剣が君 螢ルート感想と考察 | 誠団

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趣味アカです。最近シータヒーリングにハマっているので、スピリチュアルネタが多いかと思います。飽き性なので随時ネタが変わります。
スピリチュアル貧乏営業が気持ち悪くて嫌い。

 

剣が君 螢ルートの感想と考察を書いていきます。(注意ネタバレ含む)

 

既にこの作品は人気作でたくさんの方々が感想を書いているので、私はスピリチュアルなエッセンスを交えながら少し別の切り口で書いていきます。

 

テーマ「新しい国・逆境に立ち向かう強さ」

 

剣が君の攻略キャラの中で、螢ちゃんのルートはまったく期待していませんでした。

 

そもそも江戸での立場・身の上が御用聞きって、あまりにも地味じゃありませんか。

 

しかし読み進めていくうちに螢ちゃんの本当の姿が浮き彫りになってくると、全力で応援せずにはいられませんでした。

 

剣が君の中では、螢ちゃんのルートがもうぶっちぎりにダントツで1番好きです。

 

もし前章で刃のように鋭い言葉の数々にズタズタにされ心折れた人がいたとすれば、頑張って個別ルートを試しに読んでみてほしいのです。

彼の本当の姿を見たら好きになりますよ。

 

序章でも見たとおり、見栄張って御家人株を手に入れた三郎三の借金を肩代わりしていますよね。

普通ならそんな面倒なことに首を突っ込まないと思うのに、螢ちゃんは根っからの親分肌だから放って置けないんですよ。

 

自分が鬼族だから人と親密になることを恐れていて、それで人を突き放したり言葉がぶっきらぼうになったりするのだと思いますが、それは自分と相手を守るためなんですよね。

 

香夜ちゃんも言っていましたが、そうすることで螢ちゃんは自分自身を傷つけていたりもするし、正体を隠してこそこそ生きることへの罪悪感・恥は本当の自分らしさを遠ざけてしまいます。

 

そんな脆くて危うげな一面がある一方で、鬼族の廃刀令を徳川に撤回させ、人と鬼とが平等に生きられる世の中を一心に願い、剣取り御前試合で見事に一番刀となるという快挙を成し遂げますが、ただ理想を願うだけでなくちゃんと有言実行するところが誰よりも男前だと思いました。

 

目の前をまっすぐに見つめ、折れない信念を持っているし、自分への信頼も揺るがない。

 

剣ルートでは家光直々に「人と鬼族への禄位を平等に与える」と言わしめたことで、廃刀令の撤回を上回る鬼族への貢献を充分に果たしたなぁと思います。

 

この人は男性性がものすごく強いですね。

 

力が欲しいんだと香夜ちゃんに話していましたが、やっぱりそれは王族の末裔としての責任や義務に突き動かされて、自分がなんとかしなければならないという思いに駆られてのことだと思います。

 

だから誰も頼らずに自分1人でなんとかしようとするのですが、結果的にそれがあの荒魂ルートや奇魂ルートにつながるんだと思います。

 

一番刀になることも勝ち抜いた結果だから努力の賜物だとは思いますが、なんでも独りでどうにかしようとすると思わぬ障壁にぶつかったり、限界を感じたり、どこかでストップがかかるものです。

 

自らの手で新しい国を切り拓くという力強さや螢ちゃんが成し得てきたことのすべては美しいと思いますが、そういう革命的なことを独りでやろうとすると時に悲劇が生まれますよね。

 

必ずしもすべてとは言わないけれど、歴史がそれを証明していたりもします。

 

確かに現代の政治家が無責任に口だけで「新しい国づくり」と訴えているのは、螢ちゃんが自らの手で創り上げたことに較べたらペラペラすぎて話にもならんわと思いますが、これだけの人間が日本に住んでいるのだし、仲間がすぐそこにいるのだからもっと頼ったほうがいいよねと思いました。

 

だから奇魂エンドがすべて丸く収めてくれてホッとしたんです。

 

相変わらず御用聞きの仕事をして諍いを調停し、同族から頼りにされている螢ちゃんをみんなが心配して助けようとしてくれているのが見ていて微笑ましいと思ったし、こうしてストーリー全体を見渡してみると江戸の日常を変わらず駆け回る螢ちゃんも悪くないなと思いました。

 

香夜ちゃんには悪いけど、なんかこのスタイルが安心するんですよね。

 

その一方で、荒魂エンドは天国から地獄へと突き落とされた感じがしました。

 

なんでこんなつまらない死に方を…?
しかもなぜ同族が滅多刺しにする必要が??
そんなに斬りつけなくてもよくない!?

霊泉でめっちゃ泣きました。
ひどい!ひどすぎる!
辰影覚えてろよ!


いいから螢ちゃんを幸せにしてくれ!って本気で祈りました。

 

思えば黒羽さんと対峙した霊泉のシーンも相当涙腺崩壊しますよね。

 

なんでこんな意地悪するの!と一瞬キレかけたけど、黒羽さんのお節介がなければ香夜ちゃんにずっと嘘をつき続けることになるだろうし、いずれ嘘はバレる。

 

本当に好きなんだったら正直になるしかないんだろうけど、でも好きな人ほど嫌われたくないと思ってしまうのもまた心理ですからね。

 

そもそも嫌われるかも…と思っている時点で、自分を恥じているし愛する人に自分がどう見えるかという不安がつきまとうから、自己価値が低いということになるんですけど、それも人間に差別され迫害されているから仕方がないのよね…と思いながら胸が痛みました。

 

このルートに黒羽さんを絡ませることで、いろんな意味で螢ちゃんが強くなっていくのも見ていて勇気づけられたし、鬼族の差別や迫害を1番理解できるのも黒羽さんしかいなかったんだろうなと思います。

 

事情もわからない人間がいくら寄り添ってもそれは痛みの想像でしかなく、結局はその当事者にしかその苦しみは解らないですからね。

同じような体験をした黒羽さんだからこそ、その痛みを推し量ることができるし、偽善にもならないので心強かったです。

 

こんなふうに自尊心を潰された螢ちゃんですが、ここから這ってのし上がり頂点まで登り詰める様が見ていて本当に力強く圧倒されました。

 

単なる自信家というわけではなく、本当に有言実行してしまうところに男気を感じますね。

 

君ルートのどちらも香夜ちゃんと一緒になることはできますが、和魂エンドは最初からハラハラさせられてしまいました。

 

香夜ちゃんのパパがあまりにも手厳しいから、結局は駆け落ちせざるをえないわけですが、宿場町で差別と迫害に遭ってしまい二人で逃げ惑う姿がもう残念でなりませんでした。

 

若い男女がこうして追いやられていたら、せめて町民の1人くらいは心を痛めて同情してもいいくらいなんですが、誰も見て見ぬふり…というか、一緒になって石を投げ追い払おうとするのはいじめの構造だよなぁと思います。

もし2人を匿ったりしたらそれこそ自分がいじめのターゲットになってしまいますからね。

 

だからいじめは無くならないのだと思うし、見てくれが少し違うだけで差別の対象になったり主流な宗教とは違う聞いたこともない宗教を信仰しているというだけで邪教と言われたり異端と言われ罰せられたりするのはいつまで経っても変わらないですね。

今も民族や宗教で戦争するくらいですから、少しは進化してもらいたいものです。

 

幸魂エンドではまたもや有言実行で男気を発揮します。

 

山吹の花千本って…そんな無茶振りを本気で受けて立つ螢ちゃんって本当に男前だよね!

しかも黒羽さんが協力してくれるし、カムロもいてくれて心強い!

 

吉備国は思ったより中華っぽい建築物で調度品も赤が基調になっていて、着物もやたら派手で露出があり個人的に好きではありません。

 

が、螢ちゃんが自分の国に帰ってこられたことと、鬼族の城を再興できたことはやっぱりうれしいです。

 

こんなに親分肌なのだから、王族の長として生きるのは螢ちゃんのあるべき姿なのかもしれないですよね。

 

こうして人間と鬼族の和平が実現すればいいなと思いました。