書店にて購入。
”僕の、誰かに認められたいとする熱意は、同時に他者を傷つけかねない危うさを持っている。何より僕自身の繊細さも危うかったのだ。今なら少しはわかるけど、若い俳優は危うい。演技を通して、どこまでも自分を傷つけることができる。”
”気がつくと、誰かの期待する自分になっていた。笑いたくなくても笑うし、明るい自分でいなければならない。これが社会的コミュニケーションだ。優しくされればされるほど、誰かに期待されている別の自分が顔を出した。けれども本当の僕は一体誰だろうと思った。”
”僕は自分が嫌いだった。嘘つきな自分が嫌いだった。誰かをいつも騙している気がして、自分の居場所は何処にもないと感じていた。俳優と言う職業に出会った時、初めて正直に生きることができたのだ。声を上げて叫んだ。自分の本当の人生がここにあるのだと。演技といわれることが僕にとっては真実そのものだった。”
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まだ爆発的には売れているとは言い難いけれど、密かに実力派として注目している俳優さん。今どきには珍しい朴訥で等身大で全身全霊で自分を役に投影が出来る人だなぁと演技を見ていて感心していたのです。ふと書店で目にして、え？この人が自分の事を語っているの？と意外に思って購入してみました。
もう、、、本を読む手が止まらなくて。のめりこんで読みました（けっこう分厚い）これほど情熱的でありのままの現状と感情を書き記している俳優さんて、今まで見たことがない。やっぱり思った通りの人。傷つきやすいくせに何事にも裸で飛び込んで、その刺激感覚を全身に受け浴びたい、という願望を持っている人だなぁ…と文章を読みながら、何度も心を動かされる思いが溜息として漏れました。
何よりも文章がめちゃくちゃ上手い。まるで小説を読んでいるよう。ずっとブログも書かれていたようで（去年閉鎖）今はインスタグラムで投稿されているとのこと。探して見に行ったら、やっぱり文章に魂がありました。元々たぶん文章を書くのが好きなのでしょうね。本はいつも4冊ほど持ち歩いているって書いていました。
自分の事、演技に出会った時、俳優になれた時、人との出会い、一人旅に出た時の事、色んなことを語ってくれています。彼の事を好きな人にはもちろん、ひとつの文章は綴る言葉が好きな人にもおススメ。
ひとつ言えることは、ちょっと負のオーラを持っている。それが魅力でもあります。でもこのエッセイからも感じられます。だから私は毎日朝に喫茶で読むようにしていました。夜はちょっと読まない(笑)べつに暗い内容でもないけど（明るくもないけど）夜に読むと心に引きずりそうな気がしたので、いつも陽があたる席を選んで楽しみに読んでいました。読み終わってちょっとロス感がまだ残っています。良い本に出会えました。
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