成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証報告書が公表されました | 成年後見日記

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令和2年3月17日、成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証報告書(以下、「中間検証報告書」といいます)が公表されました。

コチラ

 

成年後見制度利用促進基本計画は、2017年度~2021年度の5か年計画ですが、今年度はその中間年度にあたります。

そこで、今年度は成年後見制度利用促進専門家会議に 「中間検証WG」を設置し、全4回にわたって検証を行ってきました。

詳細⇒コチラ

 

この中間検証WGの議論を踏まえて、まとめられたのが中間検証報告書です。

 

本来であれば、令和2年3月11日に開催される予定であった第6回成年後見制度利用促進専門家会議において、この中間検証報告書が公表されることを予想しておりましたが、コロナウィルスの影響で会議は「持ち回り開催」に変更され、3月17日に厚生労働省のホームページで公表されました。

 

さて、この中間検証報告書ですが、「専門職は何をすべきか」という観点から見てみたいと思います。

 

この中間検証報告書の中で「専門職」というワードは、実に34回も出てきます。

 

では、この中間検証報告書を受けて、私たち専門職は何をすべきでしょうか。

 

① 意思決定支援研修への参加

「令和2年度から令和3年度末までに、全都道府県 において、専門職後見人、親族後見人や市民後見人を含めた後見人等向けの意思決定支援研修を実施し、成年後見制度における意思決定支援の重要性を全国的に普及・啓発していくべきである。」(p.5 上から2行目)

 

②   専門職団体における意思決定支援の理解推進

「後見人等や、成年後見監督人、保佐監督人及び補助監督人(以下「後 見監督人等」という。)を務める専門職が、意思決定支援や身上保護等の福祉的な視点も踏まえて事務を行うことができるよう、専門職団体において、研修等を通じた周知・啓発を積極的に行っていくことが望まれる。」(p.5 下から6行目)

 

③ 親族後見人への支援

「中核機関等による親族後見人の支援機能の充実が重要であり、後見人支援機能が十分でない場合は、専門職による親族後見人の支援を検討する。」(p.6 下から7行目)

「中核機関等による支援体制が整備されていない場合に親族後見人と専門職後見監督人等の選任を行うことについては、後見監督人等の報酬が発生して負担となることや、後見監督人等の中には 必ずしも身上保護や意思決定支援の側面を踏まえた助言がなされていない場合があるとの指摘があった。」(p8 上から2行目)

 

④ 専門職団体における適切な後見人等の交代等の取組の推進

専門職団体においては、後見人候補者に係る受任調整や後見人支援のための体制整備に関して必要な協力を行うとともに、各専門職を監督・支援する立場から、適切な後見人等の交代等に向けた取組を一層推進していくことが期待される。 」(p.9 下から20行目)

 

⑤   中核機関等の整備や市町村計画策定に向けた更なる取組の推進への協力

「国において、これまでに国が実施した自治体の取組状況調査の結果の分析や地域へのヒアリング等を通じてその実情やそれぞれが抱える課題を具体的に把握するとともに、地域における各機能の実質的な整備状況についても的確に評価しつつ、専門職団体などの協力を得ながら、きめ細やかな支援を行っていくことが不可欠である。」(p.12 下から19行目)

 

⑥   地域連携ネットワークの更なる構築に向けた関係機関の連携推進

「各地域において、基本計画に掲げられた地域連携ネットワークの機能を十分に発揮するため、家庭裁判所、専門職団体、社会福祉協議会、地域包括支援センター、民生委員等、これまでもそれぞれの立場から役割を果たしてきた関係団体・関係者と緊密に連携を図っていくこと が重要である。」(p.13 上から12行目)

 

⑦  市区町村長申立の適切な実施のための連携

「各地域において市区町村長申立を適切に実施するためには、市区町村職員、福祉・医療関係者、専門職等が連携して、成年後見制度が必要な方を発見し相談につなげ、市区町村長申立に対応できる体制が構築される必要があり、こうした観点から地域連携ネットワークの整備の推進が重要である。 」(p.15 下から2行目)

 

⑧   不正防止に関する取組

専門職後見人による不正の防止を図るため、各専門職団体による不正防止の取組が今後とも着実に実施されることが望まれる。」(p.18 下から17行目)

 

以上、中間検証報告書から、「専門職は何をすべきか」を探ってみました。

 

③から⑧については、すでに行っていることを、さらに進めるということになるでしょう。

①と②の意思決定支援については、今後積極的に取り組んでいく必要があると思います。

 

中間検証報告書で、今後、私たち専門職がすべきことが明確になったのではないでしょうか。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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