【毎週、日曜日にお送りしている読書コーナーです。毎回、これは!と思う本を紹介していきます。】
今回、紹介するのは日本の未来を語るデービッド・アトキンソンさんの「日本人の勝算」という本です。
日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義
1,620円
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日本は人口減少社会で、将来的に老人が増えて国が成り立たなくなる。一部の過激なタイトルでは「日本破綻」といった本。日経新聞などでも、日本には1000兆円の借金があって1人辺りいくらあるんだよ・・的な意見もあるようですが、では何故に日本の国家は衰退して元気が無いのか。感情論を抜きにして解説しているのが本書です。本書の凄さは、その参考文献の多さです1冊の本を書き上げるのに100本以上の論文やデータに辺り、各章ごとに参考文献が紹介されている。適当に持論を羅列するのではなく、ちゃんと客観的に分析しているのです。
まず、本書の内容を紹介する前に、過去の著書でアトキンソンさんが言っている、日本は何故、世界第二位の経済大国になる事が出来たのか?という事について説明します。
つまりは・・
人口の多さこそが日本が経済大国になれた理由の大部分。
という事です。
えっ、日本は技術大国だから世界有数の国になれたんじゃなの?と思っている方は多いと思いますが、実は違うと説明しています。
例えば、中国が世界第二位の経済大国になれた理由を説明する際に、14億人の人口がいるからだと日本人ですら説明します。それと同じ事が、高度成長期の日本でも起きていたわけです。(以下、割愛)
ここからが、本書のお話です。
では、高度成長期が終わりバブルが崩壊してからの20年(もはや30年)日本が衰退しデフレが慢性化した理由を、本書では人口減少が招いていると説明します。しかし、ただ単に人口の減少全てがデフレのゲ原因ではない。人口が減ると当然のように消費自体が減りますね。その一方で製品や商品を販売する企業自体は減らなかったと仮定します。そこで会社の経営者はこう考えます。
「生産を効率化させて、もっと安くすれば売り上げも増えるはずだ」と・・。
他の会社も同じように生産を効率化したり、従業員の給料を削減したりします。人口が減って需要は伸びないわけですから、安くすればどんどんじり貧になっていきます。2000年代初めのマクドナルドのハンバーガー戦略です。よく経済学の基本で習う「デフレスパイラル」というやつです。アトキンソンさんは、人口減少や高齢化。それに加えて、日本の経済が成長しない理由、そして日本が復活すための重要点としてこう説明します。
「日本の経済が悪いのは、1人辺りの生産性が低いその上、最低賃金も低水準だから。」
つまり、生産人口が減っている中で生産性が伸びないし、給料も上がらないのだから、衰退するのは当たり前だよね?という当然の話です。
日本の最低賃金は、2017年のデータで6.5ドル。世界ランキングでマルタ共和国とスペインの間です。韓国よりも下で、技術大国のドイツの10.56ドルとは雲泥の差です。1人辺りの生産性では世界で29位。9位のアメリカ、4位のシンガポールとの差は歴然。1人辺りの生産性ではシンガポールの半分という衝撃的なデータです。
要約して説明すると、人口が減っているのに国内で熾烈な値下げ競争をした結果、疲弊し最低賃金も上がらず経済に状況は思わしくないというのが日本の現状です。アトキンソンさんが言うように、生産性を上げ会社を効率化する事で経済は持ち直すという説には一理あります。
世界的に知られているビッグマック指数(世界で同じものが販売されているので、比較対象に使われる)で、日本のマクドナルドのビッグマック指数は3.59とアメリカの5.28、スイスの6.81と比べて低い。この数値は最低賃金と相関性が非常に高いそうで、世界第三位の経済大国なのに、ビッグマックの値段は新興国並みという事になります。
日本ではよく解雇規制が強いから会社の新陳代謝が悪いと言われますが、世界的に見て日本の解雇規制はそれほど厳しくはない、というのは驚きでした。
今の日本に必要なのは、生産性を上げて1人辺りの稼ぐ力をつける事です。
日本人が好きな技術革新は実は生産性向上とそれほど相関性が無いとも書いてあります。
生産性を上げるために重要なのは・・・
1.アントレプレナリズム
2.労働者1人当たりの物的資本増強
3.社員教育によるスキルアップ。
4.技術革新
5.競争
4の技術革新に関しては、相関関係は0.56(1に近いほど相関性あり)と日本人が思うほど重要ではないようです。
まぁ要約すると、人口が減る中で生産性も低いのだから経済が悪いのは当たり前でしょ?という事です。
最近のコンビニの例もそうですが、若い人材が890円くらいの時給で何のスキルも活かせずにただレジ打ちをしているのだから、今後の日本ンってどうなの?と聞かれた時に、暗いと答えるのは当然ですよね。
気になる方、詳細はお近くの本屋さんやAmazonでご覧ください。めっちゃ良い本でしたよ!!
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