貞彦324話  『誕生日は納豆ご飯』

 

 

ぷう助の描いた絵はきっと、
選ばれる絵ではなかったけど
無事に終りほっとする。

これからも身を隠さなくては
いけないことが起こるだろうし、
離婚が成立した後も、自分たちの
個人情報をどう守るのかは、
考えなくてはいけないのかも
しれないと思う出来事だった。


そして、ぷう助は4歳の
誕生日を迎える。

ぷう助の誕生日が近づいて
くると、両親や兄、兄の後輩
からもプレゼントをもらい、
さらにぷう助の事を写真で
しか知らない母の病気友達からも、
プレゼントと体に良さそうな
お菓子が届く。

誕生日当日、パートをして

いるとサバ子からメールが
きて、作業の合間に何回か
返信をする。

「今夜のおかずはなに?」

「納豆ご飯だよ、ぷう助に
 誕生日のごちそうは
 なにがいい?って聞いたら
 納豆ご飯なんだって」

「じゃ、納豆にろうそく
 たててもっていくから
 夕食は用意しないで待ってて」


ぷう助の誕生日はいつも
私と2人きりで、貞彦さんに
バレないようこっそり
小さなケーキにろうそくを
たててやっていたけど、
サバ子が来てくれることに
なり、パートの帰りに
ショートケーキを3個
買ってからぷう助を迎えに
行き、家へ帰る。

ぷう助は保育園でも
みんなにお祝いをしてもらって
きたうえに、夕食はサバ子と
一緒に食べられるとなり、
玄関で靴を脱いでから
ずっとテンションが高く
飛び跳ねている。

私は美味しい納豆ご飯を
食べるためにご飯を炊いて、
お酒を飲むサバ子には
おつまみがないかと
冷蔵庫やお菓子を見ている
と、ドアをノックする音が
聞こえ、両手に荷物をいっぱい
持ったサバ子が来た。

手を洗うとすぐ、なにも
のっていないテーブルに
海老フライやローストビーフ
などが豪華に盛り付けられた
オードブルを置き、次に箱から
ケーキをだし

「生クリームのケーキは
 買ってるだろうから
 タルトにしたよ。
 これだったらケーキが2つ
 あっても困らないでしょ」

そういい、宝石のように
キラキラとしている
フルーツの中心が、
マンゴーの薔薇にまでなって
いるホールのタルトを置く。

私はこんなに美しいタルトが
あるのかと、黄色い薔薇を
ずっと見つめてしまう。

サバ子は何も気にせず
最後に納豆を並べ、
缶ビールを2本だしたら
あっというまにセッティングが
終わり、待ち構えていた
ぷう助がサバ子に飛びついて
幸せなバースデーパーティー
が始まった。

パーティーは盛り上がり
ぷう助は最高に幸せな
夜をすごして、いつのまに
静かになったと思ったら
ミニカーのバスをもったまま
眠っている。

私はこの1週間、貞彦さんから
連絡がくるのではないかと
思っていた。

1度もぷう助の誕生日を祝って
くれたことはないけど、調停で
散々ぷう助の親権を主張して
いるのだから、計算高い
行為としても一言
「お誕生日おめでとう」
くらいはあるはずだと思って
いたけど何も来ていない。

生れてから1度もお祝いを
したことがないから、
誕生日のことなんて頭に
ないのかもしれないなとも
思う。

だけど、そんな父親より
こんなたくさんの人に
祝ってもらうぷう助は
幸せ者で、そんな
我が子を見ることが
できる私も、本当に
幸せな日だった。

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が主流の時の

お話です。

現在は離婚して平穏に暮らしています。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

 

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バナーの絵は、漫画家さんが
描いてくださった下絵です。
私が子供を望み、貞彦さんと
幸せな未来を思い描いている
シーンです。

下絵は漫画家さんと繋いでくださった
株式会社パルソラ様の提供です。

 

 

【お気に入りの紹介です】

猫好きな大人にもぜひ読んで

いただきたい1冊です。

留守番中の猫がどんなことをして、

何を思っているのかが可愛いお話

になっています。

絵本とお菓子の紹介です。

 

最後の最後まで読んで頂き

ありがとうございます。

DV、モラハラから離れられた人も、

離れながら立ち向かっている人も、

すぐには離れられず耐えている人も

それぞれの明るい未来がひらけますように。