小さなビールのいい話 | 幕内秀夫の食生活日記

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「食」にかかわる諸々を綴っていきます

 ごはん、味噌汁、かぼちゃの和え物(干しぶどう)、春雨炒め、もずく酢、鯵の干物

 鯵の干物が多い?好きだから毎日でもいいです。でも、いつものと色がちがうと思いませんか?やや茶色っぽい?そうなんです。たぶん?魚醤につけて干しています。そのため、非常にうまい!!

「ほんの一口」、手のひらサイズ。あまりに小さなビールの意外なニーズ

オピニオン1 日

「ほんの一口」、手のひらサイズ。あまりに小さなビールの意外なニーズ

「ほんの一口」、手のひらサイズ。あまりに小さなビールの意外なニーズ© AERA dot. 提供

 手のひらサイズ、たった135ミリリットルのビール。一体誰が買うの?と思いきや、確かな需要がそこにはあった。AERA2023年9月11日号から。

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 数多の銘柄がズラッと並んだビールコーナーで今夜のお供を選んでいると、かわいらしい小さな缶に目が留まる。手のひらに収まる超ミニサイズ。キリン、アサヒ、サッポロの人気銘柄がぎっしり陳列されている。ロング缶(500ミリ)やレギュラー缶(350ミリ)と比べグッと小さい。容量は135ミリ、小さなグラスにちょうど1杯。喉が渇いているときならば、誇張抜きに一息だ。

 晩酌の500ミリを飲んだ後にもう1本500ミリを開けようか、いや、今日の2本目は350ミリで我慢しようかと葛藤する記者からすると、このサイズは用途がまるでわからない。

■問い合わせ絶えない

 もちろんこのくらいが適量という人もいるだろうが、グビグビ飲む印象が強いビールの特徴を考えると、それほど需要があるとも思えない。昔から、誰が飲むのだろうと気になっていた。

「売り上げに占める割合はわずかです。でも、欠品するとお客様からは『いつ入荷しますか?』と問い合わせの絶えない、底堅い商品でもあるんです」

 と、キリンビール流通営業本部で量販店営業を担当する宮田純(きよし)さんは言う。キリンビールでは、看板銘柄の「一番搾り」と発泡酒「淡麗極上〈生〉」で135ミリ缶を展開している。

 135ミリ缶の発売は1984年。ブームだったワンコイン需要に合わせてサントリーが「希望小売価格100円」で発売し、ほかの主要3社も追随した。ビールを少しだけ楽しみたい人、グラス1杯が適量という人にぴったりなのだという。

「『ビールは飲みたいけれど少しで十分』という方が多く購入してくださっています。量販店では購入頻度が高い高齢の方が手に取りやすいよう棚の低い位置に展開することが多いですが、若い方にも買っていただいています。売り上げの比率は小さくても、ブランド全体の構成のなかで欠かせない商品になっていますね」(宮田さん)

■二十歳の記念に祖父と

 記者の周囲に尋ねてみても、意外や意外、このサイズを愛飲している人がすぐに見つかった。

「普段の晩酌は焼酎。ですが、暑い夏は最初の一口、ビールを飲みたい」(50代男性)

「ほんの一口」、手のひらサイズ。あまりに小さなビールの意外なニーズ

「ほんの一口」、手のひらサイズ。あまりに小さなビールの意外なニーズ© AERA dot. 提供

「夫の晩酌に付き合って飲むけれど、小さいグラス1杯で十分。でも、夫のロング缶からわけてもらうのはイヤで自分用の1本がほしいんです」(40代女性)

 用途の広さも135ミリ缶の特徴だそう。宮田さんは続ける。

入院先。適正飲酒の流れもあり、無理に大きな缶ではなく小さなサイズで、というニーズは増えると考えています。自分で飲む以外では、お彼岸の時期はお供え用の需要があり、仏花などと並べている小売店さんもあって売り上げが少し伸びます。また、最近ではインバウンドの方がお土産としてまとめ買いするケースも多いようです」

 135ミリ缶にまつわる思い出を話してくれた人もいた。

「学生時代、バイト先の先輩が退職する最終日、休憩中にこっそり乾杯した。急に上司が入ってきてバレたけれど、見ないふりをしてくれた」(30代男性)

「二十歳になった記念に祖父と飲みたくて、入院先の先生に許可をもらって持っていった。お酒が大好きだった祖父はもう小さな缶も飲みきれなくなっていたけれど、本当にうれしそうに飲んでくれた」(30代女性)

 発売から間もなく40年。小さなビールは、誰かの日常を照らし、心に大きな足跡を残してきたのかもしれない。そんなことを考えながら、生まれて初めて135ミリ缶のプルタブを引いてみた。小さな缶も、やはり同じようにおいしかった。ちょっと物足りなくて、そのあと500ミリ缶も開けてこの原稿を書いたのだけれど。(編集部・川口 穣)

 

AERA 2023年9月11日号

▼いい記事ですね。私はいつの間にか、飲むのはビール1本になっています。出張などで「帰り」を考えないですむとき以外は、週に2,3回、350㏄が適量になっています。おおよそ、半世紀も付き合っていますが、「135㏄」は飲んだことがありません。というより、売っているのを見たことがありません。「目」に入らないのでしょうね?考えてみれば、「ビールは一口目がうまいんだよね」、大酒飲みの人でも、「最初はビール・・・」という人は少なくありません。

 ドイツやベルギーなどでは「常温」で飲む人も多いと言います。しかもズーットビールだけを飲む人も多いと言います。それらの国のビールを飲むと、コクと香りが濃厚です。どうも、日本の場合は、冷たい炭酸飲料を飲む感覚のような気がします。実際、ぬるいビールなら飲みたいとは思いません。だから、このようなサイズのビールもあり得るんでしょうね。

 少し心配なのは?自動車を運転する人が、「これくらいなら」に調度いいサイズと言う心配はないのでしょうか?

 ところで、晩酌の500ミリを飲んだ後にもう1本500ミリを開けようか、いや、今日の2本目は350ミリで我慢しようかと葛藤する記者からすると、このサイズは用途がまるでわからない。

 この文章が気になりました。大きな意味があると思っています。それは明日?ということで。