本日、テレビ朝日のスーパーJチャンネルで~成年後見人の光と影~という特集が放送されました。
テーマはずばり「親族の専門職後見人に対する不満」です。
2つのケースが紹介されました。
一つ目は、労災によって高次脳機能障害になった被後見人の男性に弁護士の後見人がついたケースです。
【被後見人・親族の後見人に対する不満】
①弁護士は6年間で一度も自宅に来たことがない
②6年間に2度事務所で会っただけ(あとは事務所の部下にまかせたまま)
③被後見人を介護している同居の母に生活費の平等負担を求める
④被後見人の障害年金17万円のうち14万円しか支給してくれない
⑤労災の一時金が1000万円以上あったにもかかわらず、被後見人の手術費200万円を後見人が当初送金してくれず、母が立て替えた
【これに対する後見人の弁護士の説明】
①・②⇒部下を通じての状況確認は滞りなく行われていた
③・④⇒成人している息子の財産から親が食費・生活費を出してもらうのは逆の発想。被後見人だけなら月14万円で生活を維持できる
⑤⇒1回目の手術のときにはまだ労災の和解が成立していなかった。将来どうなるかわからないので節約しすぎてもしきれない。堅実に行くべき
このケースを見て思ったのは、私達専門職後見人は、被後見人の財産を守らなければ!という気持ちが強すぎるのかもしれないということです。
それから、家族の家計に第三者である後見人が介入していく難しさも感じました。
同居している家族の家計を個人単位でスパッと割り切るのはそもそも無理がありますよね…。自分の家族を考えてみたら、私のお金は家族みんなのお金ですもの。
ただ、親族への扶養に慎重にならざるを得なかったこの弁護士の気持ちは私も痛いほど理解できます。
この弁護士の方に非があるとすれば、やはり被後見人やお母さんと直接コミュニケーションをとらなかったことだと思います。被後見人やお母さんとコミュニケーションをしっかりとって信頼関係を作ることができていたら、このように後見人に不満を抱くこともなかったのではないでしょうか。
やはり、後見人は、事務的な仕事(通帳の記帳、出納帳作成、費用の支払等)を部下にまかせるのはいいとしても、被後見人本人に会って話を聴くという一番大切なことは、後見人自らが行うべきだと改めて思いました。
ケース2については、また明日。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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