五十五話 普通の!?日常!?
彼女はそれだけの言葉を残して、更衣室へ去って行きました、
「彼女、大丈夫みたいですね!
何か、吹っ切れたような感じでしたね!」
まあ、なんと楽天的と言おうか、あきれて言葉もありませんでした、
目も合わさなかったくせに、彼女が去った途端にすっかり安心した顔になっちゃって、
この時ばかりは寺田を心から馬鹿と思いました、
でも、何にしても普通の日常が戻って来たのです、
仲間内で不細工なごたごたをしてはいますが、仕事は極めて順調に進んでいます、
月曜日の朝は結構忙しいんですが、その場の雰囲気に居たたまれなくなり、
皆に任せて外出することにしました、
ですが、外出と言っても、どこかにアポを取っている訳でもないので、ただ散歩をするために出かけただけです、
暫く歩いたところに公園があるので、缶コーヒー片手にベンチに座りました、
平日の午前中ですが、お年寄りや子連れの人達などがぽつぽつ見受けられました、
何も考えずに居ると、そのまま眠りに落ちてしまいまいた、
ふと気づくと携帯が鳴ってます!
「はい、まことです、」
「あ、寺田です、○○社の△△課長から電話ありましたよ、
どこにいるんですか?昼食には戻られます?」
「ああ、ごめんごめん!近くに居るからすぐに戻るよ、
子用で少し出てただけなんで、」
電話を切り、慌てて時計を見ると、もうお昼前です、
どうやら2時間も無駄にしてしいました・・・、
少し後悔しつつ会社に戻ると、
寺田とのりちゃんが楽しそうに話してます、
「おかえりなさい!」
「お疲れ様です!」
「ただいま・・」
それだけ言葉を残し、一人で昼食に出ようとすると、下山さんが、
五十四話 少し安心!?
腹が立ったのは、もちろん寺田の自分勝手さに向けての事です、
「気になる位なら、勝手に帰るなよ!!
あの後大変だったんだぞ!!」
「本当にすいません!
もう、あの時は僕も気が動転してて、どうしたら良いか解らなかったんです・・」
「だからって、あんな帰り方は・・・、って
押し問答したところで、謝るしかないんだから、これ以上は言わない、
ただ、今後どうするつもりなんだよ?」
「今後・・と言われても、まあ、仕事はちゃんとします、」
「そんな事は当たり前!!
もし、彼女が辞めるとか言い出したら、お前のせいだからな!」
「え~~・・・、全部僕の責任って事は無いですよ~~、
あの後そんな話になっちゃったんですか?」
まあ、実際、もし彼女が辞めるとなれば、原因はむしろ僕にあるのは解っています、
ですが、彼が中途半端な形で間に入った為にこの様な事になったんです、
それについて、彼がどう思ってるのか、そんな事を考えると、苛立ちが募るばかりでした、
その苛立ちを言葉にしようとした時です、
「おはようございます!!
どうしたんですか?朝からお二人とも真剣な顔して、」
当の本人が、何事も無かったかのような、屈託の無い笑顔で現れました、
さすがに寺田も、いざ彼女を前にすると気まずそうです、
「あ・・、おはよう、
朝から元気そうだね、」
「はい!落ち込んでても仕方ないんで、お仕事頑張ろうかなって思ってますよ!」
「それはそれは・・、何とも心強い、今後もよろしく、」
と、言いつつ、寺田の方に目をやると、彼は俯いたままでした、
彼女の方も、寺田の方には一切目をやりません、
安心した反面、少し不安な気持ちもありました、
五十三話 申し訳ない!
そして、そのまま僕は眠りに落ちるという最低の失態をやらかしてしまいました、
僕が目を覚ましたのは、朝の6時、彼女の声でした・・、
「まことさん、まことさん、」
目を覚ますと、マッサージチェアで横たわっている僕に、布団を掛けてくれていました、
テーブルにはモーニングセットとコーヒーが用意してあります、
それを見た瞬間、はっと我に返りました、
「ごめん!ほんっとうにごめんなさい!!」
もう、謝るしかないです・・・、
「そんなに謝る事無いって、大丈夫よ!
まことさん疲れてるもの、寝顔可愛かったわよ(笑)!」
嫌味一つ言わずにフォローしてくれる事はすごくありがたかったですが、
何故か余計に惨めな気持ちになりました・・・、
「いやいや、もう、謝るしかない・・・、
ほんと、次はちゃんとします、」
「ちゃんとするって(笑)、
どうちゃんとしてくれるのかしら(笑)?」
「精一杯、愛情込めて君を抱きます!!」
「もう!ちょっと寂しかったんだけど、許してあげる、
じゃあ、早く食べましょ!あまりゆっくり出来る時間無いわよね?」
「うん、ごめんね・・、」
「もう、大の男が何回も謝らないの!
私が責めてるみたいじゃない、」
「解った、ごめ・・・、じゃないや、早く食べようか!」
実際、二日続けてホテルで何もしなかった、と言うより、行為に及ばなかったのは、
さすがに初めての経験であり、かなり動揺していました、
ですが本当に時間が無かったため、そそくさとモーニングを食べ、ホテルを出ました、
彼女を家まで送り、僕も家に帰り、さっとシャワーを浴びて会社に向かいました、
そして、いつもくらいの時間に会社に着くと、寺田が先に席に着いています、
「あ、まことさん、おはようございます、」
「おはよう、早いね、どうしたの?」
少しだけ意地悪な質問をしてみました、
寺田には悪いですが、朝から失態をしてしまった事のはけ口を見つけたような気がしました、
「いや、やっぱりあの後の事が気になって・・・、」
その言葉で、おとといの事が思い出され、段々腹が立って来ました、
