図書館にて。
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”傷はときに、大切ななにかを守った記録に、自分が存在していた証明になる。倒木のあとに新緑が息吹くように、傷跡には愛着が芽生える。ゆらぎそうになったとき、傷をなでれば、勇気すらわく。さらぴんのモノより、傷があるモノのほうが、そこに自分の生きた証を見いだせる。”
”だけど、ある日突然、優しくされるのがイヤになった。優しい人は好きだ。優しくされるのがイヤなのだ。多くの人はわけがわからんと思うだろうけど（中略）優しさを求めていたはずが、優しさに触れれば触れるほど、人間関係に疲れ果てていく。（中略）贈与は、もらった人に直接返さない方がよい。なぜなら交換になってしまうから。”
”わたしがもつ「興味が移りやすく、衝動的で、類まれなる運に出会うこと」は、会社員としては短所だった。これがワクワクを届ける作家になった瞬間、長所になった。”
”わかろうとされることが、わかるよと歩み寄られることが、つらかった。本当は、わかってほしいのに。だけど、この苦しさを、簡単にわかってほしくないのだ。
”他人からの救いを受け入れられるかどうかは、自分だけが決める。（中略）心に余裕がなければ、救いを受け取れない。受け取らないことこそが、救いだと思い込んだりする。自分が救われてもいいかどうかを決めるのは自分であって、他人ではない。他人に救われることはあっても、その前に、自分を許すという果てしない作業からはじまる。
”「嫉妬は身を滅ぼす」という言葉があるように、大きくなり過ぎた嫉妬の火は、火災を起こして焼きつくしてしまう。だからといって、火を使うことを止めてしまうのはもっとおろかだ。寒い冬には凍えてしまう。大切なのは、火を整えること。”
”差別という言葉がある。するどい。聞こえただけでもちょっと、ビクッと身構えてしまう。（中略）「わたしは〇〇を差別しています」って、面と向かってドストレートにいっている人もめったに見かけない。（中略）差別は姿かたちをジワジワ変えて、いまもわたしのすぐそばにいる。世の雑踏に紛れるほどの変身を遂げた差別のことを、わたしは「思いこみ」と呼んでいる。”
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Xなどでわたしは少しばかり存じた程度でしたが、今回エッセイを拝読しました。文章にクセはあるものの、著者の視点、感性の角度になるほど、と共感する点は多かったです。人間関係や、差別などの何がどう、という息苦しさは私も同じような気持ちを抱いているから。
家族への偏向愛とでも言いましょうか、この方が成り立っているルーツをある程度は知りながら、この本を読んだとしても、やっぱり豪快で愉快。一言では言い表せない心の内、そのたとえ話には面白おかしく楽しめました。他の本も拝見したいな。ちょっと荒っぽい世界観が、最初はしんどかったけど（Xでも思ったけど）個性の中にいつの間にか入りこんでいく感じ。運勢はきっと波乱なんだろうなぁ。
檜原有輝 ひばらゆうき スケジュール
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