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著者は元NPO法人「あなたのいばしょ」理事長、現在は自民党の衆議院議員です。上記は、彼が高校生の時に心の限界に達した時に、ずっと自分を気にかけてくれていた先生にあてたメールの一部分。長文ですが一気に読めるくらい心を刺す内容なので前半部分をそのまま掲載させていただきました。彼の幼少期から受けてきた虐待や、重く抱えてきた心の傷にわたしは自分を重ねてしまいます。
彼のように私も「ふつう」を演じて生きなければいけない、と思いながら生きてきました。ふつうが苦しくて、でも生きるために仕方なくて、それが人としてあるべき姿だと思っていました。これを読んで自分の若い頃のあれこれをいっぱい思い出してしまうのですが…
ちょっとだけ私が高校生の頃の話をさせてください。私は小さい頃から母と二人暮しでいつも母の激しい精神の乱れに付き合いまくっていました。高校に入ってすぐの頃、学校に電話がかかってきたのです。ちょうど体育館で全校生徒の集まりか何かだったと思います。整列しているさなかで、私は先生に呼ばれました。お母さんから緊急の電話だから、と。体育館の奥にある内線電話から外線へと切り替わったとき、母が「お父さんと離婚する。今からお母さん死ぬから」と言って電話を切られました。当然、わたしはその場で泣き崩れてしまいました。いつもの事といえば、そうなのですが…やはり私は泣いてしまう。
今ではもう高齢になって一緒に住んでいる母ですが、若い頃から母の死ぬ死ぬという発言は(まぁ詐欺ではないだろうけど)私が物心ついた頃から日常でした。刃物が出てきたこともあったし。そのたびに私は心が揺れて不安はいつも限界まで自分を突き上げました。たまに単身赴任から父親が帰ってきても夫婦喧嘩は激しくて血が飛び交うこともありました。朝起きたら二人が死んでるかもしれない、という幼いながらの恐怖は眠ることを自分に許しませんでした。実は今も癖になっていて、大人になってからも寝ることは容易ではありません。虐待や暴力など自分に矢が飛んでくることなど私にとっては当たり前でしたが、世間では異常です。だからふつうを演じるのは人として必要だと思っていました。
しかしその時、体育館で泣き崩れた私に担任の先生が「どうした?」と聞いてきました。私はとっさに両親が離婚するらしい、と理由を正直に言ってしまいまして…そのあと凄く後悔したんです。翌日、わたしは先生の所に行って「ごめんごめん、親の痴話喧嘩だったわ。うちではよくあることなんです~」みたいにいつものように笑って答えたのです。
すると先生にめちゃくちゃ怒られて。人を馬鹿にするもんじゃない!と。そこから私は担任の先生にしばらくの間、無視され続けました。高校の幕開けも散々な始まりでした。まぁ…ね。うまく言えなかった私が悪いんですけどね。つらい事って、言えないのですよ。闇って深いほど、人は人前では笑ってしまうのですよ。泣いてしまう前に面白おかしく誤魔化してしまうんですよ。大人ならわかってほしかった。寄り添ってもっと聞いて欲しかった。理解してほしかったと今でも思います。それに正直になんて言えませんよ。大事だと大騒ぎされて警察を呼ばれたりしたら母親を自分が突き出すことになります。そんな事を子どもが出来るわけないです。もし今あの時に戻っても容易には話せなかったと思います。
私は著者みたいに素直ではなかったし、今ほど言葉も出てきませんでした。信じる大人にも出会えなかったから、ずっと普通を装ってきました。だからわかるんですよ。つらいことを笑いながら話している人。強がって面白く皆を笑わせている人、その言霊。表情。かもしだすオーラ。それらが痛いほどに。
死にたい、って笑いながら友達に言うと怒られる。当たり前なんだけど、口に出したいんですよ。自分の中に呑み込むと本当にそうなってしまいそうで。自分で自分が怖いのです。だから「死んでもいいけど、死んじゃダメ」という彼がそう言ってくれた言葉に、その意味にどれほど救われたか。そういう人はいっぱいいると思うのですよね。ぜひ多くの皆様に手にとって読んでいただきたい本です。
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