全体像が見えるように、現時点での内容を整理し直しました。



はじめに


第1章 小論文とはどのような文章か
   (1)小論文の定義
   (2)生活作文との違い
   (3)学術論文との違い
   (4)小論文入試の意義
   (5)本音をそのまま書けばいいのか


第2章 どんな失敗で減点されるのか
   (1)論点や具体例が、問われていることからずれている。
   (2)課題文の内容をなぞっただけで、独自の内容が含まれていない。
   (3)自分の立場や主張が明確になっていない。
   (4)主張の論拠が乏しく、説得力に欠ける。
   (5)全体の構成や説明の仕方が悪く、言いたいことがわかりにくい。


第3章 構想を練ってから一気に書く!
   (1)問題を読む
      ①問題や解答用紙の確認 

      ②設問の確認、課題文の読解、設問の要求の再確認
   (2)材料を集める
      ①キーワードからの連想 

      ②提言に求められる「若者らしい前向きさ」
   (3)構成を決める
      ①~⑨
   (4)一気に書く
      ①小論文に求められる「表現力」とは 

      ②読み直しの際にチェックすべきポイント


第4章 読解力アップのために
   (1)評論家の発想パターン
      ①評価の転換 ②新たな価値基準の提示 ③因果関係の提示
   (2)速読速解に必要な割り切りと要点の手がかり
      ①主張の中心をつかむ ②文章の構造をつかむ 

      ③対比を押さえる ④言い換えを押さえる


第5章 基礎知識を蓄えるために
   (1)基礎知識の必要性

      ①共通分野の一般教養 ②志望学部の専門分野 ③時事問題
   (2)情報収集の注意点
      ①出所不明のネット情報に踊らされない ②ネット世論は真に受けない
      ③情報はなるべく最新のものを確認


第6章 考察を深く掘り下げるために
   (1)基本的な材料を集める
      例1「震災時のデマ」 例2「携帯電話のマナー」
   (2)考察を深く掘り下げるための3つのアプローチ
   (3)提言の基本理念を知る
      ①任せないで、共有し、分かち合う 

      ②一つのものさしにとらわれず、価値観を問い直す
      ③具体策に困ったら、「教育・地域社会・心のケア」
   (4)提言を書く練習
      ①白書を活用する ②提言を使い回す ③提言にふさわしくないパターンを知る


第7章 基礎知識の確認 まずはこれだけ!

   近代化・国際化・情報化・環境問題・社会・法と政治・社会保障・少子高齢化・教育・医療


第8章 基礎知識の詳しい解説

   近代化0~3 <随時更新>


第9章 漢字を書いて憶える基礎知識

   近代化 <随時更新>

   特別編:保育士 <随時更新> 


第10章 自己分析と面接対策

   1.自己分析 (1)自分の特徴 (2)自分の長所 (3)自分の短所

   2.志望理由と抱負 (1)志望理由 (2)適性 (3)将来の抱負

   3.経験談 (1)学校生活 (2)家族 (3)お気に入り

   4.面接対策 面接対策の第一歩 「面接に受かる人」を考える

   特別編:保育士  <随時更新>


   

第11章 時事問題から考える
   体罰①~⑤ <随時更新>

(3)周囲とうまくやっていける人


世の中のほとんどの仕事は、個人のスタンドプレーではなく、連携によるチームプレーで進められます。
そのため、どんなに学力や技術があっても、周りの人間とうまくやっていけない人間は、その能力を活かすことができない可能性が高いと見なされ、敬遠されがちです。


もちろん、他を圧倒するほどの才能があれば、協調性などなくても、必要とされる場合もあるでしょう。
しかし入学試験や採用試験では、そのボーダーライン上に、同程度の実力を持った受験者がひしめいています。
その際、消去法で真っ先にふるい落とされていくのが、「社会性のない人間」、言い換えれば、「学校や職場で良好な人間関係を築く能力が低く、問題を起こしかねない人間」です。


短時間の面接であっても、その言動は細かくチェックされ、以下のような雰囲気があると落とされかねません。
また、面接の前後の廊下での様子なども見られていることがあります。



①非常識

(常識や価値観を周囲、特にほかの世代と共有できない)


公共マナーや対人マナーというのは、時代や世代によって異なるものですが、若者同士では当たり前のことでも、中高年から見て「非常識」と思われる言動があれば、警戒されてしまいます。

緊張から来る単純な言い間違いは気にしなくてかまいませんが、ちょっとした言葉遣いやしぐさが、印象を悪くすることもあります。
たとえば、自分の親のことを「父・母」と言わずに、「父親・母親」と言ったり、お辞儀をするときに頭だけぺこりと下げたり。
このような面接対策の本には必ず書いてあるような常識的なマナーがなっていないと、合格のために最低限の努力もしていない人と思われかねません。

単なるマナー違反ではなく、「求められるマナーを意識することができない人間」であることが問題なのです。


保育士や看護師をはじめ、さまざまな人間に接する仕事では、「自分の周りではこれが当たり前だから」などという言い訳は通用しません。
一般的なマナーを踏まえ、相手に合わせて、礼儀正しさと親密さのバランスを取れる人間が求められているのです。


不安がある人は、自分の言動を振り返り、「ほかの世代から見て不快でないか」を意識してみてください。
たとえば、一人のとき以外、何かをしながら片手間に別のことをするというのは、基本的にNGです。
特に、人の話を聞くときや自分が話すときに、「ケータイやスマホをいじりながら」、「髪やネイルを触りながら」、「人の顔を見ずによそを見ながら」、「テレビやパソコン画面を見ながら」というのは、悪気はなくても、態度が悪いと受け取られるおそれがあります。

 
「自分は問題だと思わない」と開き直るのではなく、ちょっとした気遣いで相手を不快にさせないですむのだと理解しましょう。



②コミュニケーション能力が低い


自己主張ができないのも、自己主張が強すぎるのもダメ。
人に流されすぎるのも、人の話を聞かないのもダメ。
つまりコミュニケーションは、一方通行にならないよう、相手の考えや気持ちを受け止める「聞き手」としての能力と、自分の考えや気持ちを伝える「話し手」としての能力の、どちらも同じくらい大切だということです。


まず聞き上手になるには、相手の話をじっくり聞くだけでなく、相手が話しやすいような雰囲気を作ることも必要です。
特に看護や介護、保育や教育などの分野では、知識や興味がないから付き合えない、と突き放すのではなく、新たなことを教えてもらうくらいの気で、相手の話を引き出す技術が求められます。

また話し上手になるには、話す内容の取捨選択を考えるのはもちろん、相手の反応を見ながら、ふさわしい語彙や表現を選び、表情や口調も使い分けることが必要です。


こうした技術は、長年の経験の中で身についていくものなので、最初から期待されてはいませんが、面接であっても、コミュニケーションがうまくいくように努力する姿勢が見られないのはマイナスです。


尋ねられたことと自分の答えた内容が噛み合っていないのに、それに気づかずにしゃべり続ける。
面接官に伝わらないような言い回しを使い、面接官の怪訝な顔にも気づかず、言い直そうともしない。
こうしたところに、言葉のキャッチボールのまずさが出てしまいます。


小論文と違って、面接では相手が実際に目の前にいるのですから、面接官とのやりとりを成立させることが大切です。

たとえば、自分が憶えてきた内容を言うのに必死で、面接官の表情の変化に気づかないようではダメです。

簡潔に答えるべき場面で、細かいことまで長々と話すのもNG。
最初から「具体的に・詳しく」などと指示されない限り、まずは数十字程度で短く答え、相手からさらに促されてから細かい説明を加えていくようにするのがコツです。



③人間関係を築くのが下手

(人との関わりを避けがち)


休日の過ごし方や趣味が、一人で楽しむものばかりだった場合は、人付き合いが悪いのではないかと心配されかねないので、趣味について尋ねられたときに、「ふだんは大勢で力を合わせる活動が多いので、休みのときは一人の時間を大切にしています」などとフォローを入れるのもよいでしょう。


人見知りも程度によりますが、「共同作業より一人でやるほうが好き」、「初対面の相手とは話ができない」というのでは話になりません。


「誰とでもすぐ打ち解けられる」とまで偽る必要はありませんが、「以前は恥ずかしがりやで人見知りだったのですが」と、今は社交的に変わりつつあることをにおわせ、初対面の子供や大人ともきちんと関係を築いていける積極性があることを示せないと、適性を疑われます。


特に教育や福祉など、人の世話や指導をする分野では、「自分には関係がないので」、「自分の仕事ではないので」などと、ほかの誰かがやることを期待し、自分から動こうとしないで傍観者を決め込むような人間は嫌がられるので、「世話好きだが、ややおせっかい」くらいのキャラでいくほうがよいでしょう。



(2)やる気をアピールできる人


やる気がなければ面接にも来ないでしょうから、どの受験者もそれなりにやる気はあるはずです。つまり、合格したい、○○になりたいという意欲では、ほとんど優劣はつけられません。
また自分から真面目さや学習意欲をアピールしたところで、成績が悪ければ、口先だけだとすぐにわかってしまいます。


では、どうやって自分のやる気を買ってもらうのか。
「やる気では誰にも負けません」などと言うより、質問に答えて、志望理由やこれまでの体験を語る中で、以下の4つを感じさせることが大切です。


①好奇心と知識欲


②主体性と行動力

③困難に負けない強さ

④挑戦し続ける向上心




①好奇心と知識欲


志望理由を語るときには、疑問を感じ、わからないものについて考える好奇心と、興味あるものについてもっと知ろうとする知識欲があることを示しましょう。


その分野や職業に興味を持ったのなら、関連する本を読むなどして、気になったことについてもっと深く知ろうとするのが当たり前です。
自分がこれから進もうとしている世界なのですから、その仕事の具体的な内容社会的な意義だけでなく、どのような状況の中でどのような難しさがあるのかということも知った上で、それでもこの道に進みたいと思っている、ということを語るとよいでしょう。


社会に出れば、指示を待つだけではすみません。
自分で問題点を見つけ、解決方法を考えたり、当たり前だと思っていたものを見直して、新しいことを考えたりする能力が求められます。
その原点となる好奇心を持っているかどうか、言い換えれば、ふだんからものごとを見るときに、「どうしてなんだろう」、「どういうことなんだろう」と、自分で疑問を見つけ、答えを探そうとする習慣があるかどうかで、将来性に対する評価も変わってきます。



②主体性と行動力


知的好奇心があっても、本やネットで情報を得るだけで満足しているようではいけません。

自分にできることを考え、関連施設の見学や、一日体験などのイベント参加など、実際に自分で体験してみようとする行動力が必要です。


無鉄砲では困りますが、危険を回避する準備はしたうえで、自分の体を動かしてみましょう。
「自分で考え、行動し、失敗から何かを学んだ」というようなエピソードトークも、主体性と行動力をアピールするのには有効です。



③困難に負けない強さ

(投げ出さない粘り強さ・困難を乗り越えるための創意工夫・立ち直る打たれ強さ)


世の中、うまくいくことばかりではありませんからね。

壁にぶつかったときにどうするのかが、その人の価値を決めるといってよいでしょう。


面接でも、自分が経験した最大のピンチや挫折を尋ねられることがあります。
面接準備のために自分の経験を振り返るときには、成功したエピソードばかりでなく、苦労話や挫折体験も書き出しておきましょう。


そこで大事なのは、「簡単に投げ出す人間ではない」というアピール。
「なかなか結果を出せなかったが、あきらめずにやり続けた」、「それまでのやり方を見直し、新たな方法を試してみた」など、根気強さ試行錯誤を語り、これから味わうであろう困難にもくじけない人間だと思ってもらうことが大切です。


また、失敗や挫折をいつまでもくよくよと引きずる人間は嫌がられます。
特に若いうちは失敗をして叱られることも多いので、「打たれ弱い人間」=「扱いにくい人間」と思われ、敬遠されてしまいます。


反省し、過ちを繰り返さないための努力をした上で、決意を新たにまた踏み出すことのできる精神的な強さも必要なので、挫折から立ち直った体験を語れると評価につながります。



④挑戦し続ける向上心


努力に終わりはありません。
あこがれの職業に就けたとしても、そこからが本当のスタートです。
変化していく社会情勢の中で、次々に起こる予想外の事態に対処し、結果を出し続けるには、
状に満足せず、より高みを目指す向上心が欠かせません。

自分の成功体験を語るときも、喜びや達成感でまとめるのではなく、「ますますやる気が出てきた」、「次に挑戦したいものが見つかった」など、新たな意欲につなげるとよいでしょう。


いくら口がうまくても、面接官だって額面通りに受け取るわけではありません。
それでも、上記のように自分のやる気をアピールできる人は、「伝えるべきものがわかっている」、「伝える方法を考える力がある」という点で、能力の高い人間として評価されます。
秘めたやる気があるかどうかではなく、「自分のやる気をわかってもらうために、適切なエピソードに忍ばせて、自慢し過ぎない程度にさりげなくアピールする能力」を感じさせることが重要なのです。



(1)第一印象のよい人


人と関わる仕事では、相手に好印象を与えることも一つの才能ですから、知識や技術が同じなら、好感の持てる人間のほうが採用されるのは当然です。
また、教える側や一緒に働く側としても、「気持ちのよい人」を相手にしたいと思うのが人間でしょう。


しかも面接は、第一印象が勝負です。

最初に好感が持たれると、その後の質問に対する返答や表情も好意的に受け取ってもらえます。


いくら内面で勝負したいと思っても、短時間の面接で、自分の内面的な魅力を赤の他人にわかってもらうのは容易ではありません。

まずは、見た目の印象をよくすることを考えましょう。

場違いな服装やメイクは論外として、気をつけたいのは、顔・姿勢・話し方の3つです。



◆顔


美醜の問題ではありません。

美男美女でなくても好感を持たれる顔はいくらもあります。
大事なのは、目鼻立ちではなく、その表情の変化です。


表情は、目元口元で決まります。


まず、口は軽く閉じ、口角(唇の両端)を上げましょう
口角が下がっていると、まじめに話を聞いているつもりでも、つまらなそうに見えてしまいます。


目は、おだやかにほほえむときのやさしい目と、やや大きめに開いた目の2つを使い分けるようにします。
相手の質問を聞いているときと、答えを考え、話し出すまでの時間は、見開かないでやわらかな雰囲気を出し、熱意や自信、納得や感心を示すときは、目をしっかり開ける、といった具合です。
この目つきを意識するだけで、和やかな空気を作るおだやかな笑顔と、やる気と誠実さをアピールする、きりっと引き締まった顔という変化が出ます。


緊張のあまり顔がこわばったままでは、「暗い、神経質そう、気難しそう」といった印象を与えかねません。
面接本番で自然な表情を出すのは難しいのですが、上記のように目元と口元を意識するだけで、ずいぶんと表情は柔らかくなります。


自分の表情が相手にどう見られているかを意識するよい機会ですから、鏡を見ながらしっかり練習しておきましょう。
特に、周りから「目つきが悪い」と言われたことがある人は、ほほえみをキープする練習を。
「いつも眠そう」と言われたことがあるなら、目に力を入れて、張り切っている感じを出す練習をしてください。


また、髪が眉にかかっていて、表情がわかりにくいのもNGです。
目や眉の動きがはっきりと見えるようにしましょう


若者にとってのモテ系ではなく、中高年から見て、「清潔感がある・すっきりしている」と思われるヘアスタイルが有利です。
なお、おしゃれにこだわっていると思われるのもよくありません。
たとえ実際には短時間でできるセットでも、手間がかかっているように見られるものは避けましょう。



◆姿勢


まず、座っているとき立っているとき歩いているときの自分の姿勢を確認してみましょう。

頼める人がいれば、誰かに見てもらうといいですね。


背筋を伸ばし、あごを軽く引いて、落ち着いて見えるように意識することが大事です。
ふだんから猫背の人は、頭のてっぺんを上に引っ張られているようなイメージで、肩や胸を引き上げる練習をしてみてください。


座っているときに手で髪や顔を触ったり手もみをしたりすると、落ち着きのない人間に見られるので、癖になっている人は気をつけましょう。



◆話し方


あせらず、はっきり声を出す。それだけでいいんです。


面接官はあなたと話をするためにそこにいるのですから、自分に注目してもらうための努力もいりません。格好をつける必要もなく、オチもいりません。
そう考えて、肩の力を少し抜いてみてください。


よくないのは、「声が小さすぎる」、「あせって早口になる」、「相手を見ない」というもの。


まず、暗くぼそぼそと話す人は、内容よりもその話し方で評価が下がります。
緊張で声が出なければ、お腹に手を当ててもかまいません
話し出す前の「えーと」や「あのー」は禁止ですが、代わりに「はい」や「そうですね……」で一旦声を出してみてから、ボリュームを上げていきましょう


あせると早口になってしまう人は、一気に話し終えようとしないで、途中で間を取ることを心がけましょう。
文と文の間だけでなく、文中の接続詞のあとや、長い主語や目的語のあとでも一旦切って、軽く息継ぎをすれば、スピードを抑えることができます。

もしも噛んだり言い間違えたりしても、そんなことでいちいち減点などされませんから、落ち着いて言い直せば大丈夫です。


自信のなさや緊張から、相手の顔を見られず、伏し目がちというのもダメです。
目を合わせなくてもかまわないので、相手の口元に視線を向け、意識して顔を上げましょう

自分の声の大きさや話すスピードをコントロールできるようにすることが大切ですからね。
ケータイやスマホを活用し、想定問答を録音しながら練習するとよいでしょう。




以上のように、第一印象は努力で変えられるものです。
身だしなみや姿勢に気をつけるのも、表情や話し方をコントロールするのも、大人なら当たり前のこと。
練習すれば誰でも上達する技術なのですから、この機会にきちんと磨いていきましょう。



面接対策に取り組むときは、「ありのままの自分を見てもらおう」というのではなく、「どんな人が求められているのか」を考えることが大切です。


そもそも短時間の面接で、「ありのままの自分」が備えている魅力のすべてを、初対面の赤の他人にわかってもらうことなど、不可能です。


しかも面接官は、面接のプロとは限りません。

ほとんどの面接官は、ふだんはほかの業務に就いていて、入試や採用試験の時期にしか面接に関わらないのが普通です。

気に入らない部分を見つけるのは簡単ですが、逆に、隠れた魅力を引き出すとなると、質問する側の技量も問われます。


したがって、面接官が自分のよいところを見つけてくれるのを待つのではなく、相手が求めているものを考え、自分の中にもそういう要素があるのだということを意識的に見せていくことが必要なのです。



それでは、面接において求められている人物像を、以下の3つに分けて見ていきましょう。



(1)第一印象のよい人


(2)やる気をアピールできる


(3)周囲とうまくやっていける人

保育士を目指す


作文対策と面接対策を兼ねて、志望理由・自己PR・将来の抱負を語るための基礎知識と注意点を説明します。


それぞれ盛り込むべき要素は以下の通りです。



■志望理由


1.興味を持ったきっかけ(体験談)


2.保育士の役割と意義(果たすべき役割・求められる資質と能力)


3.保育士が抱える困難(社会変化・対人関係)


4.自分の適性と決意(自分の長所と短所・抱負と決意)



「保育士を目指す理由」ではなく、「この学校を受験した理由」を問われた場合には、学校見学などで感じたことを、


5.志望校の魅力(何がどう好印象だったか)


として加えて結びます。
(就職活動の場合は、「この施設で働きたい理由」となります)




■自己PR


1.簡単な自己紹介(自分の内面に影響を与えた家庭環境や学校生活)


2.学校生活で得たもの(自分が力を入れたこと・困難と克服のエピソード)


3.自分の適性と決意(自分の長所と短所・抱負と決意)




■将来の抱負


1.入学後に頑張りたいこと(学業・将来役立つ活動)


2.保育士として働き始めてからの目標




自己PRと将来の抱負については、すでに説明済みの『小論文のキソ』第10章に任せ、ここでは、志望理由の各材料について説明していきます。











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4.提言の考え方


 どこに問題があるかという指摘や批判だけで終わってしまうと、主張としての評価が得られない。

 決して簡単に解決できる問題ではないが、これからどうすべきかという自分なりの提言で結ぶようにしよう。

 今回は、次の3つの方向で考えてみるとよい。



①暴力の禁止を徹底するためのしくみづくり


②背景にある構造の見直し


③社会全体の意識改革




①暴力の禁止を徹底するためのしくみづくり


 まずは、どのようなチェック体制を整えて、暴力行為の有無を確認し、再発を防止すべきかが重要だ。残念ながら、暴力的指導の発生を完全に防ぐ手立てはないので、発生したときに、迅速に適切な対処を取れる体制づくりを急がなくてはならない。

 いじめ問題にも通じるものがあるが、生徒や選手が安心して相談できる窓口の設置や、そこから上がってきた情報を共有するしくみなど、被害の早期発見と早期対処のためにできることを考えよう。
 
 なお、暴力を否定することは、生徒を甘やかすこととは違う。教員が手を出せないことを知って増長する生徒に対しては、暴力以外の処分で厳しく臨み、秩序を守らせることも必要だ。

 問題を学校の中だけで解決しようとするあまり、警察や弁護士の介入を極端に嫌う傾向も見られるが、そうした姿勢が、学校の隠蔽体質を生み、モンスターペアレントのごね得を許してしまっている面もある。
 ほかの生徒にまで悪影響を及ぼす悪質な問題行動に関しては、学校の中だけで解決するために教員が暴力で臨むのではなく、警察の世話になるほうがよい。



②背景にある構造の見直し


 もちろん、起こった問題への対処だけでなく、できる限り問題が起きないようにする予防策も講じなくてはならない。暴力的指導を止められなかった原因を考えれば、実績を理由に他者の口出しを許さないような独裁的な立場を作らないようにするなど、指導体制の見直しも必要だろう。師弟関係や先輩後輩の関係であっても、間違った指導法には異議を唱えられる、風通しのよい現場を作っていかなくては、独裁者の暴走は止められない。



③社会全体の意識改革


 暴力を振るった者が悪いのは確かだが、一部の問題ある指導者さえ排除すればいいというような問題ではない。そのような暴力的指導が一部で容認されてきたのも事実であり、追い詰められた生徒や選手の周囲にも、最悪の事態になるまでに何かやるべきことがあったのではないかと考えてみることも必要だ。


 家庭でやるべきしつけまで教員やスポーツ指導者に押し付けてきた親の責任も無視できない。「殴ってでも言うことを聞かせてほしい」と要求するような親は、暴力を振るう教員や指導者と同罪と言える。

 また、「愛のムチ」を美化し、「勝利に導いた指導者」ばかりをもてはやしてきたマスコミや市民も、「愛のムチなら許される」、「結果さえ出せば許される」という勘違いを生んできた責任がある。


 生徒や選手に必要な「厳しい指導」とは、暴力的指導を指すわけではない。生徒や選手の力を引き出すのに暴力を使う必要などないという理解を、社会全体で共有し、「殴ってわからせる」というような古い体質を否定していかなくてはならない。


 できれば、「意識を変えるべき」で済ませるのではなく、こうした意識改革を進めるために、どのような取り組みが考えられるかというところまで踏み込むようにしよう。




5.最後に


 いずれにしても、上に立つ人間の暴力を認める主張は無理があり、体罰や暴力を完全否定した上で、そうした行為がはびこる原因を考え、どうすればなくせるのかを論じることが大切。


 このような問題では、「世間一般で否定されているものを、あえて肯定することで、個性をアピールする」というような手は使わないようにしよう。志望する分野によっては、たとえ条件付きであっても、暴力を肯定するのは致命的なマイナスとなるので要注意。
 まず、教育、医療、福祉のように、教員と生徒、医師と患者など、そこに関わる人々の力関係に圧倒的な差が存在する分野では、強者が弱者を尊重する姿勢が求められる。また、法律、政治のように、社会正義の実現を図る分野では、人権意識が求められる。こうした分野では、強者の力による支配や、人権侵害の容認とも受け取られかねないような主張を展開した場合、適性を疑われても仕方がない。









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3.問題を掘り下げるときの注意点


 1で示した3つのアプローチと、2で示した3つの基礎知識を押さえた上で、主張を掘り下げていくときに気をつけなくてはいけないのは、以下の3点だ。



①自分の個人的な体験をもとに語らない


②特定の事例のみを問題にしない


③問題の影響と責任は、当事者だけでなく、広い範囲で考える





①自分の個人的な体験をもとに語らない


 個人的な体験を語り出すと、主観的な感想で終わってしまい、一般論として役に立たない。


 体罰に反対するにしても、自分が暴力的指導を受けた体験を語るのはやめておこう。書き手の私怨私恨を長々と語られても、読む側にとっては退屈なだけだ。


 逆に、自分が受けた熱血指導を懐かしんで、「愛のムチだった」、「今は感謝している」といった言葉で、暴力的指導を擁護するのも無駄だ。そんなものは単なる個人的な感傷に過ぎず、全国のさまざまなケースに当てはまるわけではない。自分の体験談から、「生徒のためを思っての暴力であれば認められる」という主張を展開するのはあきらたほうがよいだろう。


 自分が受けたものを「暴力」と呼ぼうが、「愛のムチ」と呼ぼうが、それは個人的体験と主観的評価でしかない。社会問題について論じるときには、自分の思い出を語るのは厳に慎もう。



②特定の事例のみを問題にしない


 話題になった事件でも、一つ一つの事例には個別の事情があり、その一件の是非を語るだけでは、問題全体を論じたことにはならない。特に、全国で見られる一般的な事例に比べて極端なケースを引き合いに出して、その是非をほかの一般的な事例にまで広げようとすると、その強引さばかりが目立ってしまう。


 かつての管理教育の時代にも、校則や教員に逆らった生徒に対する体罰が問題になり、その是非が盛んに議論されたが、言葉による指導では手に負えないような非行少年や、逆に教育的指導の範囲を超えた暴力教員など、極端な例が引き合いに出され、水掛け論になりがちだった。
 たとえば、言葉による説得が通じないような悪質な問題児に悩む、荒れた現場では、最終手段として体罰が黙認されることが多く、「きれいごとだけでは済まない」との声も聞かれる。
 しかし、だからといって、ほかの生徒や教員に危害を加えるような生徒を例にして、「こういう場合には体罰しか残っていない。だから体罰は許されるべきだ」というような主張は通らない。その生徒の問題行動の悪質さをどれだけ語ろうと、ほかの現場での体罰まで肯定することはできないからだ。


 このように、たとえ生徒の側に問題がある場合でも、学校の秩序を守る方法が暴力しかないという主張は認められないので、警察や弁護士などとの連携のあり方を考えるようにしよう。


 なお、ほかの生徒や教員に危険が及ぶのを防ぐために、生徒の問題行動を力ずくで制止するのは、そもそも禁じられていないため、制止を引き合いに出して体罰を容認するのもNGだ。



③問題の影響と責任は、当事者だけでなく、広い範囲で考える


 小論文では、「当事者さえ納得していればそれでOK」というようなテーマは出題されないと思ったほうがよい。一見、当事者だけの問題に見える場合でも、必ずそれが周囲に及ぼす影響について考えてみるようにしよう。また、問題の責任も、加害者だけに求めるのではなく、そのような加害者を生んだ社会の責任まで考える必要がある。


 暴力的指導にしても、暴力を振るった教員や指導者と、被害にあった生徒や選手だけの問題ではない。暴力の容認は、当事者の周囲の人々にも、ひいては社会全体にも影響を及ぼす。

 そもそも教育現場では、暴力によって「体に教え込む」のではなく、きちんと言葉で指導し、理解させることが求められる。それが教員の仕事だ。子供たちが、自分の頭で考えるのではなく、暴力が怖いからというだけで従っていたのでは、ものごとの善悪を判断する力も養われず、自分がやるべきことを主体的に考える力もつかない。


 もしも教員による暴力を容認してしまえば、「力と恐怖による支配」を肯定し、相手が納得しようがしまいが力で押さえ込んでしまえばよい、という価値観を子供たちに植えつけてしまい、暴力の連鎖を生みかねない。暴力行為を日常的に目にすることで、他人に対して暴力を振るうことへの心理的抵抗が小さくなり、ブレーキが働きにくくなるばかりか、かつて理不尽な暴力に耐えてきた人々は、そんな自分を否定しないために、暴力を肯定しようとする心理が働きやすい。暴力的な親に育てられた子供が、他人や我が子への暴力を抑えられなくなるのと同じである。


 また、指導法に問題があっても、結果さえ出ていれば容認されるというのでは、「結果さえ出していれば何でも許される」という歪んだ価値観も刷り込まれかねない。スポーツ指導者による暴力は、結果を出さなければいけないとの焦りや、結果を出してきた自分のやり方への過信が引き起こしており、結果至上主義が招いたものといえるだろう。一方で、試合の結果のみで指導のよしあしを判断する周囲にも責任はあり、「強くなるためなら」と、これまで暴力的指導を容認してきた一部の保護者も、その意識を改める必要がある。