以前担当した男の子はとてもヤンチャな年少さんでした。
最初に来た時は「お勉強嫌い!つらまん!やりたくない!」
レッスン中にお友達の教材をグチャグチャにする
走り回って教室の椅子を全部ひっくり返す
危ないからダメだよと言ったら「(やっても)いいよー!」と返して絶対やめない。
お母様は大人しくなるからと彼にスマホを渡して自由に動画を見せていたようで
悪い言葉や煽りを沢山知っていました。
それで何が困るかと言うと、クラスメイトの生徒さんへの悪影響が出る事です。
新しい悪い言葉を知ると、男子って真似して使いたがりますよねぇ。
このクラスを纏めるのは本当にとても大変でした…。

そんな彼は年中さんになって私にこう言いました。

「先生はなんで怒らへんの?
コラっ!て言わんし、大きい声もせえへんから全然怖くない。そんなん誰も言う事聞かんやん」

「いやいや、先生めっちゃ叱ってるやん?
危ないからやめなさいとか、お友達が困るから教材返してとか」

「でも全然怖くないやん」

「え?だって○○君、普通に危ないからやめてって言われたら言うてる意味わかるやろ?怖く言われへんと意味わからん?」

「わかるけど」

「じゃあ先生が意地悪で言ってるんじゃなくて、危ないから危ない、困るから困るって言うてるのもわかるやろ?」

「まぁな」

「じゃあ別にわざわざ怖く言わんでもええやん。
だって○○君、それが危ないって聞いたらやった方がいいか悪いか自分で考えられるやろ?」

「まぁな」

「それやし、○○君が危ない事やお友達が困る事してない時は先生別に何も言わんやん?」

「まぁ、言わん」

「先生はアカンと思った時はアカンて言うけど、そうじゃない時まで叱ったりする気ないもん。
アカン時は普通に言えば伝わるし、アカンくない時は何も言う必要ないし、じゃあ別にわざわざ怒る事なくない?」

彼は返事をしませんでしたが、それからピタッと無意味に暴れなくなりました。
お勉強もできる範囲が広がり、不得意な事も「これ嫌い!やらん!」と逃げてたのが「俺これ苦手」と言いながら取り組むようになりました。
年長さんクラスになると、逆にお友達に「集中したいから静かにして!」と注意する程に。

基本的にはヤンチャ君なので、テンションが上がると調子に乗って走ったり、私の背中によじ登る事もありましたが、お勉強に対する姿勢が明らかに変わりました。

卒業する頃には自分から「俺、お勉強好き。難しいのもできるで」と言うようになっていました。
たまに「ママ家でめっちゃ怒るねん」
と報告を受けましたが
「そうなん?ママはおこりんぼさんなのかもね〜。
でもママも○○君が危ない事して怪我して欲しくないから注意してると思うよ。」と言うと苦笑いしていました。

先生はなんで怒らないのか。
怒って「怖さ」で言う事を聞かせようとしても
それに慣れるともっと怖い思いをしないと子どもは言う事を聞かなくなるからです。
更に、子どもによっては「やらされてる、従わされてる」と感じるようになると、内容の善し悪しを考える前に反射的に大人の指示に従わないようになるからです。この彼のように。

私は子ども達には自分で正しい事を選べる子になって欲しいと考えています。
なので彼には数年間、あくまでもフラットにそれが正しいか正しくないかを説明し続けました。
結果、彼はちゃんと自分でやるべき事を考えられるようになりました!
う〜ん、○○君は賢い!めちゃくちゃ成長した!

お子さまの精神的な成長は長期戦なのでなかなか大変ですが、こうやって成長を実感すると、講師やってて良かったなぁと思いますね。