?」
    信玄「あぁ、孤独で寂しい人間だ。俺はなぁ、あいつらに背中を押されたんだ。勝てない相手を前にして、足を震わせながら挑む姿に。誰かのために戦う、その姿に!」

 

    (信玄、家康にはたかれて川に倒れ込む)

    信玄「人は一人では生きていけない。一人で行ける場所など、たかが知れている……それをあいつらから学んだんだ。人は剣でも盾でもない。人は城、人は石垣、人は堀……情けは心をつなぐ……!家康、そのことに気づけないお前は、負ける……!」

    (中略)

    信玄「上杉……俺は石垣の務めを果たしたぞ。信長……その石垣の上にお前が城を立てろ……大将」


これ、原作だとクライマックスにつながる超熱い場面だけど、ドラマ版だとこのあと信長と家康が対決するシーンが2週先延ばしにされてるから、どのシーンにもつながらない蛇足なやりとりなんですよね。


というわけで、生まれて初めてゴールデンタイムのテレビドラマを観ました。

原作は「ライアーゲーム」の甲斐谷忍先生がヤングマガジンで描いていたマンガ。
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一言でいうと戦国武将のクローンが同学年のヤンキーとして1つのクラスに集結し、総長の座をめぐって駆け引きあり、殴り合いありの戦いを繰り広げる、頭脳バトルと不良マンガのいいとこどりをしたような作品です。

1話を読んだ地点で「いける、これは絶対ドラマになる」と確信したのもはや3年前。
おそらくドラマ化は「東京リベンジャーズ」のヒットが影響してるから、きっとヤンキー要素をより強調したものになるんだろうな……と思ったのですが、ふたを開けてみるとなんとも微妙な出来栄えでした。
つまんなくはないし、好意的にとらえれば「面白かった」と言えなくもないですが、モヤッとする部分も多かったです。

一番ツッコミ甲斐があるのはキャスティング。
はっきり言って老けすぎ。見るからに昭和生まれのオッサンが多すぎる。
メインの役者さんの年齢を調べてみると、なんと平均32.2歳。12人中3人が40歳オーバー。

みやび以外は戦国武将のクローンなので、それなりに貫禄も必要でしょうし全員10代にしろとはいいませんが、高校生の息子がいそうな風貌のおっさんが教室で学生やってるのは不気味。100万歩譲ってこれを認めるにしても、モブの学生もAVでもいねえよってレベルのオッサンが相当数見受けられたのは残念でした。

脚本も、原作の大部分を占める旗印戦を大幅に簡略して6話まででほぼ終わらせて、7話からはペリー・ジャンヌダルク・始皇帝のクローンを擁する黒百合高校が攻めてくる完全オリジナル謎展開。

なんか武闘派のオッサン、始皇帝
コスプレ臭がすごい

だいたい墓所が明らかなペリーや始皇帝はともかく、ジャンヌダルクのDNAっていつどこからどうやって採取したんだ。FGOじゃねえんだぞ。
7話以降は明らかにどいつもこいつも頭が悪くなってるんですよね。官兵衛とか聞き耳立ててるだけだし。天才軍師じゃなかったのか。

あとクローンは全員18までに死ぬって展開をみやびが解決したの無理なくないですか。歴史オタクなだけで特別頭が良い訳じゃなかったし、3年でどうにか出来るはずもない。彼女の「〇〇でござりまするか?」みたいな独特の喋り方も最後まで受け付けなかった。江戸時代以前の歴史を学ばなくなった世界であの話し方は、なんJ語録で話すオタクと大差ない痛々しさンゴねぇ……

ビームサーベルで戦うヒロイン。
まあ自分の身を守ることも出来ないのにノコノコ戦場についてくるのもどうかって話ですが、特撮じゃないんだからさ


そんなこんなで平均視聴率4.4%、第9話の最低視聴率3.2%はそれぞれ日本テレビ史上ワースト2位と大苦戦。
(ワーストは2003年の『メッセージ〜言葉が裏切っていく〜』らしい)
まあおっさんは見なさそうだし視聴率で評価をうんぬんする時代などとうに終わっているのでしょうが、Tverとかでも常に深夜ドラマやガリレオのリバイバル配信よりランキング下位だったんですよね。

よく打ち切りにならないなと思っていましたが、第8話終了後にHuluで番外編の配信をやってて、「これがあるから短縮できなかったんだな……」とちょっと可哀そうになりました。

 


良かったのは、一人だけクローンじゃないみやびが銀杏学園に進学した理由づけがなされていたことでしょうか。あと迫真のBGM。
それと役者さんの生き生きとした演技。本当にオッサンばっかりではありましたが、与えられたキャラクターはきっちり演じられていたように思います。突飛な設定の学園ドラマとしてはそれなりに楽しめた3か月間でした。