いつもは早い時間からうろついて、行き当たりばったりにはしご酒を決め込む街ですが、今回は、最初から狙っている店がありました。
「粋な酒とつまみ にこ」。
天満天神宮の正面入り口のすぐ近くです。
５時の開店時間まで、少し間があるので、天神さまにお参り。境内は人影疎らで静かな夕暮れです。
店のサインに灯りが点って、招き入れられ、カウンターのいちばん奥へ。ほの暗い照明の店のなかは、若い女性のスタッフが数名立ち働いておられます。
噂通り、ええ感じに美味しそうな日本酒がズラリ。
カウンターの中の背面の食器棚には、大好きな民芸の器がギッシリ。
そして、品書きには、選びきれないほどの魅力的な季節の料理が並んでいます。
おー、やっぱり。ここは、来るべき店だったわ。
器好きの聖地って、どこかに書いてありました。
憧れている作家さんや、民芸の器を扱うお店の方が、この店に集って素敵な夜を過ごしているFacebookの投稿を、たびたび目にしていたのです。
最初に、盃を選ばせてもらえます。
和装でおめかししてきた私は、本日はこれ。
選んだ酒は、「洌」といいます。
山形県米沢市で「東光」という酒を醸している蔵です。
行ったことあるね。
大きな蔵で、大勢いる従業員が朝礼なさっている様子がきびきびしていて印象的でした。
燗の温度も５段階から選べますが、わかんないなぁ。
「上燗くらいがオススメです。」
45℃だそうです。ではそれで。
食器棚、ついついしげしげと眺めてしまうなぁ。
器も酒も、若き女性店主さんが選ばれるのだそうです。
弾丸で、全国の蔵元、窯元に足を運び、買い込んだものは送ってもらわずに担いで帰って来られるのだとか。頼もしい！
私たちもそういうのが大好きなんです。ご一緒したいくらいです。
「蔵元のあるところ、窯元もあるんですよね。」
そうそう！
特に山形県など、東北の酒蔵がお好きとか。
「花巻空港までは一時間半で行けても、田舎へ行くとそこからの移動が不便でままならない。」
列車の便数も少ないですもんね。
私たちでよければ、日本全国、どこへでも弾丸で、お連れします！
普通は、料理が盛られている状態で写真を撮るものだけど、あえて平らげてから撮りたくなるのが、この店の器です。
この皿いいなぁ。
こっちもいいなぁ。
どちらとも
「創くんの器ですよ。」
えっ？そうなの？
さっき、好きな作家を聞いてくださったのは、こういう演出をなさるためだったのかな？
小鹿田という何百年もの伝統を守る焼き物の里の若き後継者として、精力的に作陶し、数日前も大阪に来て「大阪民藝館」に招かれて講演もした坂本創さん。やっぱり素晴らしい仕事をなさってるんだなぁ。
坂本創さん、まだ「にこ」に来店なさったことがないそうです。
「絶対来はるべき！
大阪のこんな感じのいい店で、本当に美味しいものが自分の作った皿に盛られて出てきたら、やっぱりぼくって、いい仕事するなぁって、絶対嬉しいはず。」
だから「にこ」には、いろんな器の作家さんが来られるんですね。
飲んでる最中、メニューに載ってる気になる料理をなんでも食べたくなっちゃう私を、夫が
「食いしん坊過ぎるで。ちょっと控え目に。」
とたしなめるのを見て、店主さんが、
「これから繁盛亭に行きはるんですか？」
と尋ねられました。
天満天神繁盛亭は天神さんの境内の裏側にある落語の常設小屋です。
「にこ」からはすぐです。
この店で早めに来て一杯飲んで、それから寄席に行くお客様もよくおられるのだそうです。
いいコースだなぁ。次回はそれもしてみたい。
「酔っぱらったらすぐ寝るくせに。」
たしかに。
夫の静止も聞かず、いろいろ食べちゃった。
酒も、あれとこれと楽しめて、満足です。
また来ます。
美味しかったし、楽しかったです。おおきに。
ほら、繁盛亭もすぐ近く。
今夜ははしご酒しません。天神橋筋商店街でコーヒー一杯飲んだらまっすぐ帰ります。
平日の地下鉄御堂筋線は、まだ家路を急ぐサラリーマン(酔っぱらいはいない)で、混んでる時間帯です。
大阪市内の盛り場で待ち合わせするときはいつも、駅から自転車の夫とバスの私は下車する駅が違うので、地下鉄の中で他人のように
「じゃあね。」
と別れます。
二駅先まで乗って、バス停で並んで、車内ではうつらうつらしながらやっと帰り着いたら、マンションの入り口で道の反対側から自転車で走って来た夫とばったり。
あら、同時だったのね。
夫はコンビニに寄り道して、アイスを買って来たのでした。
今夜は揚げ物いろいろ食べちゃったけど、これは最高の〆だな。
ガリガリ君に、レモンティー味と、温泉まんじゅう味があるんだね。
着物を脱いで、すっかり片付け終わってから、いただきます。
ほんまや。温泉まんじゅうそのまんまや。