PBゲームブック「お笑いオーディション」 | 愛すべきゲームブック

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主に新作や自作Kindleゲームブックなどのブログです。

最近34と35冊目のペーパーバックを出版しました。「サンドーラ大戦」は兄が昔ノートまるまる1冊に書いていた長編小説を私が加筆修正したもの。今の状態になるまで加筆修正を繰り返しました。正直大変でした。130ページ、文字数31865。

51パラグラフゲームブック「お笑いオーディション」はネタを集めたKindle本「笑いのギャグ」をゲームブック化したもので、何度かネタ(パラグラフ)を追加してきました。

予想と記憶で選択肢を選ぶタイプで、普通のゲームブックを求めている方には合わないかもしれません。自作では唯一ギャグに特化した内容で、もし「クスッと」でもしない場合は私の完全な敗北です。

小説 サンドーラ大戦
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ゲームブック お笑いオーディション
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サンドーラ大戦

「また同じ夢か……」

 レオンはもう3日続けて同じ夢を見ていた。夢の内容はこうだった。レオンは見知らぬ街に立っていた。突然路地裏の方から少女の助けを求める声が聞こえてくる。行ってみると、5人のチンピラが美しい少女を取り囲んでいる。少女を助けようと駆け出したところでいつも夢は終わった。

 レオンはそう呟き、ベッドから起き上がると制服に着替える。妹のラミアにおはようのあいさつをすると、母が用意してくれた朝食を食べ、学校に向かう。その頃、レオンの父エイリークは、寝室の窓から見える裏の山を見つめ、16年前のあの日のことを思い出していた。

 星の綺麗な夜、目も眩むほどの光を放つ流星が、家の裏の山に落下するのを目撃し、妻フローラと2人でランタン片手に見に行くことにした。そこには巨大な穴が開いていると予想して向かったのだが、ただ置いてあるように銀色に輝く物体があるだけだった。

 2人で近づいていくと、それはカプセルのようだった。卵型で横1メートルほどの。カプセルに手を伸ばすと、触れる前にカプセルの上半分がゆっくりと開いた。中を覗いてみると、そこにはきらめく白い布に包まれた可愛い赤ん坊が眠っていて、小さな右手にはクリスタルの棒のようなものをしっかりと握っていた。

 カプセル内部のその右手の側から突き出た部分には、そのクリスタルがはまりそうな穴が開いていた。エイリークはそうしなければならない気がして、赤ん坊の手からクリスタルを取り、その穴に差し込んでみた。すると、クリスタルからこの赤ん坊の両親と思われる2人の若い男女のホログラムがカプセルの真上に映し出された。2人の顔や防具はあちこち傷ついてはいるが、どちらも心が強そうに見えた。女性の方が語り始める。

〈私たちは地球から遠く離れたサンドーラ星で、妖魔という地底から来る怪物たちとの戦いを繰り返しています。とうとう妖魔たちは聖域にまで乗り込んできました。私たちは、もう助からないでしょう。サンドーラは妖魔族によって滅ぼされるかもしれません。地球の心優しき皆さん、この子をどうか、どうかお願いします!〉

 そう言い終わるとホログラムは消えた。フローラに白い布に包まれた赤ん坊を抱かせて、カプセルに手を伸ばそうとした瞬間、クリスタルがはまったまま上半分がゆっくりと閉まった。クリスタルを抜こうと開けようとしたが、一体化したかのように上下の境目が見当たらなくなっており、2人のあの顔を見た後では、破壊する気にもなれず諦めた。

 両手で持ち上げると驚くほど軽く、それでいて丈夫そうなカプセルを回収し、家へと戻った。

 2人で1日考えて、獅子のように強い男に育ってほしいという願いを込めてレオンと名づけ、自分たちの息子として育てることにした。



 レオンは授業中、あの夢のことを考えていた。同じ夢を3回も。きっと何かある。

「小林、次から読んでくれ」

 国語の教師滝沢の自分を呼ぶ声で我に返る。教科書を持ち、椅子から立ち上がる。突然レオンの頭の中にあの夢の少女の助けを求める声が響く!

「どうした、小林。聞いてなかったのか?」

 レオンがぼんやりと立ったままでいるので、滝沢はレオンに歩み寄り、肩をつかもうとする。その瞬間、レオンの体は教室からフッと消えた。持っていた教科書が机の上にバサッと落ち、レオンの様子を見つめていた1人の女子が悲鳴を上げる。


 ……気がつくと、レオンは見知らぬ街に立っていた。いや、この風景見覚えがある。そうだ、夢だ。あの夢の中の風景とまったく同じだ!


お笑いオーディション

【1】

 君は無名の芸人。だが、今日の「お笑いオーディション」で合格することができたなら、有名になるチャンスが与えられる。

 君が舞台裏から緊張気味に会場入りすると、舞台の正面に横一列に並んだパイプ椅子に観客が5人座っている。さらに見渡すと、客席から離れた後方の席に茶色いスーツに身を包んだ芸人プロダクションの社長が腕組みをしながら厳しい顔をして座っている。自分のギャグを聞いてくれるのは6人だけなのか。君は少ないなと思いながら、舞台の中央へと移動し、おもむろに観客の方に笑顔を向ける。

 右からOL風の若い女性、スーツ姿のおじさん、頭が禿げ上がった爺ちゃん、メガネをかけた大学生風の青年、野球帽をかぶった小学1年生くらいの男の子。初めて自分のネタを披露するのだから、知り合いがいなくて良かった、君はそう思い、緊張が和らいでくるのを感じた。

 よく見ると、全員が数字の書かれた丸い札をいくつか両手に持っている。どうやら観客が君を審査するシステムのようだ。札にはマイナスされる数字も見える。若い女性だけは札を右手に、左手にはポップコーンを持っている。

 年齢がバラバラで、迂闊なギャグは言えないぞ。しかも、女性と子供がいるのも注意しなければならない。どの客も、今から何が始まるのかと期待に胸を膨らませている。特に若い女性が! いかん、こんなときにどこを見ているのだ君は。

 少しだけ顔がにやついていた君は、次にそのままの顔を社長の方に向ける。社長は君と目が合うと、その顔に印象を良くしたのか、手をまっすぐに上げてお笑いオーディション開始の合図をする。

 さあ、君が今まで書き溜めていたネタ帳「ゲイニンムブック」のネタを披露するときがついに来たのだ! これは芸人と客との熾烈な戦いになるだろう。

 君は一歩進み、舞台中央のマイクの前に立つ。

「どうも~、無名の芸人でーす」

 君の第一の目標は、「有名になったそのときこそは芸名をつける」だった。多少ネタは書き溜めてはきていたが、今は名も無きただの芸人を目指す平凡な男なのだ。

 オリジナルなギャグを炸裂させよう!



メルセデス・ベンツデスと言う 2へ

 独創的武勇伝、オリラジナルと言う 3へ


笑点

 最初は0。マイナスになることもあります。

笑いの能力



 顔で笑わせる。

声のトーン

 声のトーンで笑わせる。

動き

 動きで笑わせる。

 この3つの能力に10を振り分けます。1つに0から10までで、合計が11以上にならないようにします。振り分けずにすべて0でも構いません。