成年後見関係事件の概況(平成31年1月~令和元年12月)が発表になっていますね。
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この概況で注目したいのは以下の点です。
①申立件数の停滞
成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人選任事件)の申立件数は合計で35,959件(前年は36,549件)であり、対前年比約1.6%減少となっています。
一番伸びたのが補助開始の審判の申立件数で、対前年比約32.8%の増加になっています。
②本人申立ての割合の増加
申立人については,本人の子が最も多く全体の約22.7%を占め、次いで市区町村長(約22.0%)、本人(約18.6%)。
本人申立ての割合は前年は約15.8%でしたが、今回は約2.8%増加しています。
これは、保佐や補助の申立件数の増加に伴うものでしょう。
市区町村長の申立ては7,837件で、前年の7,706件 (前年全体の約21.3%)に比べ、対前年比約1.7%の増加にとどまっています。
③鑑定実施割合の低下
成年後見関係事件の終局事件のうち、鑑定を実施したものは、全体の約7.0%(前年は約8.3%)でした。
これは本人情報シートの導入の効果でしょうか?いったいどこまで下がるのでしょう…。
④親族後見人の選任割合がさらに低下
配偶者、親、子、兄弟姉妹及びその他親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約21.8%(前年は約23.2%)となっています。
⑤司法書士の選任数が依然としてトップ
第三者後見人の選任数
親族以外の後見人等27,930件(前年27,906件)
内訳
弁護士 7,763件(前年8,160件)
司法書士 10,539件(前年10,535件)
社会福祉士 5,133件(前年4,837件)
市民後見人 296件(前年320件)
今回の「成年後見関係事件の概況」を読んで、成年後見制度の利用促進があまり進んでいないという印象を受けました。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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