LIBRA 2018年5月号「成年後見実務の運用と諸問題」 | 成年後見日記

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東京弁護士会の会報「LIBRA」の2018年5月号に東京三弁護士会主催の研修会「成年後見実務の運用と諸問題」についての記事が掲載されています。⇒コチラ

 

この研修会は、東京三弁護士会が、平成29 年12 月18 日、東京家庭裁判所後見センターの日景聡裁判官、村井みわ子裁判官、小西俊輔裁判官を招いて行った研修会です。

 

この研修会は、事前に質問を募ってそれに対して裁判官が回答をしていますので、実務的に気になる事柄を扱っていて、かなり充実した内容です。

 

今回、とくに参考になったのは「推定相続人の意思確認の要否」です。

 

これは、後見人が多額の支出をしたり、不動産を売却したりする場合、どの程度推定相続人(本人が亡くなったら相続人になる人)の意向を確認すべきかという問題です。

 

いずれは、本人の財産は推定相続人のものになるのですから、後見人としてはあとから文句をいわれないように、なるべく推定相続人の意向を確認しておきたいという気持ちになるものです。

ただ、本人と疎遠な推定相続人にまで、いちいち意思確認をしなければならないのか、と悩むこともあります。

 

この点につき、裁判官は「推定相続人の意向確認の是非や,その同意を得るか否かの判断は,もっぱら後見人の裁量に委ねられるべき事項であり,それが本人の利益保護に資するか否かという観点から要否を判断していただければ足りる。」と回答しています。

 

推定相続人の意思確認の要否についても「本人の利益保護に資するか」が判断基準になるということですね。

 

また、たとえ後見人が推定相続人の意思を確認したとしても、必ずしも推定相続人の意思に従うわけではありません。

最終的には「本人の利益保護に資するか」という観点から後見人が判断することになります。

 

ただ、推定相続人の意思を確認したうえで、後見人がその意思に反する判断をすると、推定相続人との間で軋轢を生むことになるので、悩ましいところですね…。

 

この記事においては、他にも後見実務において疑問に思う事柄について、裁判官の見解が示されています。

 

後見実務に携わる方には必読の記事ですね。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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