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mamingtan-13  まいにち耽美で中国語

中国語耽美小説を中心につぶやきます

 

花滿篩『精打細算』「(仮)銀行員」

 
 

威向有限公司2021年(全3巻)

   jīng dǎ xìsuàn  

 

ジャンル     日常劇

中国語難解度   ★★☆☆☆

  虐文度     ★★★★☆

    肉文度      ★★★★☆

   萌度     ★★☆☆☆            

中華風味度   ☆☆☆☆☆ 

総合おすすめ度  ★★★★☆  

 

 

 

今まで読んだ耽美小説の中でも、泣いた耽美小説ベスト3に入ります。

一人称の “  ”(私)が語る物語に感情移入して、最初から最後まで一気に読めます。

 

  タイトルについて

          『 精打細算jīng dǎ xìsuàn はよく使われる四文字熟語で

“細かくそろばんをはじく、お金をムダに使わず倹約すること、綿密に計画を立てたり計算高いさま”

をあらわします。

  主人公の安然 ān rán は銀行員で職業柄、金銭にもとても細かく、几帳面に家計簿をつけています。

その習慣は韓暮雨 hán mù yǔと出会ってからも同じで、二人の思い出もここに綴られていきます。

しかし物語は『精打細算』とは行きません…。

  

 

 

    立ち上がる ざっくりあらすじ 立ち上がる

 

  大卒で親戚のコネで銀行員になった安然 ān rán は自他ともに認める平凡な青年。

特に夢もなく、ただ安定した生活を送るために銀行で日々黙々と仕事をこなしていた。

 ある日、職場に向かう途中で、道端に座り込んでいた男――韓暮雨 hán mù yǔ を浮浪者と勘違いして、

小銭を渡そうとするが「自分は物乞いじゃない」と跳ね返されてしまう。

韓暮雨は物乞いではなく、家族を支えるために大学進学をあきらめ、地方から出てきて日雇いの仕事を探していたのだ。  

  その後、韓暮雨は安然の勤める銀行の近くの工事現場で働くことになる。

韓暮雨は、銀行のATM機でトラブルに遭ったり、工事現場の社長と一緒に口座を開きに窓口に来たりして、安然と顔見知りになって行く。

二人の出会いは最悪だったが、しだいにお互い好意を抱くようになる。

 

  

 

 工事現場で汗にまみれて働く男と銀行の窓口で涼しげな顔をして働く男が互いに魅かれ合う物語です。

 

  “我” (安然)を通して、語られる日常の情景と心の描写はとても繊細で美しいです。

“我”をとりまく周囲の人物(家族、友人、同僚)たちも詳細に語られて、どこにでもあるような生活がありありと描かれます。

 

  銀行の窓口でそつなく業務をこなす安然。工事現場で黙々と働く韓暮雨。

安然の帰り道に韓暮雨の工事現場があり、出くわして言葉を交わしたり、韓暮雨が銀行へ行って田舎に暮らす妹にお金を送ったり、とどこにでもありそうな日常の営みの中で二人の距離が少しずつ近づいていく過程がたまらなく愛おしいです。

 

特に二人の職業に関係して登場するアイテムも非常によい。

 

   安然が初めて韓暮雨に送るプレゼントは、銀行でカードを作って一定の貯蓄をするともらえるという特典の保温ボトル。

韓暮雨が使用済みのペットボトルに名前を貼って何度も使っているのを見ていた安然が、彼に保温ボトルを送りたくなったのです。韓暮雨はそれを工事現場で盗まれないように大切に使います。

  また手先の器用な韓暮雨は、工事現場の廃材で花を作って安然の通る道に飾ったりしています。

お互い忙しくて会えない時は、韓暮雨が行列に並んで銀行の窓口でしばしの二人の時間を楽しんだりしています。

安然は特典の保温ボトルも社員であることを利用して多少ズルしたりして手に入れます。

銀行員としての公私混同はこれくらいまではよいのですが、やがて仕事上の苦境に陥った韓暮雨を何とか助けようと一線を越えてしまうのです…。

 

  いたって普通で平凡に見える人でも、恋愛やギャンブルなどにのめり込むと、後先考えずにや大胆な行動に走ったり、足を踏み外すこともある。

読者としては“もうやめて~”と涙ながらに安然を見守るしかありません。

しかし最大の救いが、韓暮雨が自分のすべてを投げ捨てるに値するほどの人だったこと、自分と同じく、あるいはそれ以上に安然を愛していたことですべては報われます。

そのあたりが99パーセント、ハッピーエンドの安心安全な中国耽美小説です!

 

  立ち上がる ちょこっと中国語 立ち上がる

  名セリフ、きれいな中国語がとても多いです。

若干、重たいですけど…。

 

    愛的開始,就是想念  ――本文より

 

 愛の始まりは、心に強く想うことーーから始まって、恋愛に浮かれるさまも語られます。

 

我這心就像搖了很久的瓶裝可樂,突然打開蓋子,

裡面的快樂噴涌而出,甜蜜粘膩地濺了一身……

             ――本文より
 

 振りまくったコーラのキャップを開けると甘くてべっとりした快楽が噴き出してきて体にかかったかのような気分だ…

 

慢點兒走,慢點兒走,一路到白頭。 

――本文より
  ゆっくりと、ゆっくりと、一緒に年をとろう。

 

我仍抱着暮雨不肯鬆手。

他是我的所有,我未來的一切的快樂和幸福。

――本文より


僕は暮雨の手を放さない。

暮雨は僕のすべて、僕の将来の喜びも幸せも…とのめり込みすぎです。

 

 安然は、韓暮雨に名前を呼ばれるときの喜びを何度も書いています。

 

他叫安然…我並不奇怪他知道我叫什麼,上班的時候我胸前巨大的工牌上清清楚楚地印着我的大名。

我只是奇怪,他居然把這個名字叫得動聽。

那兩個字從他嘴裡蹦出來,輕輕巧巧地落進我的耳朵里,我忽然發現,其實,我有個非常悅耳的名字。

                    ――本文より

 

 初めて彼が自分の名前を呼んだのは、銀行の名札を見て知っているからに過ぎなかった。

それでも彼が呼ぶ声が耳に入って来ると、自分がこんなに耳心地のいい名前だったのだと初めて気づいた。

 

  

紙書籍の付録は通帳!

 

 

  立ち上がる ちょこっと気になる 立ち上がる

 

  ふだん歌など歌わない韓暮雨が口ずさんだ曲が台湾の歌手、周華健の『風雨無阻』。

 

“給你我的全部  你是我今生唯一的賭注”


 “あなたにすべてを捧げる あなたは私の人生における唯一の賭け”。

 

と印象的な歌詞で始まるこの名曲は、のんびりしたメロディーと重たい歌詞がアンバランスだなといつも思っていました。

しかし、この歌詞にインスピレーションを受けたのかと思うくらい今回の物語とマッチしていて、今後この曲を聞くと涙が出そうです…。

 

周華健の『風雨無阻』

 

 

泣きました。本当に…。

でも二人とも重ための似た者同士なんですよね…。

 

 

  次回はからりと行きたいなと思います。

スイート耽美小説の傑作、

徐徐圖之『袁先生總是不開心/袁先生总是不开心』

(『(仮)袁氏はいつも不機嫌』)

です。