『お龍の写真は別人?』
幕末の志士・坂本龍馬の妻、お龍(1841~1906年)の若い頃を撮影したとされる2枚の写真が別人だった可能性が高くなった。これまでお龍とされてきた写真とはほぼ同じポーズで、同一人物とみられる芸者の写真が新たに見つかったからだ。専門家によると庶民のお龍が当時高額だった写真を複数枚撮影していたとは考えにくいという。

上↑座り姿の『お龍写真』(井桜直美さん提供)

下↑今回新たに見つかった座り姿の写真。左手の位置などが従来の写真と違う(平山晋さん提供)
お龍の写真は若い頃の座り姿と立ち姿の2カットが広く知られていた。だが東京都内の古書店で昨年発見された六枚組みのブロマイドの中に、座り姿の写真とほぼ同じポーズを取った同一人物と見られる写真が存在することが判明。ブロマイドは芸者や華族らを撮影したものだった。
お龍は龍馬が暗殺された後、明治8年に再婚するまで生活苦だったとされる。
幕末から明治の古写真に詳しい古写真研究家の森重和雄さんによると、当時、写真撮影は高額で、庶民が複数カットを撮ることはできないという。一方、写真館は人気芸者らを無料で撮影し、大量に販売していた。撮影された写真館の場所などを考慮すれば、新橋芸者の可能性があるという。
また、芸者や華族の女性を撮影した複数のブロマイドを集めて額のようにしたものも当時人気があり、いわゆる『お龍の立ち姿』を含むそうした集合写真も今回新たに見つかった。お龍にまつわる一連の写真は1982年になって高知新聞が『立ち姿』を公表して以来、話題を集めるようになった。2008年には、警察庁の科学警察研究所が、それらの写真と、その他に1カットだけ残っている本人も認めた60歳前後の晩年の写真を比較。目鼻の位置や形を鑑定した結果、「同一人物の可能性がある」との見解を示した。
②へ続く。