”晶は弱みを見せるような女ではなかった。だからこそ晶の愚痴は尊かった。弱っている晶を、僕は可愛いと思った。でも晶は、ある時期を境に、まったく愚痴を言わなくなった。いうまい、としている晶の頑なさが、僕らの間の空気を何か尖った、硬質なものに変えてしまった。”
”既存の宗教に頼ると、また新たな苦しみが生まれると、おばちゃんはきっと思ったのだ。宗教の違いで、たくさんの悲劇的な抗争が起こっていること、「教義」の名の下に、迫害されている人々がいることを、おばちゃんはニュースによってではなく、ほとんど体感してわかっていたのだ。”
”かつて引いた線と、また違う場所に線を引きたくなったら、迷わず引いた。かつて感じたこと、今感じることは違っても、それが同じ本のうちにある限り、僕らは繋がっていた。過去の僕と、今の僕は、はっきりと繋がっていた。”
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心に響いた文章はたくさんあったけれど、ネタバレをしたくないということと…その前後の文の脈絡がわからないと光らない文言である為に重要な部分は今回は抜粋していません。
失うものと得るものを数える人生や、起きた出来事を比較してしまう人間という苦しい社会の中で、自分の中の正しさをどうやっても正当化しないと生きていけない物悲しさ。それらを作中では見事に駆られています。主人公と自分を重ね合わせると読み進めるのがあまりにも修行のような気持ちになってくる(苦笑)
これってどういうお話?と聞かれて、そうそう一言ではいえないような世界観を描いた物語がわたしが好きなのですが、これもそうでした。
崇高な信仰心とはなにか、を意識するべく国や家族や友人や恋人なども含めて、自分が信じるものとはなにか?生きていく上でそれらはどうやって決められるのか?そもそも信じるとはなにか?を問いながら生きる主人公=歩の人生を上下巻の長い間一緒に歩いた気がします。
ぶ厚いけど長いようで短い本でした。人間の一生ってこういうものかもしれない、と改めて思い極めました。
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檜原有輝 ひばらゆうき スケジュール
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