大阪家裁後見センターだより 第5回 | 成年後見日記

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大阪弁護士会会報において、2017年5月号から、大阪家庭裁判所家事第4部後見係(大阪家裁後見センター)による「大阪家裁後見センターだより」という連載が3か月に1回のペースで掲載されています。

 

内容は、日頃後見人等から寄せられる質問への回答、後見等事務を行ううえで配慮すべき事項等を紹介していて、後見実務に携わる人にとっては、とても参考になるものになっています。

 

連載第5回は2018年4月号に掲載されました。

 

連載第5回の内容は、「本人死亡後の監督に関する運用の概要」がテーマです。

 

主な内容は次のとおりです。

1 管理計算報告・相続財産引継ぎに関する原則

2 元後見人による管理計算報告・引継ぎ事務の通常の流れ

 

それぞれの内容の詳細については、「大阪家裁後見センターだより」をご覧ください。

 

ここでは、私が参考になった点について感想を述べたいと思います。

 

1 管理計算報告・相続財産引継ぎに関する原則

本人が死亡した場合、後見人は、相続人に対し、管理の計算を報告し、相続財産を引き継ぐ義務があります。

後見人のこれらの義務は、性質上不可分の債務であるため、相続人が複数ある場合でも、そのうち1人に対して行えば足りるというのが原則です。

 

もっとも、実務上は、複数の相続人がいることがわかっている場合には、全員に連絡して、代表者を決めてもらって、その人に報告・引継ぎを行うことが多いのではないでしょうか。

私も、連絡しなかった相続人にあとで文句を言われないように、全員に連絡するようにしています。

 

ただ、原則は相続人の1人に対して報告・引継ぎを行えば足りるわけですから、たとえ相続人の中に非協力的な人がいる場合でも、原則に立ち返って処理すればいいということになります。

そのことを改めて確認することができました。

 

2 元後見人による管理計算報告・引継ぎ事務の通常の流れ

相続人が相続財産の受領を拒絶した場合にどうすればいいのかについて整理して書かれていて、とても参考になりました。

 

最近では、東京でも、こういった場合に民法918条2項の相続財産管理人を選任する運用がなされています。

 

(民法918条2項)

家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。

 

この記事では、相続財産管理人の選任のほか、「相続財産の保存又は管理に関する処分」の申立てをして、寄託・換価・廃棄を求める可能性についても踏み込んで言及しています。

 

私は、今まであまり報告・引継ぎで苦労したことはないのですが、今後、相続人の相続財産の受領拒絶にあった場合は、この記事を参考にして(もちろん後見センターに相談しつつ)、対応したいと思います。

 

裁判所によって運用は若干ちがいがあるかとは思いますが、この「大阪家裁後見センターだより」で紹介されている運用は、私のような実務に携わる者にとっても納得のいくものです。

 

「大阪家裁後見センターだより」の次の連載も楽しみにしています。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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