20年くらい前、北鎌倉のお寺で井戸を使わせてもらったことがありました。
どうするのかなと思っていたら、ポンプのバーを上げ下げすると水が出ました。
上げ下げの感触を楽しんでいるうちに、自分が生まれたうちに井戸があったなとやっと思い出しました。
6才までしかいなかったので記憶が薄くなっていたのですが、井戸がありました。
しかも、うちの中にありました。
古い土間にかまどとかいうものじゃなくて、ちゃんと板張りの台所なのに、そこにポンプ式の井戸がありました。
当時は、水道管が真冬によく凍ってしまって出なくなっていたので、かあちゃんは、急いで井戸を使って炊事していました。
台所にいながら水道と井戸を併用できる。
なかなかの防災対策です。
元々は、宮大工が自宅用に設計した家でした。
3月の震災で、山形の実家では停電して、現在の水道は電気を使って最上川の水を汲み上げているので、断水しました。
あんなに大きな川の脇に住んでいながら水が使えなかったんです。
実家は、消雪用の井戸を持っているんですが、電気ポンプで汲み上げるタイプなので使えませんでした。
アナログな物はノスタルジックな感傷のためじゃなくて、実用品です。
実家は、河岸段丘の町で、低地ではつるべ式の井戸でも水が汲めて、丘の上の方はバーでガチャガチャ上げ下げする井戸でないとだめなんだそうです。
でも、つるべ式は、子供が落っこちるといけないと、きつく注意されていました。
上の絵は、外にあるポンプ式の井戸です。