後見制度支援信託って実際のところどうなんだろう④ | 成年後見日記

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「後見制度支援信託」って実際のところどうなんでしょう?

 

もし、あなたが親族の後見人になって、後見制度支援信託の利用を検討することになった場合、どういった点に注意すべきかについて、何回かに分けてシリーズで書いています。

 

前回は、

②どこの銀行に信託するといいの?

というテーマで、各銀行の後見制度支援信託を比較してみました。→コチラ

 

今回のテーマは

③ いくら信託すればいいの?

です。

 

あなたが信託の利用を選択すると、専門職の後見人が選任されます。

次の3点について、あなたと専門職後見人との協議により決めます。

 

① どこの銀行に信託するか。

② いくら信託するか(信託金額)。

③ 定期交付金はいくらにするか(定期交付金額)。

 

どこの銀行に信託するか決めたら、次は、信託金額をいくらにするか

を決めます。

 

被後見人の現在の預貯金・現金額―後見人の手元に残す金額

=信託金額

 

つまり、後見人の手元にいくら預貯金・現金を残すかを決めれば、

信託金額が決まることになります。

 

では、後見人の手元にいくら預貯金・現金(手元金)を残せばいいのでしょうか?

 

東京では手元金は100万円~500万円程度です。

 

手元金は何のためのものかというと、急にお金が必要になる場合(被後見人の死亡による葬儀費用など)に備えるためのものです。

 

私が専門職後見人として信託をする場合は、親族後見人と協議のうえ、200万円~300万円程度を手元金とするケースが多いです。

 

もっとも、近い将来に確実に支出が見込まれる場合(税金、弁護士費用、入院費等)は、その旨の事情を裁判所への報告書に書いてもっと手元に残す場合もあります。

 

500万円を超える手元金を残したこともあります。

それは、満期が1年以内に来る利率の良い福祉預金があった場合です。満期後に、追加信託をすることを裁判所に説明しました。

 

ただ、1000万円以上の手元金を残すと、原則的に後見監督人が付くそうなので、せっかく信託したのにさらに監督人も…ということになりかねませんので注意が必要です。

 

あなたが手元金の金額について希望がある場合は、その額及び根拠を専門職後見人に説明し、専門職後見人と協議することになります。

 

手元金額が決まったら、信託金額も自動的に決まります。

 

信託金額が高額の場合、ペイオフ対策として、いくつかの銀行に分けて信託することも可能です。

私は、親族後見人の希望に従って、1000万円ずつ、3つの信託銀行に分けて信託したことがあります。

(専門職後見人としては、3倍の作業量になりますが、報酬には一切反映されないのがつらいところ…)

あなたがペイオフ対策を希望する場合は、その旨を専門職後見人に伝えましょう。

 

以上、今回は③いくら信託すればいいの?について述べました。

 

次回のテーマは、④定期交付金はいくらにするの?です。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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