「何を食べるか」だけでなく「誰と食べるか」も血糖値に影響するとの実験結果
食事をすると食物中に含まれる炭水化物が分解され、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が上昇します。さまざまな状況でパンを食べてもらい血糖値を測定する実験により、「何を食べるのか」だけではなく「1人で食べるのか、それとも誰かと一緒に食べるのか」も血糖値に影響することがわかりました。
血糖値がうまく制御できているかどうかは健康状態を測る指標として知られており、健康を気にする人々は食事の内容に注意を向けています。しかしイスラエルのヘブライ大学などの研究チームは、食べたものの内訳ではなく「1人で食事をするのか、それとも誰かと一緒に食事をするのか」が血糖値に影響するのではないかと考えて実験を行いました。
実験では108人の被験者に108gの白パンを食べてもらい、その後2時間にわたって血糖値を追跡しました。ある条件では被験者は1人でパンを食べ、別の条件では親しい仲間と一緒にパンを食べましたが、条件によってパンの種類やサイズに変更はありませんでした。
実験の結果、被験者は1人だけでパンを食べた時よりも、誰かと一緒に食べた時の方が血糖値の急上昇が抑えられ、基準値に戻るのも速いことが確認されました。論文の共著者であり、ヘブライ大学心理学部教授を務めるシャー・アツィル氏は、「血糖値の調節は何を食べるかだけでなく、誰と食事をするかにも左右されるのです」と述べています。
以下のグラフは同じ被験者が異なる条件でパンを食べた場合について、Aが「パンを食べてからの血糖値」を、Bが「パンを食べてからのAUC(血糖曲線下面積:血糖値増加量を面積で算出したもの)」を表しています。同じ被験者が1人でパンを食べた条件(赤)と仲間と一緒にパンを食べた条件(青)で比較すると、1人で食べた時より仲間と一緒に食べた方が血糖値の上昇幅が小さく、血糖値の低下も速いことが確認できます。
以下のグラフは異なる被験者間で同様の条件を比較したもので、Cが「パンを食べてからの血糖値」を、Dが「パンを食べてからのAUC」を表しています。やはり仲間と一緒に食べた方が、血糖値の調節がうまくいっていることがわかります。
以前から「孤独」が人間の体にさまざまな悪影響を与えることが知られており、2022年の研究では「孤独」が2型糖尿病の発症リスクを2倍に高めることが示されています。研究チームは、「以前の研究は社会的孤立の結果に焦点を当ててきましたが、本研究では血糖代謝における社会的近接性の、直接的かつ定量化可能な有益な効果を明らかにしました」と述べています。
さらに研究チームは、「体が寒さにさらされた時の反応」や「ストレスを与えられた時の反応」についても実験を行いました。以下のグラフはAが「寒さにさらされてからの体温変化」を、Bが「ストレスを与えられた後の交感神経の活動(EDA)」を表したもの。被験者が1人で寒さやストレスにさらされた条件(赤)と、仲間と一緒に寒さやストレスにさらされた条件(青)を比較すると、仲間と一緒の方が体温の低下が抑えられて回復も速く、交感神経系の活動もうまく抑制されていることがわかります。被験者は肌と肌を触れ合わせていたわけではなく、ただ近くにいるだけでこれらの効果が生じました。
研究チームは今回の実験で確認された原理を「Social Physiology(社会生理機能)」と呼んでいます。これは、人間の体は自分1人だけで存在しているよりも、社会的なパートナーが一緒にいる状況下の方が、より効率的に自己調節を行えることを意味する言葉です。
アツィル氏は、「これまで身体は自己調節を行う独立したシステムだと考えていました。しかし私たちの研究結果は、人間の生理機能は本質的に社会的なものであることを示しています。愛する人と親密な関係を築くことで、身体が自己調節に費やすエネルギーが減少します。これは、一緒にいることによる直接的な代謝上のメリットであり、そもそも人間が絆を築く根本的な進化上の理由を明らかにしています。つまり、私たちの身体は一緒にいることでより良く機能するのです」と述べました。
「何を食べるか」だけでなく「誰と食べるか」も血糖値に影響するとの実験結果
▼一昔前、あるファッションビルのレストラン街が「何を食べるかより 誰と食べるかが問題です」というコマーシャルを流していたことを思い出します。しごく当たり前の結果だと思います、ただし「血糖値」と言うと、とかく物質的な問題だけで考えてしまいがちになりやすいので意味のある実験だと思います。ただ難しいのは「孤独」をどう考えるのかが難しいですね。私のようにわいわいがやがや食事をするの好きではない人間もいます。一人で食べたほうが楽しいのです。楽しいというより、仕事柄、色々考えながら静かに食事をするのが好きなんです。特に外食は・・・
結局、一般的には「孤独」に食事をするよりも、誰かと食事をするほうが血糖値の急激な上昇も抑えられる可能性が高いと思いますね。でも、「誰れ」との関係性も影響が大きいと思います。
それと難しい話ではなく、誰かと食事をするということは、たいがい会話をしながらということになるでしょう。そうなると、ゆっくり食事をすることなる。それもいいのでしょうね。
