「後見制度支援信託」って実際のところどうなんでしょう?
もし、あなたが親族の後見人になって、後見制度支援信託の利用を検討することになった場合、どういった点に注意すべきかについて、5回にわたってシリーズで書いてきました。今回は最終回です。
前回は、
③ いくら信託すればいいの?
というテーマで、信託金額を決めるときの注意点について述べました。→コチラ
今回のテーマは
④定期交付金はいくらにするの?
です。
あなたが信託の利用を選択すると、専門職の後見人が選任されます。
次の3点について、あなたと専門職後見人との協議により決めます。
① どこの銀行に信託するか。
② いくら信託するか(信託金額)。
③ 定期交付金はいくらにするか(定期交付金額)。
どこの銀行にいくら信託するか決めたら、次は、定期交付金の額をいくらにするかを決めます。
定期交付金というのは、信託財産からあなた(親族後見人)が手元で管理している預貯金口座に対して、定期的に送金を受ける一定額のお金のことをいいます。
被後見人本人の年間の収支が黒字の場合は定期交付金は設定しません。
赤字の場合は、その赤字を填補するために、定期交付金を設定します。
この定期交付金の額を決めるのが信託の手続において一番神経を使う部分です。
定期交付金額が多すぎると手元金が溜まっていって、将来追加信託が必要になりますし、少なすぎると手元金が減っていって、将来定期交付金額の変更が必要になってしまいます。
赤字を填補する妥当な額をあなたと専門職後見人とで協議して決めます。
私が専門職後見人として信託をする場合は、年間収支予定又は年間収支実績に基づいて、年間の赤字額を算出し、それを12で割って1月あたりの不足額を算出します。
その金額を、親族後見人が希望する頻度(3か月に1回とか)で送金してもらうようにしています。
たとえば、年間収支が12万円の赤字である場合、定期交付金3万円を3か月に1回送金してもらいます。
あなたに定期交付金額と送金の頻度について希望があれば、その額及び根拠を専門職後見人に説明し、専門職後見人と協議することになります。
以上、全5回にわたってもし、あなたが親族の後見人になって、後見制度支援信託の利用を検討することになった場合、どういった点に注意すべきかについて、書いてきました。
信託の手続自体は専門職後見人がやってくれますが、信託契約締結後に専門職後見人は辞任します。
以後はあなたが親族後見人として、必要があれば一時金交付、追加信託等の手続をしていくことになります。
ですから、あなたも親族後見人として、後見制度支援信託について理解することが必要になります。
また、信託の手続の間(3~4か月)は専門職後見人が付いているわけですから、信託だけではなく、後見業務について疑問があれば、質問して教えてもらうことができます。
私の場合は、信託の手続の終了後にも、親族後見人の方から質問のお電話をいただいたりすることもあります。
せっかくの機会ですので、わからないことはどんどん専門職後見人に質問して、専門職後見人を有効活用していただけたらと思います。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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