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2.押さえておくべき基礎知識


 議論の前提として押さえておきたい基礎知識は、次の3点。
 ここを勘違いしていると点数にならないので、正しい認識が必要だ。



(1)絶対に押さえておくべき基礎知識


①現在の法令上の扱い


②一部容認を主張するためには、許される範囲を示すことが必要


③暴力的指導の効果の有無




①現在の法令上の扱い


 問題となる行為が法令上も禁止されているのか、それとも禁止する法令はなく、道義上あるいは倫理上の問題にとどまっているのかという点については、正しい認識が求められる。

 たとえば携帯電話やスマートフォンの利用でいえば、電車内での利用ならば、乗客の「マナー違反」だが、自動車や自転車の運転中の操作となると、道路交通法で禁じられた「違法行為」として論じなくてはならない。一方、駅のホームや階段などでの歩行中の操作は、同じくらい危険ではあるが、現時点では禁止する法令はなく、利用者のマナーに委ねられている。


 このように、問題の改善につながるような法整備が進められているのか、あるいは法整備が追いついていないのかも含め、現在の法律上の扱いがどうなっているかに関しては、小論文の中で間違った内容を書いてしまうと、主張の説得力を大きく損ねてしまうので、要注意。
 自分の知識に自信がなければ、無理に言及しないほうが無難だろう。



②一部容認を主張するためには、許される範囲を示すことが必要


 対立するどちらの言い分もそれなりにわかり、自分の立場を決めかねることもあるだろう。しかし、今回に限らず、禁止と容認の間を取ろうとして、条件付きの一部容認を主張するのが実は一番難しい。

 「場合によってはOK」となると、「どういう場合はよくて、どういう場合はダメなのか」という線引きまで、きちんと自分で示さなくてはならない。認められるための条件を明確に示せないのに、安易に「場合によっては」などと言わないように気をつけよう。


 
③暴力的指導の効果や暴力による更生の可能性の根拠


 スポーツ選手でも、指導者による暴力を否定する人ばかりではなく、「強くなるためには必要」と考える人がいないわけではない。
 しかし、暴力的指導に本当に効果があるのかどうかは、一部の人間の体験談ではなく、全国あるいは世界を見渡して、十分な証拠があるかどうかで判断しなければならない。





(2)「体罰」に関する基礎知識


 では、3つのポイントに沿って、押さえておくべき基礎知識を確認しよう。



①現在の法律上の扱い


 現在は、体罰が法的に禁じられており、体罰はまぎれもない違法行為だ。法改正抜きに、体罰を容認することはできない。よって、小論文においても、しつけや指導の名のもとに一方的な暴力を振るうことを支持するような主張を展開すべきではない。
(なお、親の懲戒権は民法上認められているため、虐待にならない範囲であれば許される)



②一部容認を主張するためには、許される範囲を示すことが必要


 一部容認派に見られる主張を例に、どのようなことを説明する必要があるのか見てみよう。

・「愛のムチ」なら許される →「愛のムチ」かどうかはどうやって判断するのか
・ある程度(ひどすぎない)なら認めてよい →どこまでがよくて、どこからはダメなのか
・生徒や保護者が納得していればOK →そもそも納得していないから問題になっている


 このように、どういう条件がそろえば認められるのかを明確にすることが必要となる。
 基準を決めなければ、あとで問題になるかどうかが曖昧な分、かえって現場に混乱を招く。
また、現場の判断を尊重するというのも、結局は判断を下さなければならない現場の負担が増すだけなので、そのような逃げの姿勢はやめよう。



③暴力的指導の効果の有無


 暴力的指導に果たして効果があるのかどうかは、意見の割れるところだが、小論文では、個人の主観ではなく、客観的な証拠を示せるかどうかが重要となる。一部の人間が、自分の経験をもとに、「そのおかげで強くなれた」、「正しい道に引き戻してもらった」などと言ったところで、そんなものは根拠にならない。


 まずスポーツの現場で言えば、暴力的指導が常態化していても結果を出せない団体もあれば、暴力的指導などなくても結果を出している団体もある。したがって、強くなるために暴力的指導が必要であるとは言えず、暴力的指導の効果を裏付ける証拠はない。
 オリンピック憲章でも明確に否定されているように、世界的にも、指導者の暴力は認められていない。国際大会の舞台での暴力的指導を見咎められて処分を受けたケースもあり、文化の違いを理由に容認されるようなものではないことも認識しておこう。


 また日本では、刑事犯に対してもムチ打ちなどの暴力的な処罰は認められておらず、暴力による更生の可能性は明確に否定されている。少年院でも、入所者を殴ることで更生させるようなプログラムは採用されていない。まして、暴力的指導と更生可能性について何の科学的根拠も持たない教員が、自己判断で殴って更生させられると考えるのは、思い上がりもはなはだしい。

 たとえ中には、殴られた後に更生した生徒がいたとしても、「殴る以外に更生させる手段はなかった」とする根拠にはなりえないため、「暴力の痛みと恐怖」による指導や更生を正当化するのは絶対にやめておこう。













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1.どこから手をつけるべきか


 課題文や資料が与えられている場合は、その読解から始めればよいが、テーマのみが与えられた場合には、何から始めればよいかわからないという人もいるだろう。
 困ったら、以下の3つのアプローチを試してみよう。



(1)3つのアプローチ


①記憶にあるニュースを整理する


②言葉の定義を考える


③異なる立場を考える




①記憶にあるニュースを整理する


 時事問題が取り上げられた場合、まずは関連するニュースを思い出すところから始めよう。
 ただし、特定の事例を事細かに説明する必要はないので、「高校生の自殺」、「女子柔道の日本代表選手による告発」など、箇条書きで書き出す程度でよい。

 複数のニュースがあれば、次にそれらの共通点を考えてみよう。単に「暴力」というだけでなく、加害者と被害者の関係や、事件の背景にある意識、事件発覚後の対応などを思い浮かべて、同じではないかと思える要素を書き出していくと、論点を見つけやすい。



②言葉の定義を考える


 論理的な考察のためには、対象の範囲を明確にすることが大切だ。与えられたテーマやキーワードを、漠然としたイメージのまま扱うのではなく、言葉で表してみよう。必ずしも辞書に載っている定義と一致しなくても構わないが、読み手に納得してもらえないと困るので、一般的な認識から大きく外れないように気をつけよう。


 今回の場合、「体罰」とは文字通り、罰として身体的苦痛を与えることである。したがって、「体罰」であるためには、「罰すべき悪事」が存在し、それを「罰すべき立場」にある人間が、「悪事に見合った罰」となる内容で行わなければならない。仮に、選手の態度がふがいなく見えたとしても、それが「罰すべき悪事」なのか、部活動の顧問やコーチが罰すべきなのか、また、「悪事に見合った罰」と呼べるのかが問題となる。   

 こうした条件を満たさずに、暴力を振るった側が勝手に「体罰」だと思い込んでいるだけなら、それはただの暴力でしかない。報じられているように、悪事を働いたわけでもない生徒や選手に対する暴力は、そもそも「体罰」と呼べるものではなく、「逆らえない上下関係をかさにきた暴力」と認識すべきである。


 このように、「体罰」の是非を論じる前に、その言葉の定義を考えてみることで、何を問題にすべきかが見えてくる。



③異なる立場を考える


 自分が思うことをただ書き並べるだけでは、一方的な押し付けになってしまいやすい。そのため、その問題をめぐる議論で、どのような対立軸があるのかを考えてみることが大切だ。
 ものごとを賛否の両面から眺めてみたり、対立する立場双方の主張を整理してみたりすることで、自分がどちらの側に立ち、何を重視し、何を批判すべきかがはっきりする。
 すでに自分の考えがはっきりしている場合も、あえて対立する立場からの反論を想定し、それをどう論破するのかを考えることで、自分の主張に説得力を持たせることができる。




(2)3つのアプローチから導かれるものの例


 では、3つのアプローチからどのような材料が得られるか、例を見ていこう。


①記憶にあるニュースを整理する


・体罰、暴力(身体的、精神的)、暴言
・高校生、自殺、バスケットボール部、主将、顧問、大阪、強豪校、ほかの部でも
・大阪市長、教育委員会、入試中止、看板のかけ替え(変更しての入試)
・女子柔道、日本代表、監督、オリンピック、続投、辞任
・全国で続々発覚、強豪校の運動部、過去には相撲部屋での傷害致死も


・共通点①:被害者が逆らえない上下関係(逆らうと居場所を失う)、
        周囲が制止できない上下関係(周囲の人間も止められない)
・共通点②:結果至上主義、勝てば官軍、「結果を出さなければ」との指導者の焦り
・共通点③:閉鎖的な世界、世間との認識のずれ



②言葉の定義を考える


・「体罰」=罰として身体的苦痛を与えること
・「罰すべき悪事」かどうか
・「罰すべき立場」の人間かどうか
・悪事と罰のバランスが適当かどうか
・実態は、「逆らえない上下関係をかさにきた暴力」



③異なる立場を考える


◇完全否定派
・「体罰」は、違法行為・パワハラ(パワーハラスメント)・人権侵害
・力と恐怖で押さえつけても育たない
・背景にある結果至上主義が問題
・問題が生じた後の対応にも問題がある


◆一部容認派
・体に覚えさせることも必要
・言葉で言ってもわからなければ仕方がない
・理不尽なしごきに耐えてこそ強くなれる
・過剰なクレームを恐れて、指導者が萎縮してしまうおそれがある
・「愛のムチ」なら許される
・厳しい指導を望む保護者もいる










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時事問題から考える:体罰


 この章では、注目されるニュースから、小論文で取り上げる際の問題点の見つけ方、論点の整理のコツ、主張の掘り下げ方などを学んでいこう。


 今回取り上げるのは、教育や指導における暴力


 運動部の顧問から暴力を受けた高校生の自殺をきっかけに、学校やスポーツ指導における「体罰」という名の暴力が次々に告発され、改めてこの問題が議論されるようになった。

 さまざまな意見がある中、入試では何をどのように論じればよいかを考えてみよう。


 ここでは、次の4点について、それぞれポイントを3つに絞って説明していく。



1.どこから手をつけるべきか


2.押さえておくべき基礎知識


3.問題を掘り下げるときの注意点


4.提言の考え方


要点の手がかり(英文読解対応版)


大学によっては、英語の長文を読ませる小論文入試もあるけれど、要点を押さえるための手がかりに注目しながら読んでいくのは、日本語でも英語でも同じ。


まずは和文の要点に印をつけながら読む練習をして、瑣末な部分にとらわれずに大意をつかむことに慣れよう。

突然出てきた主張やキーワードの意味がわからなくても、続きを読んでいけば、わかりやすい言い換えや詳しい説明が出てくるものなので、気にせずどんどん読み進めるくせをつけることが大切だ。

和文がすばやく読めるようになったら、同じ要領で、英文の速読にも挑戦しよう。



なお、大事な情報を最後に出すことが多い日本語に対し、英語では、大事なことを先に伝えようとする。

先に事情を説明してから、最後に自分の主張や要求を示す日本人と、先に主張や要求を打ち出しておいてから、事情や根拠を説明していく英米人の差だ。

また、日本語は文末の動詞や助動詞次第で内容がまるで違ってしまうが、英語の動詞や助動詞は主語の直後に示され、細かい情報ほどあとに回されるのが特徴だ。

こうした違いも頭に入れて、和文、英文それぞれの要点をすばやく見つけられるようにしていこう。



要点の手がかり(英文読解対応版) (PDFファイル 11ページ)

【要点の押さえ方】和文・英文共通


1.話題の中心を押さえる

 何について論じているのかを、文中の語を使って、一語から数語で短く示せるようにする。


2.筆者の主張の中心を押さえる

 筆者が結論として読者に訴えている部分を見つけ出す。


3.重要でない部分を切り捨てながら、そのほかのキーワードを拾っていく

 具体例などの細かい話はかぎかっこでくくって軽く流し、その前後のまとめを中心にたどって、どのような問題をどう見ているのか、何と何をどう比べているのかなど、筆者のものの見方を確かめながら、キーワードに線を引いていく。


面接の注意点を書き出すときりがないので、面接対策の際に心がけてほしい点を3つだけ。



【面接対策のポイント】


①面接官との対話を心がける。


「こう訊かれたらこう答えよう」という想定問答もある程度は必要だが、面接官からすれば、用意してきた答えを暗唱しているだけの受験生ほどつまらないものはない。
準備してきた想定問答通りの質問をされた場合でも、暗記してきた内容を一気に長々と語るのはNG!


まずは簡潔な一文で答え、面接官が掘り下げてくるのに合わせて、小出しにして答えよう。
詳しい説明を用意してあっても、面接官が興味を持って食いついてこなければ、それ以上語らないほうがよい。
時には、即答せずに、「そうですね……」と、わずかに間を取って答え、あらかじめ用意してあった内容でも、その場で考えたふりをするという手も。



②望まれている学生像を意識する。


面接の問いに対する答えは、「事実」や「ありのままの自分」である必要はない。
正直に言えば何でも許される場面ではないのだから、状況や相手に合わせてふさわしい言葉や態度を選ぶのは当たり前だ。
面接であれば、相手がどんな学生に来てもらいたいと思っているのかを考え、そういう学生ならこういう答えになるはずだ、と導いた結果で構わない。


大人が若者に期待しているものを考えると、学生として迎えたいのは、「明るく前向きで、周囲ともうまくやれる協調性と、学業に打ち込む集中力や根気があり、向上心を忘れない若者」。
想定の質問に対する回答を用意するときは、この若者像にふさわしい内容を考えるようにしよう。



③「なりきりキャラ」で、ふさわしい言葉や口調に慣れておく。


面接には面接にふさわしい言葉遣いや話し方というのがある。
市販の面接対策本を見れば、驚くほどたくさんの注意点が並んでいる。
それらの注意に従って、どんな質問をされても安定して「望ましい若者像」に合った回答をするというのは、本当に至難の業だ。
学校や塾で面接対策をしてもらって、いろいろ教わったとしても、身につくまでには、何度もレッスンを重ねる必要がある。


そんなふうに人にチェックしてもらう機会を確保できず、一人で練習しなければならない場合は、思いきって、ほかの誰かになりきって答えるようにしてみるといい。
ドラマや漫画の登場人物でも構わないから、②で挙げた若者像に近いキャラクターを選んで、「○○だったらこんなふうに言いそう」と、そのキャラクターになりきって、いかにもその人らしい態度で話す練習をしておこう。

趣味や、感動したもの、尊敬する人など、個人的な思い入れを語るときは、初対面の相手にどれだけわかりやすく説明できるかが試される。

相手に通じないかもしれない固有名詞には簡単な説明を添え、ただの事実を並べるだけでなく、自分の気持ちやその変化がわかるようにするなど、相手にわかってもらおうとする姿勢がそこに感じられないと、評価は確実に下がってしまう。


以下の例で、自分が話すべき内容を紙に書き出してみて、赤の他人にどう映るかを考えてみよう。


①趣味
・趣味の内容
 ※本を読むのも音楽を聴くのも、ごく当たり前のことなので、そのジャンルやハマり方がよほど変わっていなければ、読書と音楽鑑賞は趣味のうちに入らない。
・興味を持ったきっかけ 
・どのような時間を使って、どう楽しんでいるか。
   
②好きなもの・感動したもの・印象に残ったもの(本・映画など)
 ※趣味として挙げたものをさらに掘り下げて訊かれることも。
・内容(描かれているもの)
・出会い
・感じた気持ちや考えさせられたこと(発見、疑問、反省ほか)
   
③時事問題への関心(印象的なニュースなど)
・ニュースの内容
・問題になっていること
・感じた気持ちや考えさせられたこと(発見、疑問、反省ほか)
  
④尊敬する人
 ※「両親以外で」と条件がつけられることも。
・どのようなことをした(している)人物か。
・どのような点を尊敬しているか。どういうところを見習いたいか。 

家族についての話は、受験生がどのような家庭で育ったのか、言い換えれば、充分な愛を注がれ、まともなしつけを受けてきたかどうかを見る材料になる。


いくら親子仲がよくても、子供にナメられているような、親の威厳も親への敬意も感じさせない「友達親子」は、大学関係者にはウケが悪い。
「理解のある優しい親」という面ばかりでなく、しつけなどでは厳しさも覗かせるくらいでないといけないということだ。


また、両親が仕事などで忙しくて、一緒に過ごす時間がほとんどない、というのも好まれない。

忙しい中でもどういう気遣いがあり、子供がその親の愛をどのように受け止めてきたかがわかるようなエピソードがないと、「家庭を大事にしない親」で終わってしまう。

たとえ短い時間でも、お互いの思いを伝える努力をしてきたことを説明しよう。


このように、良好な家族関係を印象付けるには、「家族で過ごす時間を大切にし、会話が多い家庭」と、「両親の考えを理解し、敬意を払う子供」という2つのポイントを押さえることが大事だ。



では、以下のような問いに対する答えを考えておこう。


①両親について
・どのような仕事をしているか
・家ではどのように過ごしているか
・子供のしつけで重視したことや教育方針はどのようなものか
・家族の時間はどのようなことをして過ごしているか
・親子の間ではどのような会話が多いか
・尊敬できるところ  


②兄弟姉妹について
・兄弟姉妹と自分との仲
・兄弟姉妹がいてよかったと思うとき
・兄弟姉妹への不満やコンプレックス


※兄弟姉妹がいない場合

・一人っ子でよかったと思うとき

・兄弟姉妹がいたらよかったと思うとき 


経験談を語る際には、単に経験の事実を説明するだけでなく、それが自分に与えた影響を語るのが基本。
たとえば高校生活の思い出なら、どういうできごとがあり、そこで自分が何をして、その体験から何を得たのかを簡単にまとめればいい。
以下の質問に対する答えを用意しながら、このような説明に慣れていこう。



①母校の特徴
・どのような特色を持った学校か(どのようなことに力を入れていたか・どのような珍しい行事があったか)。
 → 自分自身はそこでどんな経験をし、どんなことを学んだり身につけたりしたか。


②学校行事
・どのような行事のどういうところが印象に残ったか。
 → 自分はどういう役割を果たし、どんなことを学んだり身につけたりしたか。


③学業
・好きな科目や得意科目
 → その科目のどういうところに興味があり、どう楽しんでいるか。


・嫌いな科目や不得意科目
 → その科目のどういうところが苦手で、克服するためにどうしているか。


④課外活動
・部活動やクラブ活動
 → その部やクラブを選んだ理由と、主な活動内容と実績。
   部やクラブの中で、自分がどのような立場で、何に取り組み、何を乗り越え、何を得たか。

・委員会活動
 → その委員や係になった経緯と、主な活動内容。
   委員として、自分がどのような立場で、何に取り組み、何を乗り越え、何を得たか。   

・ボランティア活動
 → 主な活動内容と、自分か参加した理由。
   どんな経験をして、どんなことに気づかされたり、どんな気持ちを味わったりしたか。


⑤人間関係
・友人
 → 友達とどのような付き合いをしているか。親友と呼べる人はいるか。
   どういう体験をともにし、何に気づかされたか。

・恩師
 → どのような先生の、どういうところが印象に残っているか。何を教えられたか。

将来の抱負も、すぐ目の前にある大学生活における抱負だけでなく、大学卒業の進路(就職or大学院進学)の希望、さらにその先の職業に就いてからの抱負を尋ねられることがある。



A.大学生活についての抱負


まずは大学生活についての抱負。
言うまでもないことだが、大学生の本分は学問。それ以外はただのおまけだ。
サークル活動やアルバイトをどんなに楽しみにしている人でも、そんなことへの意欲を語るべきではない。


①勉学
学校案内に載っているカリキュラムや具体的な講座名を挙げて、どういうことを学びたいのか言えるようにしておこう。
また、学校案内になくても、その分野で最近注目されていることを選んで、「今後、○○がさらに重要になってくると思うので」と理由を添えて、「○○のあり方」や「○○の活かし方」を学びたいと話すのも好印象。


②留学・海外研修
たとえ今は興味がなくても、最初から「留学したくない」と言い切ってしまうのはNG。
「留学」は単なるワードで、要は受験生の積極性を見るための質問なのだから、新たな世界に挑戦する姿勢の見られない返答は慎もう。
実際に海外に行くかどうかは別として、留学を希望する理由や、その国を選んだ理由、その国でしか学べないこと、勉学以外にどのような文化を吸収したいかなど、意欲が伝わるような具体的内容まで考えておこう。


③ボランティア活動
すでに使い古された感もあるが、年齢や立場の異なる人々との交流を通じて経験の幅を広げることも大切だ。
単にボランティア活動への参加意欲を語るだけではなく、そこから何を学び取りたいのかも言えるようにしておこう。


④サークル活動・趣味
向こうから質問されない限り、自分から言う必要はない。
訊かれた場合は、趣味の継続や、新たな挑戦となる活動を語ればOK。


⑤アルバイト
社会勉強のために、という口実が使えるのは、大学生活に慣れて余裕が出てきてからの話。
入学前から言うべきことではないので、自分からは口にしないほうがよい。
特別な家庭の事情がない限りは、「入学してすぐに始めたい」というのではなく、「興味はあるが、当面は新たな環境で勉強についていくことに専念しないと」という慎重な姿勢で。
やってみたいバイトを具体的に訊かれたら、なるべく専攻分野と接点のある仕事(教育系や福祉系なら、児童館や学童保育の手伝いなど)を挙げておく。
明らかにカネ目当てと思われそうな仕事や、勉強に影響が出そうな時間帯や拘束時間の長い仕事は言ってはいけない。
「先輩たちの話をよく聞いて、自分のためになる仕事を慎重に選びたいと思います」としておこう。



B.大学卒業後の進路についての抱負


①就職か大学院進学か
大学院に進む率がある程度高い学部の場合、進学の意志について訊かれることもあるが、答える態度を見られるだけで、どちらを希望しようが合否には影響しない。
大学院でしかできないことを挙げて進学希望を語るもよし、「学ぶ中で、研究を続けたいことが見つかるかどうかによるので、今はまだ決めていません」と答えるもよし。
大学卒業後の進路について一応は考えたことがある、というのが伝わればそれでOK。


②就きたい職業・働きたい業界
卒業生の進路がさまざまな学部の場合、今の時点でどんな希望を持っているのか訊かれることもあるが、これも、返答の中身より、答える態度が重要。
興味のある職業や業界を2、3挙げ、「自分が学んだことがそれぞれの分野でどう活かせるのか、よく考えて決めるようにしたい」とでも言っておこう。



C.目指す職業に就いてからの抱負


①どういう専門職として、どのような仕事をしたいか
自分の夢が固まっている場合や、卒業生の進路がほぼ決まっている学部の場合は、その職種や業界の中でもさらに細かく分かれた専門職についての希望を問われることもある。
たとえば医学部なら、興味のある診療科や、そこで取り組みたい病気や治療法を挙げたり、「予防医学」や「統合医療(西洋医学と東洋医学の融合)」、「地域医療」や「在宅医療」など、小論文対策で学ぶキーワードを使って、自分が特に力を入れたい分野について語ったりすればよい。
その職業がどんな仕事をするものなのか理解していることが前提になるので、よくわかっていない場合には、学校案内などの卒業生のコメントや関連書籍を読んで、具体的な仕事内容を知っておこう。


②自分が描く理想像
仕事の内容というより、職業人としての姿勢についてどう考えているのかを問われることもある。
その場合は、「人の気持ちのわかる○○になりたい」などの願望だけではなく、今の社会の流れ(医療や福祉なら「高齢化」や「介護の社会化」など)を踏まえ、「今後、○○がさらに重要になってくると思うので」と理由を添えて、「○○を第一に考えたい」、「○○を忘れないようにしたい」などと、自分が大事にしようと思っている考え方や価値観を説明するとよい。

医歯薬看護系など、ある職業に就くための学部になっている場合、面接で、「自分がその職業に向いていると思うか」、「自分のどういうところが向いていると思うか」といった、目指す職業の適性に関する質問をされることもある。


これは、自分の長所を自慢しろということではない。
・その職業に求められるものについてきちんと考えているかどうか。
・目指す理想と今の自分とのギャップをどれだけ自覚しているか。
という両面から、その職業を目指す本気具合を見るためのものだ。


たとえば医師の場合、求められる適性としては、以下のようなものが考えられる。
医師以外の職業にも当てはまるものが多いので、目指す職業を念頭に、自分自身に適性があるか、各項目に○△×をつけてみよう。
もちろん、これらすべてを完璧に備えていなければダメだというわけではない。
願書や面接で、これらすべてに言及できるわけでもないので、自分が特に重要だと思うものに絞って語ればよい。


【科学者としての知性】
好奇心・探求心……さまざまなものに興味を持って取り組む。特に科学的好奇心が旺盛。
向上心・向学心……常に最新の医学知識・技術の習得に努める。
論理的思考……明確な論拠のある、筋道の通った考え方ができる。
判断力……冷静に理性的な判断を下す。優柔不断にならない。
柔軟性……臨機応変に対処できる。※信念を持たずに周囲に流されるのとは別。
問題意識……ものごとの問題点を見つけ、その解決に挑む。
観察力……ものごとの些細な変化を見逃さない。
語学力・英語力……海外の進んだ医療を学ぶにも、自身の研究を発表するにも必要。
機械に強い……情報機器や医療機器を使いこなせる。 


【人格者としての人間性】
やさしさ・思いやり……弱者への配慮を忘れない。
共感能力……他人の痛みやつらさに寄り添える。 ※同情や憐れみとは違う
想像力……自分の言動やものごとの結果を想像し、その是非を考える。他人の心情や状況を想像し、それに応じた対処ができる。
コミュニケーション能力……互いの考えや気持ちを適切に伝え合える。状況に応じて適切な言葉を選んでわかりやすく説明できる。
寛容・寛大さ……異なる価値観に対する理解がある。自分の価値観を押しつけない。
自制心・自律心……自分の言動をコントロールできる。自分の甘えに負けない。自分の精神のバランスを保てる。感情的にならずに平常心を保てる。
忍耐力・粘り強さ……困難な状況でも根気強く頑張り続けることができる。
協調性……自己中心的にならず、ほかの医療従事者と連携できる。
リーダーシップ……さまざまな連携の中で、必要に応じて主導的立場を果たすことができる。
(看護師など、他の医療従事者でも、それぞれのグループの中でリーダーシップが求められることはある)
謙虚さ……傲慢にならず、現代医学や自身の限界を認め、その中で全力を尽くす。
常識・教養……幅広いものごとを知り、人間関係を円滑にする。
常識的な倫理観……反社会的な研究をしない。科学的好奇心を優先させない。
正義感・公正さ・遵法精神(リーガルマインド)……人としての道を誤らない。
カウンセリングマインド……相手の気持ちを楽にしてあげられるような聞き上手。


【その他】
体力・持久力……医師としての激務に耐えられるだけのスタミナがある。

健康管理……体調不良で周囲に迷惑をかけない。
手先が器用……手術や処置などの細かい作業を正確にこなせる。
時間の使い方がうまい……限られた時間の中で効率的に動ける。



では、これを参考に、以下の質問に対する答えを準備しよう。

①なりたい職業ならではの苦労や困難として考えられるのは?
 その分野で近年どのような問題が持ち上がっている?

②それらの困難を乗り越えるために必要な資質は?
 今その職業に求められているのはどういう人?

③自分の長所のうち、なりたい職業に向いている点は?

④その長所は、将来どのような場面で活かされそう?

⑤自分の短所を考えて、なりたい職業に向いていない(足りない)点は?

⑥その短所は、今後どう克服すればよいと思う?