平成29年4月17日、日本成年後見法学会の緊急シンポジウム 成年後見制度利用促進基本計画と市区町村の役割~地域福祉と「地域連携ネットワーク」を考える~が開催されました。
平日の日中開催、参加費5000円という悪条件にもかかわらず、会場は約450名の参加者で大盛況でした。
そういえば、定員300名で募集していたはず…。
3月24日の成年後見制度利用促進基本計画の閣議決定を受けて、これから各市区町村で計画を策定し、実践していくことになるので、各市区町村の担当者の関心が高かったためでしょうか。
私は午前中しか参加できませんでしたが、それでも参加した甲斐がありました。
午前中のプログラムは次のとおり。
【開会挨拶】 大貫正男氏(日本成年後見法学会副理事長)
【来賓挨拶】 加藤勝信氏(内閣府特命担当大臣)
【基調報告】 「成年後見制度利用促進基本計画について~促進委員会審議の経過と計画の概要~」須田俊孝氏(内閣府 成年後見制度利用促進委員会事務局参事官)
【実践報告】
近藤政雄氏(志木市健康福祉部長寿応援課)
山本繁樹氏(地域あんしんセンターたちかわ)
大塚江梨華氏(藤枝市成年後見支援センター)
高橋弘氏(飯能市成年後見支援センター)
須田参事官の【基調報告】は、促進委員会でどのような審議がなされて基本計画にまとめられたかがわかり、興味深かったです。
私がかねがね疑問に感じていた「地域連携ネットワーク」と「中核機関」の役割分担については、各地域において「中核機関」が自らどこまで担うかをその地域の実情にあわせて決めていけばいいそうです。
だから、あえて基本計画では役割分担を明確にせず「地域連携ネットワーク及び中核機関が担うべき具体的機能等」と記載してあったのですね。
また、各地域の福祉部門が司法のネットワークを活用する「権利擁護支援の地域連携ネットワーク」というのは地域福祉の観点からはかなり画期的な試みだということを再認識しました。
私は司法ネットワーク寄りの立場なので、地域福祉の観点からの「権利擁護支援の地域連携ネットワーク」の意義については正直よくわかっていませんでした。
成年後見制度というのは権利擁護の一手段ですが、後見人という存在を中心に、被支援者本人が必要とする支援を地域において実現するのが「権利擁護支援の地域連携ネットワーク」なんですね。
【実践報告】は、各地域における実践的な取り組みの報告です。
全国初の条例を制定した志木市、広域(3市)での後見推進事業に取り組む藤枝市、身上保護と財産管理の分業による法人後見による市民後見を推進する飯能市など。
各地域がそれぞれの地域の実情に応じてさまざまな取り組みをしているんですね。
今後は日本全国の市区町村を中心に成年後見制度利用促進計画を策定して実践していくことになります。
今後日本全国でどのような取り組みがされていくのかに注目したいと思います。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
★お問い合わせ先★
★過去の後見日記★
「成年後見相談室」
http://www.tokyoj-seinenkouken.jp
★twitterアカウント★
https://twitter.com/mami_nomura
★任意後見Q&A★