冒険者は様々な目的を持つ。生きるため、刺激を求めるため、仲間を求めるため……生き方が自由である冒険者は、その考え方も自由なのだ。




ソフィアの街の合成屋……長身の男が入ってくる。身の丈よりもはるかに長い槍を持ち、黒光りする長髪は後ろできれいに束ねられてある。

「いつもの魔素を買い取ってくれ」

「わかったわ、ちょっと待っててね」

店員は奥へ消えたかと思うと、袋を持って現れ、それを男に渡す。

「いつも助かるわ。またお願いね」

「また来る」

男は冒険者組合に向かう。

(とりあえず何か手頃な依頼でもこなしておくか。)

「おい、あの男、レーレだぜ」

「ああ、この前もひとりでルナヘンテ山に行って魔晶の獣を討伐したって話だ」

周りの視線を全く気にすることなく男は受付に向かう。男の名はレーレ、フリーランスの賞金稼ぎである。レーレは、ふと足を止める……。

「おい、この依頼はもう受注されたのか?」

近くにいた職員は答える。

「いえ、難度も非常に高く、相手が相手ですので、命の危険もありますから誰も……」

「そうか、これを受注したい」

(見つけた!ついに見つけたぞ!)

職員は少し困った顔をしながら

「ですが、これは2名以上のパーティでおこなう依頼になっておりまして……」

職員が話し終わる前に声が横槍を入れた。

「それ、俺も受けるよ、2名以上なら問題ないんだろ?」

レーレの後ろに大柄の男が立っていた。

「俺はクリボー、よろしくな相棒!」

にんまり笑いながら手を差し出す。だが、レーレはそれにはかまわず、

「レーレだ。よろしく頼む。明日出発する」

とだけ言って踵を返していった。



翌日、待ち合わせた2人は目的地に向かう。

ルージオ跡地……ここも昔は街になっていた……。

(やっとこのときが来たぞ!)

レーレは、槍を握りしめる。

「レーレ、このクエストに何かあるのか?」

クリボーはこの男の覇気が尋常ではないことに気がつき、疑問を投げかける。

「俺はこの街に生まれた」

「!!!」

「家族も、恋人も、全て奪われたんだ、やつに!」

冒険者は街を守る。だが、全てが守れるわけではない。当然、犠牲になったものたちもいる。その犠牲のうえに今の生活があることをクリボーは改めて実感した。そのとき、

「ほう、こんなところに冒険者か……」

低く響く声。気配のする方向には大斧を持つ何かがいた。

「グワイモル!探したぞ!この街で貴様を地獄へ放り込んでやる!」

レーレは縮地ですかさず距離を詰めて鋭い突きを繰り出す。グワイモルは斧の一撃と射刃を繰り出すが、レーレはその素早い動きで的を絞らせない。

「くっ、ちょこまかと煩わしい!」

「くらえ、ドラゴントゥース!」

レーレが大技を繰り出す瞬間、グワイモルは火球を吐き出した。

(なっ!俺が大技でトドメをしにくるのを待っていたのか、かわせない……)

ドガーン!!

周囲一帯に炸裂し、焼け野原になる。

「フハハハハ、のこのこ突っ込んできたのが運のツキよ!バカが!」

グワイモルは高笑いを響かせる。が、

「誰がバカだって?」

黒煙から現れたのは盾を構えたクリボーであった。

「!!」

グワイモルもさすがに言葉を失う。確かに突っ込んできたのはレーレだったのだ。

「キャスリング……自分と対象の位置を瞬時に入れ替える俺のユニークスキルだ」

ニヤリと笑うクリボー。とともに、クリボーはレーレに通信魔法を行使。

「レーレ、次はないぞ!キャスリングは1日1度しか使えねえ!手はあるのか?」

そう、あの火球で不用意に近づくことができない。

「手は、なくはない……だが、成功するかどうか……」

「じゃあ、それでいこう!」

「なっ、成功するかどうかわからんのだぞ!俺のようなやつの言うことを信じるのか?」

「信じるさ!街を、人を壊す者は許さないという、その気持ちをな!」

「…………わかった」

レーレは、左右の両手に槍を持った。

「行くぞグワイモル!」

「何度来ても同じよ!」

「ドラゴントゥース!」

レーレが飛び上がり空中で軌道を変えられない瞬間を狙い、グワイモルは火球を一直線に放つ。

「これで終わりだあ!」

その瞬間、レーレはもう1本の槍を地面に突き刺し、ドラゴントゥースの軌道を強引に変える。

「なにい!」

火球を寸前のところでかわしたレーレは再び

「ドラゴントゥース!」

レーレの体ごと1本の槍と化し、グワイモルを突き破る!

「やった……やったぞ、みんな!」



グワイモルを倒したレーレとクリボーは、その足である場所に来ていた。

「レーレ、ここは?」

「ここにみんなが眠っている」

墓地だったのだ。グワイモルのせいで、まともに整地すらできていなかったのだ。

「クリボー、礼を言う。お前のおかげで敵がとれた。お前には貸しができた。何でも言ってくれ」

「どってことないよ。だけど、もし俺の言うことを聞いてくれるっていうなら、俺のギルドに来いよ」

「え?俺は賞金稼ぎなんだぞ。ギルドなんて……」

「いいや、お前は冒険者だ。街や人の平和を壊すやつが許せない、立派な冒険者だ。お前みたいなやつを増やさないように手伝ってくれ」

「考えておくよ……」

「ああ!待ってる!」



この3日後、レーレはat homeの扉を叩き、メンバーとなる。彼は霊邪と並びソフィアの神槍と呼ばれ、「穿光の捌手」のふたつ名とともにトップクラスの冒険者として活躍することになる……




※この物語は、全てフィクションです。場所名や人物名は同名なだけであり、実在のプレイヤー等とは異なります。