平成30年6月1日から、東京都内の信用金庫及び信用組合において、後見制度支援預金の取扱いが順次開始されます(当面は東京家庭裁判所本庁のみ。)。
(詳細はこちらをご参照ください。)
後見制度支援預金というのは、口座開設、入出金、解約の際に裁判所の「指示書」が必要な預金です。
わかりやすく言うと、鍵のかかった預金です。鍵が裁判所の「指示書」になります。
後見制度支援預金は、従来からある後見制度支援信託と同様に、後見人による財産の横領を防ぐためのものです。
平成29年3月に閣議決定された「成年後見制度利用促進基本計画」において、「不正防止の徹底と利用しやすさとの調和」のために、後見制度支援信託に代替・並立する新たな方策の検討の必要性が謳われました。
平成29年7月に全国で初めて静岡県の信用金庫で後見制度支援預金の取扱いが開始され、その後全国に広がっています。
従来の「後見制度支援信託」は、メリットもありますが、デメリットもあります。
詳しくは「後見制度支援信託って実際のところどうなんだろう」をご参照ください。
一見したところ、後見制度支援預金は、後見制度支援信託よりも簡便そうに見えますが、両者はどうちがうのでしょうか。
富士宮信用金庫が両者のちがいについてまとめています。⇒コチラ
(以下、引用)
Q 同じような制度の後見制度支援信託とはどこが違うのでしょうか。
A 主な違いは次の3つです。
1. 後見制度支援信託では最初に専門職後見人の方が制度の利用可否を検討し、家庭裁判所の指示を受けて信託銀行で信託契約を結びますが、「後見支援預金」では専門職後見人が選任されるかどうかは家庭裁判所が判断します。このため、当初から親族後見人だけで手続きが進められることもあります。
2. 後見制度支援信託では最低預入金額が定められている信託銀行もありますが、後見支援預金は最低預入の制限がありません。従ってどなたでも利用し易くなっています。
3. 「後見支援預金」では、口座開設費用や信託報酬は必要ありません。その他の手数料等については、お取引信用金庫にお問い合わせください。
また、専門職後見人が選任されない場合は、選任に係る費用も発生しません。
手続的には、「親族後見人だけで手続できる」かどうかがポイントですね。
これは家庭裁判所の判断によるとのことですが、もし専門職後見人を選任するとしたら、信託とかわらなくなってしまうので、手続き的にはあまりメリットを感じられないですね…。
東京家庭裁判所で今後どのように運用されていくのか、注目したいと思います。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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