貞彦470話  『財産分与が振り込まれる』

 

 

帰宅後、ぷう助が眠り
静まりかえったリビングで、
四条先生からの封筒を
開封して清算がどう

なっているのかを見る。

内容は財産分与の金額から
法テラスで借りた費用が
引かれ、わずかに残った
金額が私の口座に振り
込まれているという
あっさりとした詳細
だった。

離婚が成立した日に
なんとなく計算していた
通りで、このお金は
大学病院への寄付を
決めている。

引っ越してきたばかり
の頃、ぷう助がたちの
悪い風邪をひき入院をし
た時、ボランティアや
スタッフなどに支えられ、
子供たちの悲しみが少し
でも減るような環境が
作られていることに
感謝した。

その時はまだお金に困って
いて、夜勤をして始発で
病院へ向かう車内で、仮眠を
とるという生活だったから
なにもできなかった。

だから、もし裁判が終わって
財産分与を手にすること
があったら、必ずこの
気持ちは返そうと決めて

いた願いをこれから叶える。

この思いに揺らぎはない。

貞彦さんとまだ夫婦2人で
仲が良かった頃、今よりも
はるかに大きな額で豊かな
生活をおくり、車を買い
替える事なんて簡単にでき
るような貯金も普通にあった。

だけど、1度も寄付をしようと
思ったことはない。
貞彦さんが稼いできてくれた
お金だからという訳では
なく、そういう気持ちに
ならなかった。

例え何百万円かの貯金が
あっても、少ないと思って
いれば千円の寄付をだす
気持ちにはなれないし、
お財布に1万円しか
入っていないのに
千円だせる人もいる。

私は子供がいるし、体が
弱いから貯金を減らす
ことはできないけど、でも
これから頑張ってお金を
増やせる明るい未来がある

から、ないものとしていた

このお金は無くていい。

本当は寄付というより、
入院している子供たちを
直接喜ばせる芸や、スタッフ
をねぎらう技術もないから、
お金でしか私にやれることが
ないだけの事。

そんなことを思いながら
HPで見つけた寄付係へ、
どのように小児科へ
寄付すればいいのかを
メールを送った。

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が

主流の時のお話です。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

☆メッセージをたくさんいただき

ありがとうございます。

お返事がとてもおそくなって

しまいすみません。

あたたかいお言葉に感謝で

いっぱいです。

本当にありがとうございます。

 

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【お気に入りの紹介です】

ブログでご紹介している

『ねこはるすばん』を描いている

町田尚子さんの絵本です。

 

ずっとネコヅメのよるをご紹介

したかったのですが、楽天で

確認すると、いつ入荷されるか

わからず、ご紹介できる日を

待っていました。

 

道を歩いていると、たまに

今日はよく猫を見かけるな…

という日があるのですが、

この絵本を読んだ時、

道を歩く猫たちのひみつを

知ったような気持ちになり

ました。

ねこたちが大好きな、ある夜の

お話です。

 

最後の最後までお読み頂き

有難うございます。

自分が頑張っていないと

思っている人も、頑張りきった

人も、頑張れが嫌いな人にも、

今日より幸せな明日が来ますように。