呉エイジ「我が妻との闘争2020〜浮気心の代償篇~」感想 | まぶたはともだち

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最近はプロ野球もお熱です。

※前作「2019」の感想はこちら

 

 

 

・我が妻との闘争2020〜浮気心の代償篇~

しゃぶりつくすように呉エイジさんのHPを読んでいたのもかれこれ15年前。

テキストサイト全盛期をちょっと過ぎたころでした。

(ファミコンソフトを集めまくるコーナーとか好きでした)

 

我が妻との闘争が連載されていた「マックピープル」が休刊したのも早6年前。

図書館で一生懸命読んでましたね。

このころ、ボクはようやくタイトルの由来がアドルフ・ヒトラーの「我が闘争」であることを知りました。

おっそ!

 

というわけでKindleシリーズ第四弾。マックピープル連載5本、書き下ろし2本の豪華7本立て。

(これとは別にプロローグとエピローグも書き下ろしです)

これ今年の1月発売だったからそろそろ新作出るのかな。

 

 

特に傑作なのは表題でもありサブタイトルでもある「浮気心の代償」。

子どもが成人し、手の空いた呉エイジ夫婦はスポーツジムに通うようになったのですが、そこで氏は「まゆゆ似の彼女」とお近づきになりかけたのだとか。

 

それもこれも、事務での微妙な駆け引きを彼女から感じたことであった。それは私の独り相撲では決してないはずだった。あえて私のトレーニングマシンの真正面のマシンに狙ってくる、スタジオに並ぶ行列で、あとから割って入り、わざわざ私の真横で体操座りをする、それも互いの肘が当たりそうな距離で。など、まるで高校時代に戻ったかのような青春模様であった。

 

(中略)

 

私はただ、タイプの女性とジムで仲良くしたい。あわよくば、談笑しながら肩でお互い押し合いとかになって、偶然私の方が空いての乳房を押してしまった。そんな淡いハプニングを期待しただけのことなのだ。

 

徹底的な隠密リサーチで、彼女が四十代後半(どうみても三十代前半にしか見えない美貌)そして独身というところまでは調べがついていた。

そして事務のインストラクターの就業時間に出待ちをして、そのままお持ち帰りされている、という情報まで入手した。

 

ヤバいヤバいヤバいって破滅の匂いがプンプンするって。

 

まゆゆって渡辺麻友のことですよね?彼女まだ26歳(当時25?)だけど、20代中盤の元アイドルに似ている四十代後半女性って、美魔女ってレベルじゃないっすね。じゃあしょうがないか。

 

書き下ろしだけあって若干長いのですが、この話はある種のサスペンスのような緊張感を持って読むことが出来ました。

出来すぎなオチもついてて、やっぱりこの人の文章は変わらず人を引き付けるものがあると再確認。

 

 

「我が妻」の根幹にはいつも3人の子どもの存在があって、奥さんの小言も「子どもが勉強しとるのにアンタはマックばっかり」という文句が少なくありませんでした。あるいは「金のかかる趣味が家計を圧迫しとるんじゃ」的な。

もう50も超えてそういったお約束からは解放されたはずなのですが、ネタは切れるどころか質が落ちることすらありませんでした。

変わらず早く新刊が読みたいっす。