管理栄養士国家試験過去問解説39 | 管理栄養士国家試験と研究と私

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管理栄養士国家試験の合格に向けて、過去問解説をしたりします。研究や学会、食品や栄養のお話もします。

おはようございますニコニコ

いよいよ今年最後の過去問解説です。

全部で4月から、毎週1回、計39問の解説をおこなってきました。

年末でばたばたしている方も多いと思いますが、

大掃除の合間に、是非!!解いてくださいシラー

ちなみに、私は部屋の大掃除をしました。

カーテンレールの上のホコリにびっくり!!


では、今年最後の問題です。どうぞ!

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慢性腎不全についての記述である。正しいのはどれか。

(1) エリスロポエチンの分泌は、促進する。

(2) 治療により回復する可逆性変化である。

(3) 糸球体濾過量(GFR)は、正常の60%以上である。

(4) 血清クレアチニン濃度は、1.2mg/dL以下である。

(5) 尿毒症では、中枢神経症状が出現する。

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…どうですか?

正解は選べましたか?

それでは、正解です。


正解は… (5)です。


×(1) エリスロポエチンは腎臓で作られるホルモンで、赤血球の産生を促進します。腎不全なので、腎臓がダメになっていて、エリスロポエチンの分泌は低下しているはずですよね。

×(2) 腎不全になったら治らないから、腎臓が悪くなり始めたら腎不全にならないように(進行を遅らせる)、食事療法をしっかりしなくちゃいけないんです。

腎不全になってしまったら、透析をします。


×(3) 糸球体濾過量(GFR)は正常の60%以上かどうか?もしGFRがわからなければ困ってしまうかもしれません。だけどよく考えてください。

腎不全ってことは、腎臓がダメになっているので、GFRが正常の60%以上なんてなさそうですよね。GFRは普通100以上で、腎不全では15未満くらいです。

ちなみに、糸球体濾過量というのは、糸球体で1分間にどれくらい血液を濾過することができるか?ということです。


×(4) 血清クレアチニン濃度がどれくらいか?なんてわからない!!

で終わらないでくださいむっ


クレアチニンって、元気でも、常に一定量尿中に排泄されているんです。

筋肉量に比例して排泄されるもので、食べたたんぱく質の量はほぼ影響しないということも大事です。

で、クレアチニンがなぜ常に排泄されているか?ですね。

クレアチニンは、糸球体でろ過されても、尿細管で再吸収されないからです。

人体の構造~でも、臨床栄養学でも大事ですよ!


問題は、腎不全で血清クレアチニン濃度がどうなるのか?ですね。

腎不全で腎臓がダメになっていると、糸球体でのろ過がほとんどできなくなっています(GFRが低下しているということ)。つまり、普段はろ過されて排泄されるはずのクレアチニンが排泄されないので、血液中のクレアチニンが増えてきてしまうということです。


○(5) 尿毒症。名前からして怖い。

尿毒症では、中枢神経症状がでます。


では、なぜ尿毒症になるのか?理解しておきましょう。

腎不全になると、いろいろなものがろ過、排泄できなくなります。

普段なら排泄されている尿酸や尿素などが排泄できなくなって、血中の尿素窒素が上昇してくることによって、尿毒症になるんです。


どうでしたか?

腎臓ではどういうものがろ過されて、排泄されているのか?

これをしっかり理解できていれば解ける問題でしたひらめき電球


今年もおわり…ということで、

腎臓と同じで、

しっかりろ過して、必要なものは再吸収して、いらないものは排泄~~

そして気持ちよく来年を迎えましょうにひひ