昨日 "hang up one's hat" というタイトルで、米国の Arby's というローストビーフ・サンドイッチのチェーン店の、ロサンゼルス市の目抜き通りにある店の閉店についての記事から引用した。

英文の引用に使わせてもらった記事の中に、こんな英文もあった:

 “With inflation, food costs have gone way up and the $20-an-hour minimum wage has been the nail in the coffin.”

 (「インフレのせいで食材費が上がったし、時給を最低でも20ドル以上にしなくてはならないとなっては、もうやっていけなくなったんです」

nail in the coffin という表現については、以前にも書いたことがあったかもしれないが、面白い表現だと思うので、またメモしてみる。意味は

 something that causes the end or failure of something or someone

 (あることを終わらせたり、ある人を失敗させたもの

である (→ U.S.Dictionary [Nail in the Coffin])。

棺桶に釘まで打たれては、さすがに、元のように生きるという望みはない。もう観念するしかない。


◎ 引用した英文の出典 (Los Angeles Times, 2024-06-18)
  Why the family behind this iconic Arby’s finally decided to hang up its hat
  → https://www.latimes.com/food/story/2024-06-18/arbys-hollywood-closure-family-minimum-wage-law-fast-food



* 「棺桶」といえば casket という英単語もあったような気がする。でも、Cambridge Dictionary [casket] には「宝石類を入れる箱」としか出ていない。それでも、Dictionary.com [casket] には "coffin" という定義が入っていたから、「棺桶」の意味で casket を使うのは米国英語の用法なのだろう。とにかく、coffin は「棺桶」のこと。かつて、Jeffery Deaver: The Coffin Dancer という小説を読んだことがあるのを思い出した。