令和4年5月18日、第13回成年後見制度利用促進専門家会議が開催されました。
この会議において、最高裁判所が成年後見制度の利用の促進に関する取組状況等について報告しました。
その中で、「家庭裁判所における後見関係事件に関する執務の実情について~書記官事務を中心として~」という興味深い内容の報告がありました。
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家庭裁判所が後見関係事件においてどのようなことをしているのか、書記官の業務を中心に詳細な説明がなされています。
規模の異なる家庭裁判所(大規模・中規模・小規模)を対象に調査を実施し、職員の体制や実際の業務内容をわかりやすくまとめています。
この報告を読めば、後見関係事件において家庭裁判所、とりわけ書記官がどのような役割を果たしているかがよくわかると思います。
そして、おそらく多くの人が、「こんなに少ない人員で、これだけの多くの業務を行っているのか…」と驚くのではないかと思います。
大規模庁こそ後見関係事件専従の書記官がいますが、中規模庁・小規模庁においては、書記官の数も少なく、後見関係事件以外の家事事件に関する事務を兼務しているとのことです。
第二期成年後見制度利用促進基本計画においては、地域連携ネットワークの機能強化に向けた家庭裁判所と関係機関との連携の更なる強化が求められることになりますが、正直、その前に家庭裁判所の人員体制の強化をする必要があるのではないかと思いました。
それと同時に、家庭裁判所と関係機関との連携の強化において、あれこれ家庭裁判所へ要求するだけでなく、関係機関による家庭裁判所への協力・支援という視点も必要なのではないでしょうか。
私たち専門職がまずできる協力としては、家庭裁判所への申立書や報告書をきちんと作成して、家庭裁判所の負担を減らすということでしょうか。
それから、専門職として知識・経験を蓄えて、家庭裁判所に不必要な連絡はしないということも大切だと思います。
当たり前のことですし、微々たることではありますが、専門職として肝に銘じたいものです。
この報告は、関係機関と家庭裁判所の相互理解を目的として行われましたが、一般の人にとっても家庭裁判所における後見関係事件に関する執務の実情についてわかる内容になっていると思います。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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