映画「アルキメデスの大戦」感想 | まぶたはともだち

まぶたはともだち

読んだ全ての本、マンガ、映画の感想を書いていきます。
最近はプロ野球もお熱です。

・アルキメデスの大戦

 

「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」がヤクルトの投手陣さながらの大炎上を見せるなか、同時期に同じ監督が公開した作品を観てきました。

天才数学者が海軍に招聘され、数学の力を借り理詰めで戦艦大和の建造を阻止する、という異色の戦争映画です。

ここまでキツいコメントを私は他に知らない

 

原作は「ドラゴン桜」の三田紀房先生。ヤングマガジンで連載中。

連載開始当初から、欠かすことなく読んでいます。

一応断っておきますが、艦これを未だにやっているにもかかわらず、自分はミリタリー関係は極めて疎いので、どれくらい考証などがしっかりしているのかなどは分かりません。ご了承ください。

 

予告編を見てひっかかったのは、ちょっと女に弱いものの、本気で日本の未来を案じる志の高い青年であるはずの櫂の、間の抜けた変人である面が強調されていたことです。しかし見て見ると評価は一変、菅田正輝氏は三枚目っぽい振る舞いと国の行く末を憂いる熱い姿をいずれもうまいこと演じられていました。まあ実際変人ではあるわけだしな。

他の登場人物も大半はかなり外見を寄せており、役者を知らないボクには海軍上層部の面々は、威厳と風格たっぷりの本物の軍人に見えました。何も文句はありません。

あと「鶴部造船所の鶴部さん」を、本当にモデルの笑福亭鶴瓶が演じていて思わず苦笑い。

 

苗字は変わっていましたが

 

お話も、連載中の原作のストーリーを活かしつつ綺麗にまとめられており、大変に満足のいく出来栄えでした。妙に超大型戦艦が美しい美しいと連呼され、平山中将が狡猾で激情タイプの人物から、あまり感情を表に出さないしたたかな人物へと微妙に変化していましたが、なるほどこういうオチにもっていくためだったのか!

 

……それゆえに「これ一見さんが見て面白いのか?」という疑問は強烈に感じました。

冒頭に坊ノ岬での大和の壮絶な最期を挿入していましたが、基本は超大型戦艦の建造、その計画を阻止するための駆け引きに終始する、サラリーマン的なお話であり、基本的に櫂が図面を黙々と描いたりそろばんをはじいたり、あるいはオッサンがああでもないこうでもないと喧々諤々、議論を戦わせるだけのシーンが多くを占めます。盛り上がりどころはどこなんだ?ターゲット層は一体どこなんだ?(映画館には年配の男性が多かった)

連載第1回からヤングマガジンでせっせと読んでいる、そもそも三田則房先生のファンでもある自分には、普通の人が抱くであろうという感覚は想像できないんですよね。

あー、いつものくせで一人で観ちゃったけど、知り合いを連れていくべきだったなこれー。