貞彦325話  『最後の調停』

 

 

いつのまにか慣れて
しまった裁判所へ行く朝、
少し違う気持ちで電車へ乗る。

調停が不成立で終わる事に
なり、その話を聞くため
なのかはよくわからないけど、
最後の調停ということだけは
間違いなかった。

調停を振り返ると、経験
しなくては分からない
事しかなかったと思う。

2ヶ月に1回パートの調整
をしながら裁判所へ通い続け、
結局決まったことは1つも
なかった。

このペースで裁判を始めたら
1年に1つ決まるとしても、
婚姻費用、親権、財産分与で
3年は余裕で裁判を続けること
になってしまうの?
という疑問が冗談半分に頭を
よぎる。

引っ越し前、法律事務所の
無料相談へ行くだけでも
緊張していた私が、今では
仕事のパートナーかのように
四条先生と駅で待ち合わせをして、
子育ての愚痴をお互いに
言いながら裁判の所の門を通る。

 

今回は貞彦さんが先という
ことになり控室で待っていると、
20分程度で呼ばれた。

個室へ入ると、いつもは
質問をされることが
多かったけど、調停員から
不成立ということを言われ
私と四条先生も「はい」
とだけ返事をした。

そのまま調停員は視線を
四条先生だけに移して
話す。

「今後のことですがもう、ね」

「はい、こちらでわかって
 いるので大丈夫です」

「では、そちらで手続きの方は」

「はい、すべてこちらで

 しますので大丈夫です」


淡々とした短いやり取りで
私はなにも話さずに、

最後の調停はあっけなく

終わった。

その後は、四条先生の
法律事務所で今後の
打ち合わせをする。

私は別居状態が続く
ほど、婚姻費用が発生して
貞彦さんにとっては損を

するはずなのに、なぜ

貞彦さんが支払いを拒み

離婚を遅らせるような
ことをするのかという質問を
すると、


「訴えれば払わなくて済む
 という気持ちがまだ大きい
 のではないかと思います。

 本来なら弁護士がちゃんと
 教えなくてはいけないところ
 です。

 婚姻費用の額が決まった時、
 相手方は直接、裁判官からも
 言われたようですが、それでも
 納得していないですしね」


その話を聞いて、法律上は
婚姻費用も養育費も通常で

あれば払わなくてはいけない

ものだけど、一貫して拒否を

続ければ、先に私の方が

嫌になり離婚を急ぎたくて

お金はいらないという日が

くるのかもしれないと思った。


どちらにしても、この
裁判でぷう助の親権が
決まるはずだから、すぐに
調査官調査の対策を
考えなくてはいけない。

 

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が主流の時の

お話です。

現在は離婚して平穏に暮らしています。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

 

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バナーの絵は、漫画家さんが
描いてくださった下絵です。
私が子供を望み、貞彦さんと
幸せな未来を思い描いている
シーンです。

下絵は漫画家さんと繋いでくださった
株式会社パルソラ様の提供です。

 

 

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猫好きな大人にもぜひ読んで

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最後の最後までお読み頂き

ありがとうございます。

障害のある子供たちが

笑顔になれる明日がきますように。

希望を信じ続けられる

明日になりますように。