ドカベンドリームトーナメント編 最終回(後編) | まぶたはともだち

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お待たせしました、いよいよ完結編です。

本日は表題の通り、「ドカベン ドリームトーナメント編」最終回のネタバレをガッツンガッツンしていきたいと思います。

表紙&巻頭カラー12P、トータル40Pの特大号でした。

大甲子園最終回の表紙を意識した、素晴らしい表紙じゃありませんか。

 

何度も同じ話して申し訳ないんですけど、マジで先週「次回最終回」ってニュースを見た瞬間、強烈にダウナーな症状が襲われて、自分が今まさに自律神経を失調していくのが分かりました。

最終回を読んだら本当にどうなってしまうのか、震えるばかりでした。散々「老害はよ消えろ」とか言ってたけど、いざ本当に終わる段になると「どんなにつまらなくてもいいから一生描いてくれ」と思うばかり。ボクはか弱く、主体性もない人間なのです。

っていうか本当に嫌いなマンガだったら、3万8000字に渡って詳細に書いたりしません。卒論の倍以上の長さでっせ、これ。

 

 

46年続いた物語の、本当の完結。

発売日はNHKで全国ニュースが流れました。その日、チャンピオンを買うついでにQB HOUSEに行ったのですが、待っている間に店内に流れてきたラジオでニュースが流れ、髪を切ってもらってる間見ることになる暇つぶしのモニターにもニュースが流れました。

当日の夜は「クローズアップ現代+」で特集が組まれました。武田真一アナが思い出を熱っぽく語る一方、「プロ野球編以降はちゃんと読んでない」と話し、よっぽどNHKに怪文書と共に単行本を送りつけようかと思いました

 

またこの日、奇しくもヤクルトの山田哲人がサヨナラホームランを放ち、それをドカベンと結びつけて語る人が続出しました。ヒーローインタビューのアナウンサーが何度も「スーパースター、山田選手です!」と連呼していましたが、やはり東京スーパースターズのことを意識していらっしゃったんでしょうか(びょうきじゃん?)(ピピ美)

 

同じセカンドの殿馬が好きらしいです。リップサービス感ハンパない記事だな!

 

 

チャンピオンの巻末コメントで多くの作家さんが労いのコメントを寄せていましたが、特に接点のない作家さんもインターネット上で大団円を祝福していらっしゃる姿が観測されました。

個人的にはちばてつや先生の応援イラストが嬉しかったですね。
 

なんてぬくもりのこもった絵なんだ……。正直泣きそうになりました。

 

 

では最終回本編を見ていきましょう。

ドリームトーナメント決勝、同点の12回ウラ、2死3塁で山田の打席。

全試合サヨナラホームランの前人未到の大記録のかかった打席です。

マウンドに寄ってきた捕手・微笑三太郎に中西球道は言いました。

監督 山田の個人記録など関係なしだ さらにおれのプライドも関係ない

勝負は勝つためにやっているんです

 

深夜12時を回った甲子園球場は、果たして山田は敬遠されるのかという息詰まる極限のシチュエーションの中、嘘のように静まり返りました。しかし微笑が座り、そして初球でストライクを取ると、緊張と興奮をない交ぜにした大歓声が湧き起こりました。

中西の166キロのストレートに、必死で喰らい付く山田。そして5球目をファウルにしたとき、サヨナラの三塁ランナー・岩鬼がタイムを取り、山田に何事か話しかけます。

プレイが再開して、6球目もファウル。もどかしくなる岩鬼。先ほど山田に送ったアドバイスを反芻します。

 

(ええか やーまだ 脇をしめてあごを引いて 思い切りアッパースイングや

 

そして、決着の瞬間が訪れました。

中西の投じた最高のボールを、山田太郎の最高のスイングがバックスクリーンに運んでいきます。

 

打った自分の手をまじまじと見つめる山田。悔いのない表情を浮かべる京都のバッテリー。

全てのファンがまさかと思いつつ、願って止まなかった最高の結末。

グラウンドを1周するドカベンを球場の誰もが、そしてテレビ越しに観ていた誰もが称えるのでした。

「日本一だ――」

「最高~!!」

「山田は日本プロ野球の誇りだ――」

「山田さんやりましたね」

「すごいすごい」

「最高だな山田って」

「ああ」

同じ時代に山田と一緒に野球ができて光栄だった

「山田はおれが今までに出会った中で1番の選手だ」

(新田小次郎のこのセリフが、ドカベン無印のクライマックスを思い出させてくれますね)

 

 

そして嘘のような宴が終わって、静まり返った夜明け前の甲子園球場。

岩鬼と山田は二人きり、ベンチでグラウンドを見つめながら語り合っていました。

岩鬼のアドバイスにお礼を言う山田。

「岩鬼 おまえのそのケタ外れの発想で 楽しく野球をやれた」

「思い出すな おまえと初めて会った日を 思えばあの日から始まった おまえが鷹丘中学に転校してきた日や」

 

そこから10ページにわたり、「ドカベン」第1話の回想シーンが流れます。


岩鬼がどもってないし、殺す殺すってわめいてない。今風のリメイク

 

そして最後は太郎が忘れた教科書を持って、サチ子が学校に現れたところで完。

最後のページには御大による終わりの挨拶が簡潔に述べられ、そしてそこから5ページにわたって46年間の年表が書かれていました。半世紀近い歴史をゆっくり回想してたら、自然と涙が……涙が……

 

 

……。

 

…………。

 

………………。

 

いや、涙は出てこないな……。

 

正直言うと「え?」ってなりました。マジで烈海王の「え?」みたいな顔になりました。

 

「大甲子園」を意識した終わり方ともとれなくもないですが、あまりにも寸足らずすぎる。竜頭蛇尾の極み。

確かにこの物語が岩鬼と山田(とサチ子)の物語であることを再確認して終わらせる、というのはらしいまとめ方でした。気持ちの上では「悪くなかった」と言ってあげたい。しかし優勝したチームはワールドシリーズ優勝チームと戦えるということだったのに、なぜスルーされているのか。

 

あと、結局シリーズ全体のテーマ性ですよね。決勝戦の前に微笑がホテル芦屋を訪れて明訓五人衆が思い出話をするシーンがあったとはいえ、微笑や球道がこの大会に抱く感情みたいなのが見えてこなくて消化不良でした。牛之介たちもこのトーナメントが終わったらペナントレースを戦うわけでしょ。なんか想像つかないんですよね。

本当に今更すぎるタラレバなんですけど、3月のトーナメント優勝チームが10月末くらいに決まるであろう、シーズンを戦い抜いたワールドシリーズ優勝チームと戦うのはやっぱり無理があるし、普通に日本シリーズ優勝チームで良かったんじゃないかな。今年に限りクライマックスシリーズはセ・パ混ぜこぜの一発勝負とかで。いや本当、信者がそんな頭ごなしにコンセプトを否定するなみたいな話なんですけど。

 

個人的な希望を言えば、アカギみたいに単行本1冊くらいかけてエピローグをやって、2018年現在の42歳になった山田たちの様子や、生まれているであろう子どもたちの交流を描いたりして欲しかった。10ページも回想するくらいだったら、せめて日米決戦の話は1ページだけでも触れて欲しかった。あれよ、柔道やってたころに出てきた道場破りのミイラ男軍団がメジャーリーガーになってた、とかいう超展開でも良かったんじゃない?

こいつら

 

唐突な終わり方には「体調不良か?」とも思いましたが、巻末のチャンピオンのコメントを見る限り御大は今でも草野球をやってるみたいですし、おそらく身体はいまでも元気そのもののはず。

(例;今年の18号のコメント。79でどこ守るんだろ……昔ショートって言ってたけど流石に外野かな?)

 

12回に入って微笑がマスクを被ったときはまだまだ続く雰囲気でしたし、やはりチャンピオンの現人神・水島新司(アンサイクロペディアより)といえど打ち切りだったんでしょうか。単行本の売り上げが採算ラインを下回っていてもおかしくない内容だったと思いますし。

いや、しかし御大の孫とどっこいどっこいの年齢の人間が、超大御所作家に対して、続けてくれならともかく「あと4週で終わらせてください」などと言えるのでしょうか。分からない……。

 

 

とにもかくにも、これで御大の連載作品はなくなることになります。「次回作にご期待ください」ってありましたけど、しれっとまたドカベンを描いても全然良いのよ?

今年3月に発表していたあぶさんの新作が、結構面白かったのを思い出します。やはり毎週クオリティを保って描き続けるのはしんどいにしても、これからはご自身にあったペースで作品を発表していただければなと思いました。

 

そういえば、自分は水島マンガを全て読破したわけではありません。

「へい!ジャンボ」と「アルプスくん」はどうしても単行本が調達できなくて、未だに読んでいません。

あとドリームトーナメントには出てこなかったけどサイクルサッカーマンガ「輪球王トラ」、アパッチ野球軍の前身「エースの条件」、そしてチャンピオンでドカベンの前にやっていた「銭っ子」とかも。貸本マンガ時代のものは言わずもがな。

銭っ子は国立国会図書館にはあるみたいですけど。早く全集を出してくれ!頼む~!

 

あとドカベン関係で考えられる展開で言うと、アシスタントがスピンオフ書くとか。これはマジでありそう。秋田書店はちっちゃい出版社ですからね、一部のヒット作にぶら下がらざるを得ません。バキとかブラック・ジャックのスピンオフは、マジで両手の指で数え切れないほどありますもん。そもそもドカベン読んでマンガ家を志した人だって相当数いるでしょうし。

というかあまりにも最終回が消化不良すぎて、最悪自分が書くという気持ちさえあります。文章で。二次創作とかホント興味ないんでSSとか読んだことすらないんですけど、ボクの考えたドリームトーナメント編最終回とか、あとボクの考えた最強のおはようKジロー最終回とかいきなりここに投稿する可能性がそこそこの確率で存在します、そのときは笑ってやってください。

 

なんかもう要領を得なくなってきたので、ドカベンの話はひとまずここまでにしておきます。

御大、いや水島新司先生、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

ありがとう、山田太郎。明訓四天王、永遠なれ。

チャンピオンの表紙のあおり文句が、そのままボクの気持ちを代弁してくれています。

山田たちは、いつまでもボクの心の中で生き続ける存在です。

もう一度心から申し上げます、ありがとうございました。

 

 

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