貞彦464話  『自由は孤独』

 

 

長い間、裁判中だったとは
いえ、ひとり親家庭をやって
きたつもりだけど、離婚が

はっきりしたことによって、

婚姻費用がなくなり完全に

すべてが私の選択と責任に

なるんだと思ったら、あらた

めて小さなプレッシャーと
頑張ろうという気持ちなった。

婚姻費用を頼って生活を
していたわけではないけど、
いざ無くなることがわかると
プレッシャーに感じるという
のは、どんなお金でも
得ていた安心感はあったという
ことなんだと知る。

でも、そのことはすぐに
忘れる自信があった。

ぷう助が小学校にあがったら
パートも増やし、私ももっと
好きな事をして忙しすぎる
人生をおくろうと決めて
いるから、この先しばらくの
間は、明るいひとり人親家庭に
なると信じている。

そんな気持ちで最後の
裁判所へ行く日までを
すごしていた時、パート

では、たまにしか会えない
最年長のパートさんと
勤務時間がかさなり、
久しぶりにおしゃべりを
することができた。

その方も若い頃に離婚
していて、1人で2人の
子供を育て上げた人。

私が長い間、裁判所へ
行くためにパートを
不定期でお休みさせて
もらっているから、
みんな私の事情は知って
いて、子供を1人で育てる
話で盛り上がる。

家賃と塾の月謝を払ったら
手元に3000円しか残らなくて
慌てて日雇いした話を聞けば、
私も前にお金が足らなくて
社長にたのみ冷凍倉庫で
働かせてもらった事
などを話し、笑いっぱなしの
休憩時間はあっという
間だった。


「私は離婚した時、2度と
 この世の男性は信用しない
 という強い思いで今も
 そういう道を歩んでいるけど、
 良い事ばかりではないのよ」

「そうなんですか」

「相手のご飯は作らなくて
 いいし、洗濯も自分と
 子供のペースでいいから
 好きにできる」

「私も家を出た時に
 その気持ちの軽さを
 味わいました」

「でも自由は孤独よ。
 
 うちはとっくに2人の
 子供たちが巣立って
 いざ1人になった時、
 この年齢にならなくちゃ
 わからない孤独があるの。
 私ね、実は癌の治療して
 るの!」

「えっ!!?」

「でも年だから、あなたの
 お母さんみたいに進行も
 早くないし、こうして
 のんびり抗がん剤しながら
 普通に生活できるのよ。

 癌細胞もおばあちゃん
 ってことね。

 だけど年を取れば病気を
 したり身体のあちこちが
 故障してくるし、親も
 死んじゃっているから
 1人でこの時間を
 すごすことになる。

 もし私のように、男性に
 対して強い決意をもって
 いないのなら、再婚は
 年を取った時にしておいて
 よかったと思うように
 なるわよ。

 少し自由な時間を味わったら、
 また探してみなさい
 パートナーを。

 おばちゃんの独り言」


毎日元気に働いていて、
趣味でやっているサークル
活動の話も聞いていたから、
私にとっては自然と
母子家庭の目標になって
くれていたような人で、
治療中だなんて全く
気が付かなかった。

頂いた言葉は、自分の中で
大事にしまっておこうと
思う。

今は再婚とかそんな
ことは考えられない
けど、2人の子供を育て
あげたからこその
とても重みのある言葉だった。

 

 

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が

主流の時のお話です。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

 

【お知らせです】
いつもお読み頂きありがとう
ございます。
あと何回かの裁判で離婚が
決まり、ぷう助が小学生に
なる前で、お話を終了します。

終わった後は、そこから
現在に至るまでに起こった
いくつかの出来事、この
ブログに登場してくれた
人たちの現在、ぷう助の事、
伝えるつもりが抜け落ちた
部分などの投稿をしてから
ブログの更新を終わらせて
頂く予定です。

あと数ヶ月の更新になるかと
思いますが、お時間の許す
時に読んで頂けたら
幸いです。

皆様のおかげで、とても
幸せな時間を過ごさせて
頂きました。
ありがとうございます。

 

 

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【お気に入りの紹介です】

ブログでご紹介している

『ねこはるすばん』を描いている

町田尚子さんの絵本です。

 

ずっとネコヅメのよるをご紹介

したかったのですが、楽天で

確認すると、いつ入荷されるか

わからず、ご紹介できる日を

待っていました。

 

道を歩いていると、たまに

今日はよく猫を見かけるな…

という日があるのですが、

この絵本を読んだ時、

道を歩く猫たちのひみつを

知ったような気持ちになり

ました。

ねこたちが大好きな、ある夜の

お話です。

 

最後の最後までお読み

頂きありがとうございます。

 

辛い毎日で幸せに

なれることを信じられなく

なってしまった人が

生きる事だけは諦めないで

明日を迎えられますように。

その明日に小さくても元気がでる

出来事がありますように。